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大阪・関西万博を振り返る~検索語データで読み解く生活者の関心~

閉幕を迎えた大阪・関西万博。4月13日~10月13日の約半年間、多くの人が訪れ、特に閉幕間際は予約がとれないほど、注目を集めました。今回はインテージの保有するメディアログデータi-SSPを使って、サイトへのアクセスデータや、検索データから大阪・関西万博(以下、万博)を振り返っていきます。

1. エリア・性年代別から見る「万博関心層」

本章では、EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト(以下、万博公式サイト)の接触者の特徴について見ていきます。まず、万博公式サイトのエリア別の接触率(図表1)を確認すると、京阪神エリアに居住する人の接触率は19.0%と、他の地域と比べて際立って高いことがわかります。次いで、中国、東海、四国エリアの順に接触率が高く、開催地に比較的近い地域ほど関心が高い傾向が見られます。

図表1

居住エリア別 万博公式サイトの接触率

一方で、北海道、東北、九州、沖縄などの遠方エリアでは接触率が低く、地理的な距離が関心度に影響を与えていることがうかがえます。万博会場から近いエリアに居住している人の注目を特に集めた万博だったと言えるでしょう。

続いて、図表2は万博公式サイトの性年代別の接触率を示しています。

図表2

性年代別 万博公式サイトの接触率

女性は年代による大きな差が見られない一方で、男性は若年層の接触率が高い傾向にあることがわかります。特に男性10代の接触率は10.1%、男性20代は9.0%と、万博に対して興味関心を持っていた若年層が一定いたことがうかがえます。

2. 万博関連の検索キーワード トレンドランキング

続いて、検索語データから「万博」と一緒に検索されたキーワードを見ていきます。検索キーワードから、人々の万博への関心やニーズを読み解いていきましょう。図表3は、4月から8月までの各月における「万博」と一緒に検索されたワードの検索者数ランキングを示したものです。全期間を通じて、「チケット」「パビリオン」「予約」が上位3位以内にランクインしていることが分かります。

図表3

万博関連の検索キーワード ランキング推移

上位3つのキーワードについて、実際に検索データを見ていくと、「チケット」については購入方法に関する検索が中心となっており、まとめて購入したチケットの同行者への渡し方や、同行者との万博IDの紐づけ方法など、利用に関する具体的な情報も調べられていました。また、「コンビニ」や「旅行代理店」といったワードとも一緒に検索され、オンライン購入以外の手段を検討する動きもうかがえました。

「パビリオン」に関しては、予約が必要なものや、逆に予約なしで入場できるものについての検索行動がありました。パビリオン・イベントの予約方法には、2か月前抽選・7日前抽選・3日前先着予約・当日予約と複数あり、それぞれの詳細を調べる行動が見られます。また、人気やおすすめのパビリオンや子ども向けパビリオンなど、楽しめるコンテンツを探す検索も見られました。

「予約」は上述のパビリオンや入場日の予約に関する検索に加え、駐車場やシャトルバスなどの予約に関する検索もありました。近郊主要駅からのシャトルバスや万博の東ゲートと西ゲートをつなぐ東西シャトルバスなどが調べられていたと考えられます。また、パビリオンやイベントの当日予約に関する検索もあり、会場内に設置された「当日予約端末」や、当日予約の開放時間などを検索する動きも見られました。

これら以外にも、「入場」「時間」「バス」などのキーワードも安定して上位に位置しており、来場準備に直結する情報ニーズが強いことが分かります。加えて、4月と7月には「ブルーインパルス」がランクインしました。万博開幕日の4月13日に予定されていた展示飛行は悪天候により中止されましたが、7月12日・13日に改めて実施され、注目度の高さがうかがえます。

このように、検索トレンドを見ていくと、来場準備や体験内容に関する具体的な情報ニーズがあることがわかります。

3. 属性別の関心領域:コレスポンデンス分析から読み解く検索行動

次に、「万博」とともに検索された様々なワードを対象にコレスポンデンス分析を行いました(図表4)。コレスポンデンス分析とは、カテゴリデータ(クロス集計表)に含まれる行と列の関係性を、低次元に可視化する多変量解析手法です。今回は性年代(行)と検索キーワード(列)の距離や位置関係を2次元空間にマッピングすることで、属性ごとの検索キーワードの傾向の違いを視覚化しました。各属性に近い位置にあるワードほど、その属性との関係性が強いと解釈できます。つまり、ある検索ワードが特定の属性の近くにプロットされている場合、その属性の人々がそのワードを検索する傾向が高いことを示しています。

図表4

検索語データのコレスポンデンス分析(性年代×万博関連の検索キーワード)

図表4を見てみると、横軸(第1軸)は性別の違いを、縦軸(第2軸)は年齢層の違いを反映していると考えられます。例えば、左側に位置する「印刷」「地図」「土産」は、比較的女性の関心が高く、右側に分布している「ID」「ブルーインパルス」は男性の関心が高かったと考えられます。

続いて、性年代ごとの特徴を見ていきましょう。本章では特に、前章で触れなかったワードに着目し、各属性の特性を確認していきます。
まず、男女20代・女性30代は「抽選」「ログイン」と近接しています。デジタルデバイスを使って、各種パビリオン・イベントの抽選を検討していた様子がうかがえます。また、女性20代・女性30代の近くには「スタンプ」というワードも見られます。万博では各パビリオン・施設でスタンプを集めることができ、これらの属性で関心が高かったと考えられます。

次に、男性30代は「混雑」、「時間」、「いつ」といったワードと強く結びついています。混雑状況や所要時間を事前に把握し、効率的に行動しようとする傾向を示していると考えられます。男性30代・男性50代は「駐車」や「バス」といった移動関連ワードが近く、車や公共交通機関でのアクセスについてよく検索されていたことがわかります。

一方、女性中高年層では、女性50代・女性60代の近くに「ショー」というワードが位置しています。毎晩開催された水上ショーやドローンショーといった演出型イベントがこの層に注目されていたと考えられます。また、「地図」「マップ」「場所」といったワードも比較的近く、万博内施設の位置情報への関心が寄せられていたことがうかがえます。

このように、検索語データをコレスポンデンス分析で可視化することで、各性年代の特徴や関心の違いを把握することができます。

4. 万博の半年間とこれから

約半年間にわたって開催された大阪・関西万博では、多くの人々が公式サイトを訪れ、検索行動を通じて情報を収集していました。特に京阪神エリアの居住者においては毎月平均で約5人に1人が万博公式サイトにアクセスしていたことがわかっており、高い関心が寄せられていたことがうかがえます。

今回は検索語データをもとに、生活者の関心やニーズを分析しました。万博では、オンラインでの予約が中心となり、「チケット」「パビリオン」「予約」など、来場手続きや来場に向けての情報収集に関するキーワードが多く検索されていました。また、性年代ごとの検索傾向の違いが明らかになり、関心の方向性にも差があることが見えてきました。

このように、イベント開催時には、デジタル上の行動データから人々のニーズや期待を読み解くことが可能です。大阪・関西万博は閉幕しましたが、2年後には横浜で「花博」の開催が予定されています。このような分析は、大型イベントはもちろん、今後開催されるさまざまなイベントにおいても活用できるでしょう。


今回の分析は、以下のデータを用いて行いました。

i-SSP®(インテージシングルソースパネル®)
当社の主力サービスであるSCI®(全国消費者パネル調査)を基盤に、同一対象者から新たにパソコン・スマートフォンからのウェブサイト閲覧やテレビ視聴情報に関するデータを収集するものです。当データから、パソコン・スマートフォン・テレビそれぞれの利用傾向や接触率はもちろん、同一対象者から収集している購買データとあわせて分析することで、消費行動と情報接触の関係性や、広告の効果を明らかにすることが可能となります。

著者プロフィール

薮本 まみ (やぶもと まみ) データマネジメント事業本部 コンシューマーデータマネジメント部
2023年に大学卒業後、インテージに新卒で入社。
パネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のスマートフォンとパソコンのメディア利用調査の運用を担当。i-SSPモニターの管理・運用やデータ品質の維持に携わる。
また社内外へのi-SSPデータを使用した情報発信など、パネルデータの利活用を促す業務を担当。

9月に万博会場を訪れました。とても混雑していましたが、各国のパビリオンを楽しむことができました!ミャクミャクが恋しいです…。

2023年に大学卒業後、インテージに新卒で入社。
パネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のスマートフォンとパソコンのメディア利用調査の運用を担当。i-SSPモニターの管理・運用やデータ品質の維持に携わる。
また社内外へのi-SSPデータを使用した情報発信など、パネルデータの利活用を促す業務を担当。

9月に万博会場を訪れました。とても混雑していましたが、各国のパビリオンを楽しむことができました!ミャクミャクが恋しいです…。

著者プロフィール

岩淵 崇宏(いわぶち たかひろ) データマネジメント事業本部 コンシューマーデータマネジメント部
2022年にインテージに新卒で入社。 入社後3年間消費者パネル調査「SCI」の運用を担当後、今年度からパネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のスマートフォンのメディア利用調査の運用を担当。

2022年にインテージに新卒で入社。 入社後3年間消費者パネル調査「SCI」の運用を担当後、今年度からパネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のスマートフォンのメディア利用調査の運用を担当。

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