

2025年のハロウィンに関する調査結果をご紹介します。調査からは、イベント参加率低下の一方、予定がある人の平均費用は増加という動きが見えてきました。また、物価高が“楽しみ”と“節約”の両方の背景となり、生活者の意識・行動は二極化しているようです。さらに、モバイル空間統計®のデータから、ハロウィン時期における渋谷駅周辺の人流もご紹介。生活者の財布のひもと足取りの両方から、今年のハロウィンを読み解きます。
調査結果によると、ハロウィンに予定がある人は前年から約4.2ポイント減少し24.1%でした。一方で、予定のある人の平均予算(費用)は6,565円から7,192円へと627円増加し前年比約1.1倍です(図表1)。平均予算をもとに15~79歳の推定人口(※)から今年の市場規模を試算したところ、1,673億円、2024年比で93.0%となりました。
※使用した推定人口は、2020年の国勢調査データをもとに人口動態などを加味したインテージ独自の母集団人口データ
図表1

では、どのような理由で費用が増減しているのでしょうか。複数選択で確認したところ「物価高」が費用増・費用減両方の理由として最多でした。
なお、インテージでは、季節イベントにおける消費意識の変化を継続的に調査していますが、昨年の【クリスマス調査】では“節約しながら工夫して楽しむ”傾向が見られ、今年の【ゴールデンウィーク調査】、【夏休み調査】でも、物価高がイベントの計画に影響を与える様子が明らかになっています。
今回の結果でも、ハロウィン限定商品やイベント参加など、季節ならではの楽しみを求める声もある一方で、収入の伸び悩みや外出控えなども見られました。生活者が“季節イベントを楽しみたい”と“支出を抑えたい”気持ちで揺れている様子がうかがえます(図表2)。長引く物価高とそれに見合う収入が伴わない実情が、短くない期間にわたって生活者に影響していることが分かります。
図表2

揺れる消費意識の中で、ハロウィンの過ごし方にも変化が見られます。図表3(複数選択)で具体的な予定を見てみると、「ハロウィン限定商品を買う」が9.3%と前年より1.5ポイント減少。「料理」(7.7%)や「お菓子を配る・もらう」(6.8%)も前年から低下し、主要項目の多くで前年を下回る結果となりました。物価高や生活防衛意識の高まりが、季節イベントの楽しみ方にも影響を及ぼしていることが見てとれます。
図表3

なお、予定がある人に限定すると「ハロウィン限定商品を買う」(38.4%)が最多で「料理」(31.9%)「お菓子を配る・もらう」(28.1%)が続き、いずれも前年から増加。「SNS投稿」(10.3%)も前年比+3.0ポイントで若年層を中心として予定率が高い結果でした。
最後は、モバイル空間統計®を用いて、渋谷駅周辺のハロウィン時期における人流を2019年から2024年まで時間帯別に分析した結果をご紹介します。ハロウィン時期に全国的な注目を集める渋谷では、公共空間の使われ方が議論されるなど、社会的な意味合いも強く、人流の変化が注目されています。図表4に、ハロウィン直前の土日、当日、翌日の人流を示しました。ハロウィン当日(10月31日)に着目すると、2019年にはピーク時間帯には10万人以上が集まりましたが、コロナ禍の2020〜2022年は大幅に減少。コロナ5類化後初で警戒された2023年は渋谷区の「来ないで」呼びかけもあり、抑制された人流が続き、同6万人弱でした。2024 年当日も抑制傾向でしたが、翌日金曜には7万人まで増加したので、ハロウィン当日が金曜にあたる今年は、さらに人流が集中する可能性も。渋谷ハロウィンは、都市型イベントの象徴であると同時に、公共空間のあり方を問う社会的なテーマとして今後も注目されます。
図法4

2025年のハロウィン参加者は減り、費用は増える。この“ねじれ”は、消費の二極化が加速している証かもしれません。今回は支出予定に加え、都市型イベントの象徴「渋谷ハロウィン」の人流まで踏み込んで分析しました。今年のハロウィンは、そして今後日本のイベント傾向はどうなっていくでしょうか。インテージでは、今後も季節イベントを「消費の縮図」として引き続きウォッチしてまいります。
【調査概要】
【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】
調査地域:日本全国対象者条件:15~79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=5000 ※国勢調査にもとづき性別・年代・地域を母集団構成に合わせて回収
調査実施時期: 2025年9月24日(水)~9月29日(月)
【モバイル空間統計®・国内人口分布統計(リアルタイム版)】
※モバイル空間統計®は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
ドコモの携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報です。
集団の人数のみをあらわす人口統計情報であるため、お客様個人を特定することはできません。
インテージは「モバイル空間統計」の1次販売店です。
モバイル空間統計・人口マップ https://mobakumap.jp/
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