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物価高でも揺るがない“推しパワー”~世代別に見る推し活の今

物価高や円安の影響が続く中でも、推し活は生活者の心の支えに。全国5,000人を対象にした最新調査から、世代別・ジャンル別の推し傾向、市場規模、そして推し活がもたらすポジティブな影響を読み解きます。

1. 推し活人口は3人に1人、人気ジャンル「音楽」「アイドル」「俳優」が上位に

推しを持つ人は全体の35.1%で3人に1人。男性に比べて女性で高くなっており、男女ともに若年層ほど推しを持つ傾向があります。最も高いのは女性15-19歳で、75.0%にも及びました。次いで、女性20代が65.5%、男性15-19歳が52.7%で続きます(図表1)。

図表1

あなたには「推し」がいますか(ありますか)? 性年代別

次に、どのようなジャンルを推している人が多いのかを見てみましょう。「ミュージシャン・バンド」が最も多く、全体の10.9%。「国内のアイドル」(10.2%)、「俳優・女優・モデル・タレント」(8.8%)、「アニメ」(8.6%)、「スポーツ選手」(7.2%)が続きました(図表2)。

図表2

「推し」のジャンルは? TOP10

2. 市場規模最大は「国内アイドル」、4,709億円

過去1年間で推し活に使った総額は平均で「国内のアイドル」が最も高く47,832円で、「ミュージシャン・バンド」が33,719円、「K-POPアイドル」が26,742円で続きました。ライブへ行く活動やCDやDVD・Blu-rayを購入することが多いと思われるものが上位に挙がっています。今回の調査結果と15~79歳の推定人口(※)から市場規模を試算したところ、1位「国内のアイドル」で4,709億円、2位「ミュージシャン・バンド」で3,548億円、3位「スポーツ選手」で1,565億円となりました(図表3)。「K-POPアイドル」「アニメ・漫画・ゲーム以外のキャラクター」など推している人が多いジャンルが支出額に比べてランクアップしています。
※使用した推定人口は、2020年の国勢調査データをもとに人口動態などを加味したインテージ独自の母集団人口データ

図表3

「推し」のジャンルごと支出額/市場規模ランキング TOP10

3. 性年代で異なる傾向と広がる“推し”の幅~大谷翔平から鬼滅の刃、猫まで

推し対象は性別・年代により大きく異なります。男性は10代で「YouTuber/VTuber」、20代で「アニメ」、30代以上で「ミュージシャン・バンド」、70代で「スポーツ選手」が主流です。代表例は「HIKAKIN」「SPY×FAMILY」「B’z」「大谷翔平」。女性は10〜30代で「国内アイドル」が圧倒的で、「Snow Man」「SixTONES」「嵐」が人気。40代以上は「ミュージシャン・バンド」、70代は男性同様「大谷翔平」が支持されています。15〜19歳女性は「K-POPアイドル」も支持が高く、「BTS」の人気が目立ちます。世代ごとの違いはライフステージや価値観の変化を映すものといえます。

図表4

「推し」のジャンルは? TOP3 性年代別

それでは、世代や性別を超えて、今もっとも人々の心をつかんでいる“推し”は誰なのでしょうか。
ジャンルを超えた自由回答ランキングでは大谷翔平が圧倒的1位でした。スポーツ選手としての活躍だけでなく、キャラクターや生き方への共感も大きな理由でしょう。続いて「Snow Man」「Mrs. GREEN APPLE」など音楽・アイドルが続きます。「猫」や「犬」、「ちいかわ」などの人以外の推しも多く、推し活が癒しや安心感を求める行動として広まっていることがうかがえます。また映画の世界でも快進撃を続ける「鬼滅の刃」のほか、「名探偵コナン」「ワンピース」など長年愛されるアニメ・漫画もランクイン。推しはジャンルを超えて“生きる力”を与える存在となっています。その多様性こそが、推し活の広がりと強さを物語っています(図表5)。

図表5

「推し」自由回答ランキング

4. 物価高でも推し活は堅調、54%が影響なし

2021年後半から物価高が始まり、現在も続いていますが、「推し活」も影響を受けているのでしょうか。“日常の料理や食材の費用”、“水道・電気・ガスの使用量”では、7割が「影響を受ける(「かなり影響する」+「やや影響する」)」と回答しているのに対し、“「推し活」全般”では、「全く影響しない」が54%を占めていました(図表6)。

図表6

物価高や円安はどの程度影響(予算を減らしたり行動を控えたり)するか

5. 高齢層における推し活の心理的・生活的意義

年代別に見ると、“「推し活」全般”に物価高や円安は「全く影響しない」と回答したのは高齢層で顕著で、60代で73.0%、70代で66.3%でした(図表7)。60代以上では男女ともに推しの対象として「スポーツ選手」が上位に挙がり、「テレビ番組を見る」が主な「推し活」となっていることから、「推し活」自体にかかるお金が低めなことも要因の1つです。ただ、それだけではなく、「推し活」をする理由や気持ち(自由回答)からは
・「生活の中に楽しみと活気を取り戻すため」(70代男性)
・「全て忘れてのめり込める」(70代女性)
・「推しに会うため、日々の体調や体型を整えようと努力する事で自然に幸せを実感できる」(60代女性)
・「自分が苦しかった時、本当に精神的に救ってもらったと感じているから、他の人に移れない」 (60代女性)
といったように、「推し」が日々の活力の源となっていたり、かけがえのない存在であることが伺えるコメントが見られます。
また、最も熱心な20代30代女性においても、日常の出費は物価高の影響を受けつつ「推し活」の費用は確保している面も見えてきました。
・「幸せ、満たされる。元気になれる」(30代女性)
・「元気をもらう 仕事を頑張る活力」(50代女性)
・「曲を聴くと元気がでる」(40代男性)
・「毎日の癒し」(15-19歳女性)
・「生きがいになるし、元気や楽しみをもらえる存在です」(15-19歳男性)
と、年代やジャンルを問わず「推し活」から元気や癒し、楽しみを得ており、物価高に揺るがない「推し活」市場を支えています。

図表7

物価高や円安は「推し活」全般にどの程度影響するか 性年代別

推し活がもたらす元気や癒し。今や推し活は、単なる趣味を超え、世代を問わず人々の心を支える存在となっていることが今回の調査から分かりました。経済的な影響を受けながらも、物価高にも揺るがないその熱量は、これからも多くの人々の原動力であり続け社会を動かす大きな力となりそうです。インテージでは今後も「推し活」に注目してまいります。

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