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人流データでみるエリア特性~箱根編

人の流れは、そのエリアの特性を映し出します。
このシリーズでは、特定のエリアの人の流れを、データで見ていきます。
今月は「箱根」に注目して、観光地での人流動向をコロナ前と比較してみたいと思います。

箱根は江戸時代に東海道の宿場町として、また「箱根七湯」と呼ばれる湯治場として発展し、庶民の人気を集めていた観光地でした。
明治以降になると、湯治場から避暑地、さらに外国人にも人気の国際リゾートへと変貌。
昭和期には箱根新道や観光施設の整備が進み、今では年間2,000万人が訪れる日本屈指の観光地となっています。
またアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の舞台となったことで、いわゆる“聖地巡礼”の地としても毎年上位にランキングされています。
地元での足となる鉄道・バスや観光資源でもある遊覧船、ケーブルカーなどの交通施設は、そのほとんどを小田急グループが運営しています。

今回は、特急ロマンスカーの終点で箱根の入り口にあたる箱根湯本駅周辺の人流動向について、2024年10月とコロナ前・2019年10月の2時点、 1時間別のデータをモバイル空間統計から抽出、比較してみた結果を紹介します。

2024年10月の平休日・14時台の滞在者数をコロナ前の2019年10月と比較すると、
平日では-5%、休日では10%程度の増減率となっています。

コロナ前後での滞在者数 平休日・14時台

時間帯推移をみると、
平日では1日を通じて全体的に滞在人口が減少しているのに対して、
休日では11-18時台の滞在者数が2019年を大きく上回っており、
少なくとも日帰りでの観光客数はコロナ前以上に回復しているのが見てとれます。
ただ、休日でも早朝・夜間には若干ながら2019年当時を下回ってることから、
箱根湯本駅周辺の宿泊客数は、まだ以前の水準までは戻っていないのかもしれません。

滞在者数の時間帯推移

次に、ピークタイムとなる日中13時台の滞在者の性年代構成をみると、
平日では男女ともに20代と50代の構成比が増加、
休日ではこれに加えて30代の女性も増加となっています。

性年代構成比 平日
性年代構成比 休日

観光行動としての特徴をみるため、さらに休日での時間帯別滞在者数を追ってみると、
他の年代と比べて20代男女の夜間(18時台以降)の歩留まりがかなり高いことがわかります。
20代女性では日中の10-13時台に滞在者数がピークとなり、16時台以降緩やかに減少していくのに対し、20代男性は14時台から18時台にかけて来街者数が高止まりする傾向が認められます。
前回の金沢市街地でも同様の傾向がありましたので、観光地特有の波形と見てよいかも知れません。

休日の時間帯推移

次に、滞在者の居住地分布を地元箱根町・神奈川県内・県外の3区分の構成比で見てみます。
グラフは2024年10月時点の平休日・13時台での居住地区分構成比ですが、平日は地元居住者と県外からの流入が1/4ずつ、県内からの流入が1/2、となっています。
休日は地元比率が5%程度、県内からの流入者が3%程度減少し、その分県外からの流入者の割合が高くなっています。
平休日いずれも、コロナ前より県外からの流入者の割合がわずかながら高くなっている印象です。

まずは市区町村単位での流入者数を、平休日別にみてみます。
滞在者の中心は地元箱根町および隣接する小田原市の居住者で、平日では47%、休日でも38%を占めています。
流入元の上位10市町村には神奈川県西部にある東海道線・小田急線沿線の市町村が並びますが、休日には世田谷区・新宿区など都内からの流入者も多くなっています。

次に県外からの流入状況を都道府県単位でみてみると、
東京・埼玉・千葉のほかでは静岡、愛知、大阪など東海道新幹線沿線からの来訪者が平休日ともに大勢を占めているようです。

来訪者の居住地分布 平休日
来訪者の居住地分布(詳細)

モバイル空間統計では、国内人口と同様にドコモ基地局で受信した携帯端末信号のうち、ローミング情報から 取得した海外キャリアのIDに基づいて、国・地域別の集計が可能となっています。

ドコモ・インサイトマーケティングが提供するwebサービス「人口マップ(https://mobakumap.jp/)」でみると、2024年10月の箱根湯本駅周辺を含む約1㎞四方のエリアに、1ケ月間で約2.5万人の外国人観光客が訪れており、そのうち6割にあたる1.6万人強が同エリアに宿泊していたことがわかります。
日中に滞在していた観光客の国別の内訳としては中国が13%、USAが12%、ついでカナダ、フランス、オーストラリアの順になっており、 韓国・台湾・香港などのアジア勢がそれにつづいています 浅草や金沢と同様に、欧米諸国を含むさまざまな国・地域からの観光客を集めているのが特徴といえそうです。
また、箱根を訪れる外国人観光客の8割以上が羽田または成田空港を利用して入・出国していますが、関西空港などから入国して東京方面に周遊している観光客も2割弱くらいいるようです。

箱根の訪日観光客(国・地域)
箱根の訪日観光客(入国空港・海港)

以上、日本を代表する観光地・箱根の人口動態を、モバイル空間統計で概観してきました。
今回は箱根湯本駅周辺に着目しましたが、箱根には強羅・彫刻の森や大涌谷、芦ノ湖、仙石原など著名な観光スポットが点在していますし、伊豆半島や富士五湖などの観光地とも距離的には近いので、箱根エリア全体での観光行動や周辺観光地との回遊状況などをドコモ会員データ等で分析してみると、また違った発見があるかも知れません。

データについて:
【モバイル空間統計®・国内人口分布統計(リアルタイム版)】
※モバイル空間統計®は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
ドコモの携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報です。
集団の人数のみをあらわす人口統計情報であるため、お客様個人を特定することはできません。
インテージは「モバイル空間統計」の1次販売店です。

モバイル空間統計・人口マップ  https://mobakumap.jp/

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