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生活者インデックスデータ

リサーチフィールドサイエンス~スマホ回答の研究:スマホの持ち方と操作性の違いが与える影響

いまや生活者向けのマーケティング立案に欠かせない手段となっているネットリサーチ。聞きたいことを手軽に聞くことができるというメリットがある一方、正しく実態を捉えて意思決定に用いるには、手法の特徴を理解した上で活用することが重要となってきます。インテージでは、「フィールドサイエンス&品質プロジェクト」を2009年に立ち上げ、ネットリサーチの特徴理解、品質確保のために必要なコントロールの把握などを進め、サービスに反映してきました。フィールドサイエンスの意義については、こちらの記事で解説しています。

今回の記事は、スマホでのアンケート調査回答がテーマです。スマホの持ち方や回答画面の操作性の違いが回答に与える影響についての研究結果をご紹介します。

「スマホ」の普及と画面の大型化はインターネット調査の結果に影響する?

インターネット調査が普及し始めたころ、アンケート回答者はパソコンで調査に回答していましたが、スマホの普及によって、若年層を中心にスマホで回答する人が増え始めました。今では10代や20代はほとんどの回答者がスマホで回答しており、それ以外の年代でもスマホでの回答者比率は上昇し続けています。(図表1)

図表1
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さらに、技術の進歩とともに端末の大型化が進んで画面も大きくなっており、最近では、折りたたみ式にすることで大画面を実現しているような機種も登場しています。

このスマホ画面の大型化は、スマホの持ち方など操作方法にも影響すると考えられます。結果としてアンケート調査の回答にも影響しうるのでしょうか?そこで、スマホの持ち方と調査時の操作実態を捉えるために、自主企画調査を実施しました。

この調査では、以下の3つの仮説について、検証を行いました。

仮説1:性年代によってアンケート回答時のスマホの持ち方に違いはあるか?
仮説2:スマホの持ち方によって文字入力の方法に違いがあるか?
仮説3:選択肢の並べ方(横並び、縦並び)は、回答傾向に影響するか?

それぞれの仮説について、検証の結果をご紹介します。

仮説1:性年代によってアンケート回答時のスマホの持ち方に違いはあるか?

図表2は、スマホを持ってアンケート調査に回答する時の「スマホを持つ手」と「操作する手」を調査した結果です。左手で持つ人の方が右手で持つ人よりも多いという結果でした。さらに、操作する指との組み合わせを詳しく見てみると、全体では「左手でスマホを持って、右手の人差し指で画面を操作する」という組み合わせの人が36%と最も多いようです。ただし、性年代によって傾向は大きく異なり、男女とも若い年代ほど「右手持ち右手操作(片手操作)」が多く、年代が高いほど「左手持ち右人差し指(両手操作)」が高いという結果になっています。

図表2
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仮説2:スマホの持ち方によって文字入力の方法に違いがあるか?

年代によって異なるスマホの持ち方。文字を入力する方法も異なるのでしょうか。図表3は性年代別に文字入力方法を比較した結果です。

図表3
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若い年代ほど指を上下左右に滑らせて入力する「フリック」による入力が多い傾向が、明確に現れています。また、PCキーボードの配列にして入力する「フルキー」が占める割合は、男女とも30代以下は差がありませんが、40代以降は年代が上がるほど多くなっています。一方、画面の同じ位置のタップを繰り返して入力する「トグル」は、10代から40代にかけて年代が上がるにつれて増え、40代以降では男性は25%前後、女性では3割弱と比較的大きな構成比を占めています。ガラケー時代の名残の方法で入力しているのでしょう。

インターネット調査では、文字入力が必要なフリーアンサー形式の質問を入れることが多くあります。文字の入力を負担に感じる人は、フリーアンサーの質問には答えてくれない場合があり、とくに年齢が高い人ほど、この傾向が高いと考えられています。フルキーはフリックより入力負担が大きいので、年齢が高い人にフルキーを利用している人が多いことが影響していると言えそうです。

仮説3:選択肢の並べ方(横並び、縦並び)は、回答傾向に影響するか?

選択肢の並べ方によって、回答傾向に差はでるのでしょうか。ここでは、2段階、5段階、7段階、11段階の尺度法において、それぞれ選択肢を横に並べた場合と縦に並べた場合とで回答結果を比較しました。

図表4は、7段階のケースで提示した調査画面です。左側が選択肢の横並び画面。右側が縦並び画面です。

図表4
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2段階、5段階、7段階、11段階それぞれの画面で得られた「あてはまる計(5段階以上は「非常にあてはまる」~「ややあてはまる」といった「あてはまる」の合計)」の回答比率を比較したのが図表5です。

図表5
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2段階尺度と5段階尺度は調査結果に差がみられませんでしたが、7段階尺度と11段階尺度では縦並びの方が「あてはまる計」のスコアが高くなっています。これは、5段階以下の画面はスマホの画面をスクロールする必要がないのですが、7段階以上の画面では最初に表示される状態では、スマホ画面の大きさによっては全ての選択肢が表示されないため、スクロールせずに回答してしまったことが考えられます。

この結果から、尺度法の質問の選択肢の並び方は、できるだけスマホの画面上でスクロールが発生しない見せ方をする必要があると言えます。また、トラッキングやベンチマーク調査で、回答結果を時系列に比較してゆく場合は、選択肢の並べ方を変えてしまうと、並び方の違いによる回答影響が発生する可能性がありますので、並び方を変えずに調査を続けるべきと考えられます。

まとめ

今回の自主調査の結果から、スマホの持ち方や文字入力の仕方は人によってかなりばらついており、年代によってその傾向が大きく異なっていることが分かりました。また、スマホの画面はPCの画面よりも小さいため、回答時にスクロールを発生させると、回答結果に影響が出る可能性があることが分かりました。そのため、できるかぎりスクロールを発生させないような選択肢の数にしたり、ランダマイズをかけるなどして、スクロール発生による回答への影響を無くす必要がありそうです。

インターネット調査におけるスマホ回答者の増加への対応として、スマホ回答者を意識した調査設計や画面の見せ方が適用されるようになってきましたが、スマホを操作する人の多様性については見過ごされがちになっています。スマホ時代の調査においては、単なるPCとスマホといったデバイスの違いからさらに一歩踏み込んで、スマホの操作方法の違いなども研究し、どんな人でも回答しやすいインターネット調査の在り方を考えてゆく必要がありそうです。

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