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若者も歓送迎会を楽しみたい! ~出会いと交流、感謝だって伝えたい ~生活者スナップショット Vol.10

1. はじめに ~春のおとずれ~

3月。関東では梅の盛りも過ぎ、気の早い河津桜が見頃を迎えています。私は春の花では「ミモザ」も大好きで、この時期になると「神奈川、ミモザ」などで検索を行い、ミモザ目的のサイクリングコースを作っては訪れたりもしています。良く晴れた日にはミモザの黄色が青空に映えて本当に素敵です。実は今回の本コラムのカバー写真も恥ずかしながら私が撮影したものを利用してもらいました。
これからの季節は、コブシにハナミズキなど日々咲き誇る花々が入れ替わり、私たちの目を楽しませてくれます。
みなさんも春と言えば、という花や木をお持ちでしょうか?

川崎市 井田山緑地近くのミモザ(著者 撮影)
川崎市 井田山緑地近くのミモザ(著者 撮影)

2. 行動意欲は回復しつつ警戒心を内に秘め

いつもの定点調査から、新型コロナの感染不安と行動不安を見ていきましょう。
直近の3月では、36%と感染不安はかなり低いレベルにあります。インフルエンザが大流行しており、その陰で多く発生していた新型コロナの感染者も年末年始には4割を越えていましたが、現在はその不安も過ぎ去った印象です。現在、通勤電車や街中で見かけるマスク姿は、インフルエンザなどの予防よりも「花粉対策」を理由とした方が多いのではないでしょうか。

現在もアンケートでは「新型コロナ」と表現して感染不安を質問していますが、新型コロナの感染者数の動きだけでなく、インフルエンザの感染者数にも強い相関があり、感染不安のスコアが増減しています。従来は新型コロナが夏期と冬期、インフルエンザが冬期というそれぞれの感染拡大シーズンがありましたが、2023年は9月から2024年3月にかけてインフルエンザの感染が多くみられたように感染拡大シーズンに変化があるようです。そうした事象を勘案するとそれぞれ別々にウォッチしていく必要性もありそうです。

行動不安も感染不安の減少により、あるいは「春」に向かっていることもあり、各指標共に過去最弱レベルとなっています。「飲食店での食事」や「国内旅行」については2割程度です。一方で、「テーマパークや繁華街など、人が集まる場所への外出」については減少傾向にあるものの不安は大きく4割弱となっています。不特定多数の人との接触については一定の警戒心を保ち続けていることがわかります。(図表1)

図表1

感染不安と行動不安の推移(2020.3~2025.3)

続いて、消費に関わるマインドです。
節約意識については7割弱(68%)と相変わらず高い水準を推移しており、昨秋から緩やかに増加傾向にあります。秋以降に多くの商品で値上がりラッシュがあったことがその要因と考えられます。帝国データバンクのリリースでは、2025年1~4月の値上げ品目数は約6,000品目が計画されており、昨年と比較して約6割の増加となるとのことです。※1

やれやれ。

また、暮らし向きの回復に対する期待も「そう思わない」が4割を超え、こちらも上昇傾向にあります。
春と言えば、桜の開花だけでなく、「春闘」もあります。ここ数年はニュースなどでも「ベアアップ」、「満額回答」といった景気の良い声も目立ちますが、アンケートの結果からは今月もそうした明るいムードは見受けられません。(図表2)

やれやれ。本当にやれやれ、という気分です。

図表2

感染不安と節約意識の推移(2020.3~2025.3)

3. お財布の紐が緩むもの

定点調査の中から消費マインドに関するデータをもうひとつ。「来月、あなたが一番お金をかけたいと思うモノ、コトは何ですか?」という質問です。今回はこれからイベントやレジャーが盛んになるシーズンに関係の深そうな「旅行・ドライブ」、「外食」、「アルコール飲料」を取り上げてみました。
データを眺めると「旅行・ドライブ」が大きくスコアを伸ばしていました。男性よりも女性の方が旅行やドライブといったイベントへの気分が春の到来とともに盛り上がっていることがわかります。「外食」や「アルコール飲料」については男性の方がスコアを伸ばしていました。これからのシーズンは卒業や入学、会社においては異動など人の動きも活発になり、歓送迎会をはじめとした集まりも増える時期です。そしてもちろん、お花見などの楽しみなイベントもあるでしょう。そうした場面がスコアに反映されているのかもしれません。一方、女性は「一番お金をかけたいモノやコト」というと、「外食」や「アルコール飲料」ではないのかもしれません。メイクやファッションなども気になっているのではないでしょうか。

値上がりラッシュのお話に触れましたが、春を前に「旅行やドライブ」や「外食」などの機会も増える時期です。物価高や寒さに縮こまっていた季節を抜けて、気持ちやお財布の紐が緩む・緩めたいタイミングもありそうです。(図表3)

図表3

レジャー、外食、お酒に関する消費意欲の働き(2022.7~)

4. 歓送迎会はお好きですか?

春と言えば「歓送迎会」が増える時期です。
「歓送迎会を楽しみにしているかどうか?」について、「祝う・送る側」と「祝われる・送られる側」という立場の違いに着目しつつアンケートを行ってみました。
 「祝う側・送る側」から見ていくと、全体では約3割の人が「楽しみを感じる」と回答しています。一方で、「感じない」は4割と「感じない人」が多くなっていました。性別×年代別でみると男女ともに若年層の方が「楽しみを感じる」と回答する人が多くなっていました。「楽しみを感じる」が「感じない」を上回った層は男性10代・20代・30代(同スコア)、女性10代・20代(同スコア)・70代の6つで、他は「感じない」が上回っていました。30代~50代にかけては男女ともに年齢が上がるほどに減少傾向にあり、その理由を自由回答から見ると、「お金の負担」に関する理由が目立ちました。年代的に子育て期にもあたることから学費などの支出も多くなる時期です。また、家を購入された方は住宅ローンなどの返済期にもあたります。そうしたことからお小遣いのやりくりなどで苦慮されているのかもしれません。(図表4)

図表4

歓送迎会に関する意識①:自分自身が「祝う側・送る側」

「歓送迎会をはじめとした酒席に参加したがらないワカモノが増えた」という話題を目にすることも多いので、10~20代の声を取り上げてみました。

 《楽しみを感じる派の声》
新たな出会いを楽しみにしている(男性20-29歳) 
お世話になった人に感謝を伝えることができるから(女性20-29歳)
お互いによく知れるし、喋ったことない人との交流ができるため(男性15-19歳)

 《楽しみを感じない派の声》
お金と時間がもったいないから(男性20-29歳)
・ お金もかかるし出来るだけ自分の時間をとりたい(女性20-29歳)
大人数での集まりが苦手だから(男性20-29歳)

「楽しみを感じる派」は歓送迎会に参加することによって、新しい出会いやその場での交流により互いの理解の深まることを楽しさの理由に挙げていました。また、お世話になった人に直接感謝を伝える機会として捉えている人もいました。
一方で「楽しみを感じない派」はお金と時間の負担感を挙げる人が目立ちました。また、大人数での集まり自体を苦手と考えている人も楽しくない理由になっているようです。

「祝われる側・送られる側」についても全体では約3割の人が「楽しみを感じる」と回答しています。一方で「感じない」はこれまた4割となっており、「感じない人」が多くなっていました。性×年代別でみると男女ともに若年層の方が「楽しみを感じる」と回答する人が多くなっており、先の逆の立場の場合と同じような傾向となっています。
「楽しみを感じる」が「感じない」を上回った層は男性10代・20代・70代、女性10代・20代・70代(同スコア)の6つで、他は「感じない」が上回っていました。先の逆の立場と同様に30代~50代にかけては男女ともに年齢が上がるほどに減少傾向にありました。「楽しく感じない」理由はさまざまですが、「物価高。みんなにお金の負担を強いるのが申し訳ない」、「(スピーチなどもあり)そういった場面は苦手」、「注目されたくない」といった声が目立ちました。(図表5)

図表5

歓送迎会に関する意識②:自分自身が「祝われる側・送られる側」

こちらも10~20代の声を取り上げてみました。

 《楽しみを感じる派の声》
人生で数回、あるいは1度しかないことだからすごく楽しみ(男性20-29歳)
どんなイベントが行われるのか楽しみだから。(女性20-29歳)
自分が主役なのは結局楽しい(女性20-29歳)

 《楽しみを感じない派の声》
気を遣うから(女性20-29歳)
そういう場があまり好きではない。(女性15-19歳)
みんなの時間を使われるのが申し訳ないから(女性20-29歳)
祝われるのは好きではない(男性20-29歳)

「楽しみを感じる派」は自分が主役の歓送迎会が開催されることを「人生であまりないこと」として捉えつつ、会で催されるイベントなどを楽しさの理由に挙げていました。一方で「楽しみを感じない派」は参加される方の時間やお金を気にする声や気をつかうなど、お祝いされること自体を好まないといった声がありました。

5. お花見もコロナ前水準に回復!

最後に今年のお花見についても自主調査の結果を眺めていきましょう。
お花見の予定がある人は全体の4割にのぼり、昨年の1.2倍となっていました。新型コロナインパクトにより2021年に大きく落ち込み、その後、毎年じりじりと回復していましたが、今年ついにコロナ前(2019年)のスコアまで回復を見せました。

図表6

今年お花見を予定している・するかもしれない人

眺める桜は「昼間に近場の桜が咲いている場所(73%)、「昼間に近場の桜の名所(42%)」が昨年同様に高いものの、「日帰り旅行・ドライブ」も増えており、中でも「日帰り旅行・ドライブで桜の名所(18%)」は意向を伸ばしており、昨年の1.3倍となっていいました。「今年は少しご近所を離れて」といった気分も生まれているようです。

図表7

どんなお花見を予定してるか?

誰と一緒に桜を楽しむ予定かを尋ねたところ、「夫・妻」、「友人・知人」、「子ども」がトップ3となっていますが、「ひとりで」も1割となっており、昨年の2.2倍と存在感を見せていました。「ソロ活」という言葉もいろいろなところで見かけますが、「お花見をソロ活で」という方も増えているようです。
みなさんは今年のお花見についてどのような予定を立てていますか?

図表8

誰と一緒にお花見を過ごすのか?

「歓送迎会をはじめとした酒席に参加したがらないワカモノが増えた」とも言われますが、アンケートの結果を眺めると「新しい出会い」や「会話や交流による関係つくり」、さらには「感謝を伝えられる」などの「ならではの価値」を感じているワカモノもいるようです。

春を迎え、新入生や新入社員と「新」という言葉の踊る時期となりました。
多くの歓送迎会やお花見などの交流イベントがそこかしこでも催されるのではないでしょうか。そうした集まりに寄せる気持ちはさまざまのようですが、かれらが抱いているであろう期待や不安に想いを馳せつつ、よき想い出となるような会を準備してみてはいかがでしょうか。

おわり

※1 PR TIMES
「2025年の値上げ、4月までに6千品目 24年比6割増ペース 今年の値上げ、1万2520品目 前年比6割減少、抑制の1年」(2024.12.26)


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著者プロフィール

生活者研究センター センター長 田中 宏昌(たなか ひろまさ)プロフィール画像
生活者研究センター センター長 田中 宏昌(たなか ひろまさ)
1992年 電通リサーチ(株式会社電通の100%グループ会社 当時)に入社。
1994年より電通の大規模生活者データベースの立ち上げメンバーとして参画。
以後、2012年まで消費者研究センターや電通総研などの横断機能組織に駐在勤務する形で、広告コミュニケーションプランニングや商品・サービス開発の場面などで、データに基づく生活者理解をテーマとしてプロジェクトを支援してきた。
その間、消費財、耐久財、サービスなどさまざまな領域を担当。

2012年 楽天グループ(株)を経て、2013年 インテージへ。
2020年より現職。

思春期よりTVCMの映像やコピーに魅了され、TVCMだけを録画して繰り返し見るような子どもだった。
記憶に残る作品を選ぶとすれば「1983年 サントリーローヤル ランボオ編(広告代理店 電通)」と「2004年 ネスカフェ 谷川俊太郎 朝のリレー・空編(広告会社 マッキャンエリクソン)」を迷うことなくあげる。
趣味は自転車(ロードバイク、マウンテンバイク)、落語鑑賞など

1992年 電通リサーチ(株式会社電通の100%グループ会社 当時)に入社。
1994年より電通の大規模生活者データベースの立ち上げメンバーとして参画。
以後、2012年まで消費者研究センターや電通総研などの横断機能組織に駐在勤務する形で、広告コミュニケーションプランニングや商品・サービス開発の場面などで、データに基づく生活者理解をテーマとしてプロジェクトを支援してきた。
その間、消費財、耐久財、サービスなどさまざまな領域を担当。

2012年 楽天グループ(株)を経て、2013年 インテージへ。
2020年より現職。

思春期よりTVCMの映像やコピーに魅了され、TVCMだけを録画して繰り返し見るような子どもだった。
記憶に残る作品を選ぶとすれば「1983年 サントリーローヤル ランボオ編(広告代理店 電通)」と「2004年 ネスカフェ 谷川俊太郎 朝のリレー・空編(広告会社 マッキャンエリクソン)」を迷うことなくあげる。
趣味は自転車(ロードバイク、マウンテンバイク)、落語鑑賞など

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