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「クルマの買い方」からコロナ禍の影響を振り返る

2020年にはじまった新型コロナウィルスの流行により、私たちの生活には様々な変化が起きました。現在は感染状況の落ち着きや一定の免疫獲得、コロナ下の生活に対する慣れにより、生活者の行動はコロナ前の状況に近づきつつあるものの、この間利便性が感じられた「変化」については定着がみこまれるものもあります。

例えば、高額な耐久消費財の買い物の仕方には、どのような「変化」が見られていたのでしょうか?そしてその変化はそのまま定着するのでしょうか。コロナ禍で外出自粛が続く中で行った「自動車の買い方調査」をもとに振り返ってみたいと思います。

コロナ前と比べた買い物意識の変化

まずは買い物全般について、意識や行動がどのように変化したのかを見てみましょう。
図表1は2022年6月の段階でコロナ前からの変化について調査した結果です。

図表1

コロナ前後での買い物意識変化(一部抜粋)

目立ったのが、「店舗での滞在を極力減らす」という行動でした。店舗への訪問回数やお店の滞在時間を減らし、インターネットで買い物をする機会を増やしています。また、店舗での滞在時間を必要最低限に抑えるためか、店舗訪問前にしっかりと情報収集する人や、事前に購入銘柄を決めていく人も増えています。

一方で、無駄な買い物をしない様になったという人と、高くても気に入ったものは購入する様になったという人が増えており、メリハリ消費傾向の高まりが見られました。このような変化からも、じっくりと検討するための事前情報収集の重要性が増したと考えられます。

では、自動車の購入においても同様の変化はあったのでしょうか。ここからは、自動車の買い方について、コロナ前との比較を行ってみたいと思います。

自動車の情報収集行動 「コロナ前」とどう変わった?

図表2はコロナ前(2018~2019年)とコロナ以降(2020~2022年)に新車の購入・契約をした人を、Car-kit(インテージが毎月70万サンプルから取得している自動車保有実態データベース)よりそれぞれ抽出し、「購入(契約)でディーラー・販売店を訪問する前に、何を買うか具体的に決めていたか?」を聴取した結果です。購入する車を事前に決めていた人は2.6ポイントとやや増加していました。

図表2

購入(契約)でディーラー・販売店を訪問する前に「何を買うか具体的に決めていた」割合

また、購入前にどのように情報収集を行ったかを聞いたところ、図表3の様にディーラー・販売店を訪問して情報を得たという人が減った一方で、インターネットや雑誌で情報収集をする人が増えていました。特に「メーカーホームページ」や「ユーチューバーの紹介動画」が増えており、正確な情報や細やかな動画でしっかりチェックして購入を検討する人が増えた様子が伺えます。自動車に関心がある層に、店舗以外の接点で情報を届ける重要性が高まっていると言えそうです。

図表3

購入検討時の情報収集方法

店舗に行く前の情報収集行動が増えた結果、検索する情報はどのように変化したのでしょうか。図表4は購入を検討した際にネットで調べた、という情報のうち、特にコロナ前からの変化が大きかった項目をピックアップした結果です。

図表4

購入検討時にネットで調べた項目(一部抜粋)

サイズや運転補助機能、実際の運転・利用シーンを調べる人が増えたのは、事前に生活の中での利用を想起することで、店頭に行く前に絞り込むという買い方が増えたものと考えられます。
また、内装デザインやカラーバリエーションを事前に調べることで、自身のニーズにマッチしているかをインターネット上の情報で判断しているようです。
昨今の半導体不足による納車遅れを懸念してか、納車タイミングを検索している様子も見られます。

「店頭でしか得られない情報」への期待

ここまで、コロナ前の自動車の購入行動と比較して、オンラインでの情報収集行動が増えていること、ディーラー・販売店を訪れる前に買う車名まで決まっている人が増えていることを見てきました。この変化の中で、ディーラー・販売店に対しては何を求めているのでしょうか。

図表5は車を購入検討する中で、インターネットで調べたものの、「店頭で確認したい、店員から説明を受けたい」と思った項目を聴取した結果です。

図表5

購入検討時にネットで調べたが、「店頭で確認したい/店員から説明を受けたい」と思った項目(一部抜粋)

多かったのが、実際の色味や走行性能、静寂性、スイッチの操作性といった体感要素です。高額な買い物なので、最終的な判断については実際に見て触って決めたいと思う人が多いようです。
また、割引や保険、ローンなどお金に関する話や納車タイミングの話は直接対面で確認したいという要望も強いようです。納得するまで話を聞けるという安心感や、直接会うことによる交渉のしやすさを求めているのでしょうか。

新型コロナウィルスの5類移行などにより、コロナ前の状態にさらに近づくことが期待されますが、「店舗訪問前の情報収集・購入商品の選定」といった購買行動はコロナ禍を経て常態化した可能性があり、その堅実性からもコロナ前の購買行動に戻るのは部分的と考えられます。また、値上げなどの影響で支出抑制意識やメリハリ消費は続くものと思われ、情報を収集して吟味する行動はさらに定着するでしょう。

結果として、自動車においては、来店前のコミュニケーションや情報提供で選ばれることが今後ますます重要になってくるものと思われます。店舗担当者には情報収集により知識レベルが向上した生活者への対応力や、顧客が対面コミュニケーションに求めることの理解、対応が求められそうです。

※今回、同じく耐久消費財である家電や住宅についても、情報収集行動や購買行動の変化を調査しました。結果にご興味のある方は、是非お問い合わせください。


この記事はインテージ西日本支社の重点取組テーマ活動で実施した自主調査結果を元に作成しています。重点取組テーマでは他に「生活者研究(Z世代)」「SDGs×マーケティング」などを設定して活動しています。


【調査概要】
調査方法:Web調査
対象者条件:全国20~69歳男女
標本サイズ:n=2017s(人口構成比(性年代×エリア)に準拠して回収)
調査実施期間2022年5月31日(火)~6月2日(木)

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