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生活者インデックスデータ

価格設定の考え方と価格調査の基本質問例~アンケート調査の質問例と活用例②-1

商品やサービスの価格設定は高くすれば利益を多く得られますが、消費者がそれに見合う価値を見出せなければ買うのを控えてしまいます。消費者に受け入れられて、かつ利益が得られる価格に設定しなければなりません。
消費者に受け入れられるかどうかを知るために、アンケート調査は有効です。
この前編では、はじめに価格設定の基本的な考え方をご紹介し、次に価格設定でよく利用されるアンケート調査の基本的な質問をご紹介します。

価格設定の重要性

価格設定は企業の売上や利益に大きなインパクトを与えます。値上げによって予想を上回る増益を達成する企業もあれば、値上げで客離れがおき、赤字に転落する企業もあります。価格をいくらに設定すれば企業の売上や利益が最大になるのか、戦略的に考えなければなりません。

高すぎる価格を設定すると、利幅は多く取れますが、たくさん売ることが難しくなります。反対に低すぎる価格を設定すると、たくさん売れるかもしれませんが、利益は得られなくなります。この「高すぎる価格」と「低すぎる価格」の間に、売上や利益を最大にする「最適な価格」があると考えられます。最適な価格に設定するためには、消費者ニーズや商品・サービスの価値を正確にとらえることが重要です。

一方で、価格を低く設定しても、利益を多く得られることがあります。低価格でたく1つあたりのコストは下がり、利益を出せるようになります。現在のことだけでなく、将来の市場成長性や消費者ニーズの変化を見越して価格設定を考えることも重要です。

マーケティング戦略との整合性

価格設定は、マーケティング戦略と整合している必要があります。
マーケティング戦略では市場を細分化して、ねらうべき顧客(ターゲット)を設定します。
ターゲットによっては、価格が安ければ買うというわけではなく、安さが商品・サービスのイメージを下げてしまうかもしれません。また、品質よりも手っ取り早く問題解決できるスピードを求めていたら、最低限の品質であっても高く買ってくれるかもしれません。ターゲットが感じる価値に合わせた価格設定をしないと、取れる利益も取れなくなってしまいます。

次に、ターゲットに対応したマーケティング4P(Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(広告・販売促進))を計画します。価格は単独に決められるものではなく、他の3つの要素と整合性をとって決められます。製品をつくるコスト、消費者に届ける流通コスト、広告・販売促進のコストを考慮して価格を決定します。

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価格設定の方法~4つの視点

価格設定は、「コスト」、「需要」、「競争」、「消費者心理」の4つの視点にもとづいて設定します。

①「コスト」にもとづいて設定する方法

コストに一定の利益を上乗せして価格を設定する方法です。
この方法には、「コストプラス価格設定」と「マークアップ価格設定」があります。
「コストプラス価格設定」は、事前にコストがはっきりとわからない場合に、実際にかかったコストに利益を乗せて価格を決める方法です。
「マークアップ価格設定」は、主に流通業で用いられる方法で、仕入れ原価に一定率の利幅を乗せて(マークアップ)、価格を決める方法です。

②「需要」にもとづいて設定する方法

売り手側のコストではなく、買い手側(消費者)が商品・サービスに対してどの程度の価値を見出しているか(需要)にもとづいて価格を設定する方法です。 この方法の一つに「知覚価値価格設定」があります。消費者の商品・サービスに対する知覚価値を知るために、アンケート調査を行います。調査の結果から、消費者の知覚価値に合った目標価格を設定し、その価格で利益が出せるように、商品・サービスの仕様を決めていきます。

この他に、「需要差別型価格設定」があります。同一の商品・サービスに対して、消費者のセグメントごとに需要が異なる場合、異なった価格を設定する方法です。この方法はあらゆる業界で採用されていて、航空券やホテルの宿泊料金では、同じサービスでも夏休みや年末などの需要が高まる時期は高い価格を設定し、需要が低い時期は低い価格を設定します。
現在では、「ダナミック・プライシング」の仕組みを導入している企業が増えています。過去の販売実績データなどのビッグデータをAI(人工知能)が学習して、需要を予測し、需要に応じて価格を変更する仕組みです。

③「競争」にもとづいて設定する方法

競合との競争を意識して価格を設定する方法です。
競合が低い価格をつけてきたら、自社も追随して価格を低くしないとお客様を奪われてしまうリスクがあります。競合が実際に販売している価格(実勢価格)に合わせて価格を設定する方法を「実勢価格設定法」といいます。
この他に、入札により価格が決定される「入札価格法」も、「競争」にもとづく設定方法の一つです。

④「消費者心理」にもとづいて設定する方法

ここでは3つの「価格」をご紹介します。
「端数価格」は、3万円ではなく2万9800円、1000円ではなく980円、200円ではなく198円といったように、あえて価格を下げて提供する方法です。3万円台であるか、2万円台であるかは心理的な印象として大きな違いがあり、2万円台の方が割安に感じます。消費税増税では、増税前に198円で提供していたものが、増税後200円を超えてしまうことから、売上が落ちることを恐れて、増税後も198円を維持する企業もありました。

「段階価格」は、低価格、中価格、高価格といったように、価格にいくつかの段階を設けて消費者に提供する方法です。消費者は価格差を見比べて、自らが望む価格帯で選ぶことができます。企業によっては、低価格を追加して、ワンランク上の価格帯の購入を促すこともあります。

「名声価格(威光価格)」は、価格を意図的に高く設定して、消費者に品質の高さやステータスを感じさせる方法です。高級宝飾品、高級時計、高級ファッションブランドなどで採用されています。

アンケート調査の質問例

「需要」と「消費者心理」にもとづいた価格設定を考えるときに、アンケート調査はとても有効です。
ここからは、アンケート調査で価格についてどのような質問をして、集められた回答をどのように分析するか、ご紹介します。
はじめに、設定したい価格があるときに、消費者に受け入れられるかどうか(受容性)を知るための基本的な質問方法を2つご紹介します。価格設定のアンケート調査ではよく活用されます。

①価格を提示した購入意向質問

調査対象者に、商品画像と説明文、容量・価格を提示して、買いたいかどうかを質問するシンプルな方法です。提示された商品に価値を感じて、その価格で買いたいかを知ることができます。

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調査対象者に商品に関する情報をどのくらい提示するかは重要なポイントです。基本的には、商品のパッケージに記載されている情報や、店頭キャンペーンで訴求するメッセージなど、消費者が実際の購買場面で知りうる情報にとどめておくことをお勧めします。それ以上の詳しい情報を与えてしまうと、買いたい気持ちが高まり、調査結果は高い評価になりますが、実際には消費者に詳しい情報は伝わらず、調査結果で期待されるほどの売上にはならなくなってしまいます。

質問の選択肢も5段階と7段階があります。通常の5段階は、「買いたい」、「やや買いたい」、「どちらともいえない」、「あまり買いたくない」、「買いたくない」です。もっと詳細に買いたい気持ちを知りたい場合は、「非常に買いたい」と「まったく買いたくない」を加えて7段階にすることもあります。

②模擬棚質問

自社商品単体を評価してもらうのではなく、競合商品も一緒に提示して、どの商品を買いたいか選んでもらう質問方法です。実際の売り場で、競合商品と一緒に陳列されて消費者に選ばれる商品カテゴリーで有効な方法です。自社商品が競合商品に対して、競争力がどれくらいあるかを知ることができます。 模擬棚質問は、実際の店頭の棚をできるだけ再現して行う方法で、ネットリサーチでは以下のような画面になります。

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調査対象者は、この棚の中から買いたい商品を選びます。
選ぶときに、商品をクリックすると、商品画像が拡大され、パッケージの詳細を見ることができます。また、ひっくり返して裏面を見ることもできます。これは市場に出る前の新商品を評価するのに有効です。新商品の情報を一方的に与えて評価を得るのではなく、棚の前でパッケージに興味を惹かれ、手に取って購入するかどうかを判断する実際の購入プロセスに近い評価を得られるからです。

年に数回購入する機会がある商品カテゴリーの場合は、調査対象者にそのカテゴリーの商品を10個買う場合を想像してもらい、各商品を何個ずつ買うかを質問することをお勧めします。そうすることで、数回ある購入機会に、どの商品を選びやすいかを知ることができます。

実際のアンケート調査では、1回の調査で「模擬棚質問」と「価格を提示した購入意向質問」の両方を行うことが多くあります。自社商品の競争力がなかった場合に、単体でも魅力や価値がないのかを知ることができます。両方質問する場合は、商品情報を一方的に与えない模擬棚質問を先に行います。

【後編】では、より具体的な価格設定の判断に使える分析方法をご紹介します。

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