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生活者インデックスデータ

注目を集める人流データのいま② 小売業界での活用

昨今注目を集めている人流データについて解説するこのシリーズ。前回の第一回では、人流データとして活用する位置情報の種類や、精度を高めるための取り組みについて概要を述べました。この第二回では、前回解説した精度の高い人流データから、どのようなマーケティング戦略を導くことができるのか、小売業界の事例を取り上げながら解説します。

小売業界におけるデータドリブンな取り組みとは?

DXが進み、データドリブン型の意思決定が注目されている中、小売業界においても、膨大なデータを効率的に分析して自社の売り上げ拡大を目指す、データ活用の取り組みは進んでいます。昨今のIT技術の発展により、POSデータ、入館センサ、カメラといった多くのデータが容易に取得できるようになったことで、自社店舗分析や競合企業分析が効率的に行えるようになりました。

例えば、POSデータをもとに購入者数や売上を把握することで、顧客が求める商品やサービスを洗い出して対策を練ることが可能となったほか、入館センサやカメラなどで来店者数や店内の顧客行動がトラッキングできるようになったことで、来店者の店内行動における隠れた課題を抽出し、販売パフォーマンスの向上・改善の施策を導きだすことも可能となっています。

人流データを組み合わせることの価値

前述の通り、自社保有のデータを基に立案した来店者へのアクションも、売上拡大の重要な要素の1つですが、これは来店者といった限定的なパイにおいて売上拡大を狙っていることを意味します。

一方、店舗周辺人口に目を向けると、人数規模がまるで変わります。店内にいる顕在顧客ではなく、店舗付近に来ている潜在顧客をいかに店内に呼び込めるかで売上の拡張性が違ってくるということです。この店舗周辺の潜在顧客を把握する上で、人流データが有効となります。ただし、前回の記事で解説した通り、人流データは成り立ちによってその精度に差があります。そして、精度高く店舗周辺の潜在顧客を把握することが重要なポイントであるため、基地局に係る運用情報から推計した人流データが向いているのです。

ここからは、人流データと小売業が持っている情報を組み合わせ、「店舗周辺の潜在顧客」を捉えることでどのようなことができるのか、基地局に係る運用情報から人口を推計しているNTTドコモのモバイル空間統計®のサービスフレームを通して解説します。

「店舗周辺の潜在顧客」を捉えることで3つのことがわかります。
一つ目は、「適正な店舗売上のポテンシャル」です。ポテンシャルを図表1に示します。

図表1

店舗が持つ来店者数・購入者数の規模に加え、モバイル空間統計によって店舗周辺にいる潜在顧客数がわかるため、来店者数のうちの購入者数(=購買率)および潜在顧客数のうちの来店者数(来店率)がどの程度なのか把握することができます。それらを対比させることで、どの顧客層に売上ポテンシャルがあるかを把握することができるということです。

例えば、店舗への来店客数が同じ店舗でも、潜在顧客数に対する来店率が20%と80%と異なる場合、20%のほうがまだ店舗周りに顧客となりうる人がいることがわかります。これは来店率20%の店舗のほうが、潜在顧客層の売上ポテンシャルが高いということを指しています。このデータに基づき、周辺顧客の取り込み数が少ない店舗に優先的に施策を打つなど、自社の複数ある店舗の中で、どこに投資価値があるかを判断する指標として、活用可能です。

わかることの二つ目は、「最適な店内外施策のリソース配分」です。POSや入館センサ、カメラだけでは、店内の顧客情報しか把握することができないため、店外の潜在顧客となりうる人へのアプローチ方法は検討が難しいのですが、モバイル空間統計では店舗周辺の人口ボリュームや属性がわかるため、店外施策も検討可能となります。つまり、店内外の顧客層が同時にわかることで、伸びしろがどこにあるのかわかり、店内外に対して施策のリソースのかけ方がわかるのです。

例えば、店外の潜在顧客のボリュームが多い店舗に対しては、店外からどう呼び込むかの施策を重点的に実施し、一方ある程度周辺地域からの来客数を獲得できている店舗に対しては、顕在顧客に対して客単価をどう上げるかの施策を重点的に実施するなど、店舗ごとに店内・店外の施策の方向性を変えることができます。機会ロスがある店舗に追加投資の判断ができることで売上の最大化が見込まれ、店舗への余剰投資にならない適切な投資配分ができることでコストの最小化が見込まれます。

図表2

わかることの三つ目は、「施策支援の効果的なタイミングと実施先」です。例えば、周辺人口と売上の関係に着目してみると、周辺人口が多い一方で、売上が少ない時間帯が把握できます。その時間帯にタイムセールを実施することで、効果的に店舗周辺人口を取り込むことができます。

図表3

さらに、周辺人口の属性を見ることで、どの年代に優先的にアプローチをするかを判断することもできます。店内顧客情報だけに基づく施策では、パイが少ない年代を優先的に取り込もうという判断になりがちです。ここで潜在顧客も含めてみると、すでに店舗内のパイが大きい年代であっても、潜在顧客も多いといったことがわかるため、より売上ポテンシャルがありそうなこの年代に着目してアプローチしたほうが効果的、といった判断が可能となります。

この時、実際に施策を実施した際の売上増加へのインパクトも試算できるため、改善効果が大きい店舗から順に着手することもできますし、効果測定を行うことで、次回の施策効果をさらに高めることにつながります。

図表4

このように人流データと店舗データを組み合わせることで、「どの店舗に」「どのような施策を」実施すべきかどうか、定量化された指標を基に判断ができます。
また、商圏ポテンシャルを知り、自店舗の状況と照らして深く分析することで、限られた経営資源の最適な分配ができ、「売上の最大化」と「コストの最小化」に繋げることができます。

小売業における人流データの活用事例

最後に実際の商圏分析におけるモバイル空間統計の活用事例を紹介します。図表5は商業施設Aと商業施設Bの勢力図をエリア毎に表したものです。緑はAのほうが来訪頻度が高いエリアで、青はBのほうが来訪頻度が高いエリアを示しています。

図表5

東大阪市のAB勢力図を見てみると、商業施設Aのほうが高いことがわかります。施設からの距離でいうと、Bのほうが近いにもかかわらず、勢力図はAのほうが高いということです。この結果からはBにとっては勝てるポテンシャルがまだまだあることがわかるので、このエリアを優先的にアプローチすることが顧客増加に向けて効果的だと考えられます。こうしたデータから、限られた資源の中から、どこにどのようなアプローチをするか、投資をするか効果的に判断することが可能となっています。

第二回では、小売業界での活用を例に、人流データがどのようにマーケティング戦略を導くことができるのかを、データから“わかること”を軸に解説しました。精度の高い人流データの活用は、売上の最大化・経営資源の最適化につながります。


モバイル空間統計®
※モバイル空間統計®は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
ドコモの携帯電話ネットワークのしくみ(基地局の運用情報)を使用して作成される人口の統計情報です。
集団の人数のみをあらわす人口統計情報であるため、お客様個人を特定することはできません。 インテージは「モバイル空間統計」の1次販売店です。

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