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防災意識調査2025~生活者の“備え”現在地

2025年の防災対策に関する最新調査の結果をご紹介します。物価高や災害意識の変化が影響する中、実際の対策状況や男女差、個別ニーズへの対応、そして生活者の自己評価にはどのような傾向が見られるのでしょうか。調査結果から、防災意識・備えの現在地を読み解きます。

1. 防災費用「かけたい額」が減少。現実と理想は依然2倍の差

調査結果によると、1人あたりの防災対策費用(過去1年・平均)は前年より微増し2,892円でした。しかし、今後かけたい費用は5,473円(前年比95.2%)と、2023年の調査開始以来初めて、前年からの減少に転じました。「かけたい費用(理想)は実際にかけた費用(現実)の約2倍」 という差も依然埋まりません。この要因として、物価高騰の影響や、2024年初頭の能登半島地震後に上昇した防災意識が徐々に薄れていることが考えられます(図表1)。

図表1

防災対策費用平均(1人あたり)

2. 対策実施率はわずかに上昇も、女性主導で進む家庭防災

なお、インテージでは、 能登半島地震直後の2024年2月、南海トラフ地震臨時情報が発令された2024年8月にも緊急調査を実施。。こちらではそれぞれかけたい費用が5,674円・5,930円と高水準を示していました。特に昨年8月の一時的な伸びは、南海トラフ地震臨時情報発令による影響と見られますが、今回調査ではそこから450円余り減少する結果に。こうした変化は、図表1で示された防災意識の揺らぎを、静かに裏付けているように見えます。

防災費用の支出変化の裏付けともいえる「実際の対策状況」にも、変化が見られます。家庭で何らかの防災対策を実施している人の割合は51.8%に達し、過去最高となりました。「分からない」もわずかながら減少を続け1割を切る形で減っています。前年からの大きな伸びはありませんが、経年で比較すると一定防災対策が進んだ様子がうかがえます(図表2)。

図表2

家庭での防災対策状況

男女別で見てみましょう。男女とも防災対策への関与は増加傾向ですが、特に女性の積極性が見られます。女性は「主に自身が防災対策をしている」割合が年々上昇し、2025年には30.1%に達しました。一方、男性は受動的傾向が続いていることが読み取れます。対策が女性主導で進んでいることが明らかになりました(図表3)。

図表3

家庭での防災対策状況(男女別)

3. 簡易トイレが前年比123.6%など個別ニーズ・猛暑対策が拡大

家庭での防災対策が広がる中、具体的な取り組みにも変化が見られます。2025年は「簡易トイレ」の準備が前年比123.6%と大幅に増加し、断水や避難生活への備えが強化されています。また、「避難所を確認・家族で共有」(108.5%)や「生理用品」(108.4%)、「持病の薬・常備薬」(104.1%)など、家族構成や健康状態、生活環境など個々の事情に応じた備えや配慮、いわゆる“個別ニーズ”への対応も進展。さらに、近年の猛暑を背景に、「冷房がきいた施設での高温対策」(107.8%)や「緑のカーテンによる暑さ対策」(104.1%)など、熱中症予防の取り組みも広がっています。猛暑対策や防災訓練への参加も増加傾向にあり、災害の多様化に応じた備えが浸透しつつあるようです(図表4)。

図表4

家庭での防災対策内容 前年比TOP10

4.「できている」1.8%~防災対策への自己評価は低水準

具体的な対策が広がる一方で、防災への自己評価には依然として課題が残ります。
最後に、防災対策に関して生活者自身はどう思うのか、見ていきましょう。
今回の調査では「できている」と自信を持って答えた人はわずか1.8%にとどまり、前年と比較してもほぼ横ばいです。「できている」「どちらかといえばできている」回答者の合計は増えていますが、「できていない」「どちらかといえばできていない」と感じている人も前年より増え、全体の43.2%を占めました。対策の実施率が上昇する中でも、自身の備えに不安を抱く人が多いことは、情報不足や対策の質への懸念を示しています。今後は、対策の「見える化」や、達成感を得られる仕組みづくりが求められます(図表5)。

図表5

防災対策「できている」?「できていない」?自己評価

5.「できていない」と感じる理由は費用?スペース?~ハードルと今後の課題

それでは、防災対策が「できていない」と感じる背景には何があるのでしょうか。複数回答で理由を聞いたところ、最多は「実感が湧かず優先度が低い」(42.1%)で、災害の非日常性が備えの後回しにつながっていることが分かります。次いで「何から始めればよいか分からない」(40.3%)、「費用が高くて難しい」(30.6%)、「備蓄スペースが足りない」(27.8%)など、知識・経済・住環境面でのハードルも顕著でした。これらの課題を解消するには、身近で分かりやすい情報提供や、手軽に始められる対策の提示、いわゆる“スぺパ”の良い商品やサービス提供が鍵となるのかもしれません(図表6)。

図表6

防災対策「できていない」と思う理由

2025年、防災対策にかけたい費用が調査開始以来初めて減少に転じ、生活者の防災意識は“踊り場”に差しかかっています。今、生活者は何に不安を感じ、何を求めているのでしょうか。備えたいという気持ちがあるにもかかわらず、行動が伴わないのはなぜか──そのギャップを埋めることが、ブランドや商品・サービスが“次に選ばれる存在”となるための鍵となりそうです。インテージでは今後も生活者の防災意識に注目してまいります。

著者プロフィール

依田 亜矢香プロフィール画像
依田 亜矢香
株式会社インテージの市場アナリスト兼広報担当として勤務。消費者行動と市場動向の分析を専門とし、特に季節イベント・社会課題分野で多くのプロジェクトに携わる。主婦・生活者としての視点も活かしながら、日々の暮らしに根ざしたリアルな消費者インサイトを探求。

株式会社インテージの市場アナリスト兼広報担当として勤務。消費者行動と市場動向の分析を専門とし、特に季節イベント・社会課題分野で多くのプロジェクトに携わる。主婦・生活者としての視点も活かしながら、日々の暮らしに根ざしたリアルな消費者インサイトを探求。

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