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クルマ購入前の検討行動~Car-kitから見る自動車市場③~

クルマを買うということ

小売物価統計調査によると、2022年に販売された登録車の平均価格は353万円、軽乗用車は152万円です。平均世帯年収が546万円である中で、決して安い買い物ではありません。また、自動車検査登録情報協会によると乗用車の平均保有年数は1993年には9.3年、2003年には10.8年、2013年には12.6年、2023年では13.4年とどんどん長くなっています。現在では、25歳で初めて車を購入して75歳まで運転を続けるとしても人生を通して4~5回しか購入しない計算です。

生涯での車の購入台数については以下の記事に記載しましたので、ご興味があればご覧ください。
人生で最初に購入するクルマの価値は?~LTVの測定から考える1台目購入の重要さ~ – 知るギャラリー by INTAGE

そんな自動車の購入は、食料や日用品の購入とは大きく異なっています。例えば飲料であれば、新しく出た飲み物をコンビニで見つけてその場で購入してみるということもよくあります。もし口に合わなかった場合でも「あのジュースはまずかったな、もう買わないようにしよう」で済ませればいい話です。こと自動車においては値段も高く、買い替えが10年先になってしまうため、「今回の車は失敗だな」で済ませることは難しいでしょう。それを防ぐために自動車の購入時には、販売店での試乗だったり複数車種の相見積もりを取ったりします。むろんそれまでにもインターネットやカタログでの入念な情報収集が行われているはずです。

自動車の購入者は、購入の何か月前から情報収集を始めているのでしょうか。また、試乗を行う人はどのくらいいるのでしょうか。今回は、Car-kit2024年3月調査のデータを用いて自動車の購入を予定している人の検討行動について見ていきます。

購入予定者の検討行動

自動車の購入に至るには、一般的に以下のような検討行動を取ると考えられます。

・情報収集をしたか(雑誌やインターネット、人に聞く等)
・カタログを取り寄せたか(インターネットや電話 等)
・お店にクルマを見にいったか
・試乗したか

また、自動車の検討行動は、購入タイミングによって変わってきます。検討を始める段階ではいろいろな車種の情報を浅く広く収集するでしょうし、購入が近づくと購入したい車の見積もりを取ったり試乗をしたりと購入したい数車種について詳しく情報を得るようになるはずです。

そして、新車ではメーカーの正規ディーラーでの購入が一般的であるのに対して、中古車ではメーカーの直営店もあるものの複数メーカーの車を取り扱う中古車専門店での購入が多くを占めます。購入形態の違いから、新車と中古車でも検討行動が異なると考えられます。

加えて、購入予定の車の種類によっても検討の仕方が変わってきます。趣味性の高いスポーツカーを購入する人と通勤用にコンパクトカーを購入する人では情報収集量や試乗の重要度に差がみられるはずです。車の種類の区分は車種・ボディタイプ・登録車/軽自動車などが考えられるでしょう。

これらを明らかにすることは、いつ、誰に、どこで情報提供をするかという施策を考えるヒントになります。そこで今回は、上記の検討行動の実施度合いが以下の3つの要素によってどのように変わるのかを確認してみましょう。
① 購入を予定している時期
② 新車/中古車どちらでの購入を予定しているか
③ 登録/軽自動車どちらの購入を予定しているか

まず、「①購入を予定している時期」別でデータを確認します。
上記4つの行動を1か月以内に取っている人の割合は、それぞれ図表1の通りです。1年後に購入予定の人でも3割程度の人が情報収集を始めています。3か月後に購入予定の人は半数以上が情報収集を始めます。1か月後に購入予定の人にもなると、50%と半数の人がお店に車を見に行っており、そのうち6割程度にあたる32%が試乗をしているようです。

図表1

購入予定時期別の検討行動実施率

1か月後に購入予定の人で、各行動の実施率を比較すると、「カタログを取り寄せた」の割合は販売店への来店率を大きく下回っています。インターネット普及前にはカタログを取り寄せて車の情報を見るのが一般的でしたが、現在はWEB上でメーカー公式の情報やSNSの口コミなど様々な情報を見ることができるためでしょうか。

次に、1か月後に自動車の購入を予定している人の検討行動について、「②新車と中古車どちらの購入を予定しているか」でどう変わってくるのかを比較してみましょう(図表2)。中古車購入予定者は新車購入予定者よりも検討行動を取っている人が少なくなっています。中古車ディーラーでは購入時にひとつの販売店で複数のメーカーの車種を見比べることができる店も多く、その中から車の状態なども加味して選ぶため、事前の情報収集を行わない人も多いのかもしれません。

図表2

新車/中古車別の検討行動実施率(1か月後購入予定者)

最後に、1か月後に新車の購入を予定している人の検討行動について、「③登録車と軽自動車どちらの購入を予定しているか」で比較しました。登録車/軽自動車で比較した場合、登録車の方が試乗を行っている人が多くなっていますが大きな差は見られませんでした。

図表3

車種別の検討行動実施率(1か月後新車購入予定者)

まとめ

今回は、Car-kitデータからクルマの購入予定者の検討行動を確認しました。新車購入予定者では5割程度が4か月以上前から情報収集を行うなど、入念な検討が行われています。また、購入が近づくにつれてお店に車を見に行ったり、試乗をしたりと実車を確認する人が多くなっていることがわかりました。継続的にSNSやインターネット等で情報を発信して車種の認知獲得・魅力をアピールし、販売店への来店につなげることが重要だと言えるでしょう。また、中古車を購入予定の人は新車と比較して購入1か月前までの検討行動の実施率が低く、新車とは違ったアプローチが必要になりそうです。

メーカーがプロモーション施策などを考えるにあたっては、購入者が情報収集に用いた媒体や重視した車種のアピールポイントを探るのが一般的です。併せて、まだ商品を買っていない段階の人が、どのようなタイミングで、どのような媒体から、どのような情報を収集しているのかを知ることで、検討フェーズに合わせた施策のヒントが得られるかもしれません。


【参考】
小売物価統計調査
小売物価統計調査 小売物価統計調査(動向編)全国統一価格品目の年平均価格-全国(2000年~) | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)
自動車検査登録情報協会 自動車保有動向
わが国の自動車保有動向 – 一般財団法人 自動車検査登録情報協会 (airia.or.jp)


Car-kit®(自動車パネル)
株式会社インテージが毎月約70万人から前月の自動車情報を取得しているシンジケートデータです。現有車や次期意向などを聴取する市場動向把握調査と、契約者に対して購入理由や購入時の重視点などを聴取する契約者調査の2部構成で実施しています。
※Cat-kitは株式会社インテージの登録商標です。

著者プロフィール

重岡伶奈プロフィール画像
重岡伶奈
2021年に大阪大学卒業後、インテージ入社。大学では行動経済学を専攻。
入社後は主に自動車業界の調査を担当している。

2021年に大阪大学卒業後、インテージ入社。大学では行動経済学を専攻。
入社後は主に自動車業界の調査を担当している。

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