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好調な韓国コスメ市場 ユーザーはどこまで拡がった?

第三次韓流ブーム(2016~2017年)の頃から韓国コスメが多く見られるようになり、日本の化粧品輸入先国も2022年には韓国がフランスを抜いてNo.1となりました(※1)。その浸透はどこまで進んでいるのでしょうか?インテージの購買パネルデータSLIから実態を探ります。

急拡大する韓国コスメ市場

図表1は女性による化粧品購買の市場規模推移です。※インバウンドの影響は含まず
2020年に始まったコロナ禍で落ち込んだのち、徐々に回復を見せていますが、スキンケア、ベースメイク、ポイントメイク共にまだ戻り切っておらず、2023年時点で対2019年比92%にとどまっています。

図表1

このうち、韓国コスメの市場規模推移が図表2です。2019年から年々成長し、5年間で約6倍にまで拡大しました。特にスキンケアは10倍以上、ポイントメイクは15倍以上の伸びを見せています。

図表2

化粧品市場におけるシェアとしてこの推移を見てみると、韓国コスメトータルで2023年時点のシェアが2.6%とまだまだ存在感は小さいのですが、ベースメイクにおいては6.0%まで伸びています。

図表3

この伸びを支える要因の一つが商品数の増加です。図表4は購入があったSKU数の推移を示しているのですが、SKU数が5年間で5.8倍にまで増加し、売場での存在感が増していることがわかります。

図表4

韓国コスメユーザーはどこまで拡がった?

ここからは、市場拡大の裏でユーザーはどこまで拡がったのかを見てみましょう。

図表5はこの5年間での購入率と購入者あたりの購入金額の推移です。韓国コスメ全体で見ると、購入率も購入金額も右肩上がりで伸びています。そして2023年には購入率が19.9%と、ほぼ5人にひとりが年1つ以上の韓国コスメを購入するようになったことがわかります。また、購入金額もこの5年で2.2倍にまで増加しました。ユーザーの中で韓国コスメの定着、使用アイテムの拡大が進んでいる様子がうかがえます。

図表5

このデータを年代で比較したのが図表6です。年代によって浸透状況が大きく異なることがわかります。特に10-30代の購入率の高さが目立ち、2023年の時点で10代、20代女性の3人にひとり以上が韓国コスメを買っています。

図表6

さらに、どの年代でも購入率と購入者あたりの購入金額が増加する傾向が見られています。60代においても2023年の購入率は7.6%まで伸びており、若者に限らず浸透が進む様子が見て取れます。

視点を変えて、韓国コスメユーザーの特徴を意識・行動面からみてみましょう。図表7は韓国コスメ購入者の「美容スタンス」「見た目意識」「美容行動」を15-69歳の女性全体と比較した結果です。

図表7

韓国コスメ購入者の美容意識・行動

スタンスにおいては「美容に手をかけることで気分があがる」「美容に関して将来困らないために、できるだけのことをしておきたい」「自分に合うケア方法・商品を積極的に探している」といった美容への関心や意識の高さがうかがえます。

さらに、「メイクや髪型で自分の個性を出したい」「メイクや髪型で印象を変えて楽しんでいる」「どんなメイクや髪型が「自分らしい」かを意識して選んでいる」のスコアが高いことから、メイクを、自分を演出する手段として楽しんでいる様子が想像されます。また、「化粧品の口コミサイトをよくチェックしている」という行動も特徴的です。

韓国コスメユーザーは美容感度が高く、積極的に美容に手をかける人が多い、と言えそうです。

韓国コスメはどこで買う?カテゴリーで違う購入チャネル

最近ではスーパーなどの身近なチャネルでも売られている韓国コスメですが、主にどこで買われているのでしょうか。チャネル構成比を見てみると、図表8の通り、45%がEC購入となっていました。日本の店頭では売っていない韓国コスメが購入できる「Qoo10」などのECサイトが若年層を中心に定着し、主要なチャネルとなっているようです。

図表8

このチャネル構成は、カテゴリーによって大きく異なっています。スキンケアでECの構成比が特に大きい一方で、ベースメイクはドラッグストア、ポイントメイクはバラエティストアやコンビニエンスストアの構成比が比較的大きいのが特徴です。
ポイントメイクは、大手コンビニと人気の韓国コスメブランドがコラボする、といった動きも進んでいて、この数年でコンビニエンスストアの構成比が伸びています。チャネル側の仕掛けもあり、買い場が広がっている状況がわかります。

最後に(マーケティングリサーチャーとの対話から)

最後に、今回分析を担当したメンバーと若手リサーチャーに、韓国コスメをテーマに話を聴いてみました。

生活者研究センター 田中宏昌(以下 田中):「韓国」というと私なんかは古くは「韓流ドラマ」といった言葉も思い出しますが、K-POPといった音楽やメイクなどを筆頭に「韓国発」のカルチャーは今や世界を席巻しつつありますね。

カスタマー・ビジネス・ドライブ本部 企画・分析5部 石井陽菜(以下 石井):今回、韓国コスメに注目して分析を始めたのも、コスメ市場において年々韓国コスメの存在感が増していることがきっかけになっています。国内における化粧品の市場規模がコロナインパクトから完全に戻り切っていない中、韓国コスメは2019年から毎年着実に成長を続けてきました。

事業開発本部 次世代消費者パネル事業開発部 薮本まみ(以下 薮本):2019年と比較すると2023年は6倍以上(617%)に伸びているんですね。スキンケア、ベースメイク、ポイントメイクとすべてのカテゴリーで売上を伸ばしているところにも力を感じました。

田中:売上金額のシェアについても伸びていましたね。

石井:2019年当時はわずかに0.4%でしたが、2023年では2.6%とシェアを伸ばしています。カテゴリー別では「ベースメイク」が強くて、2023年は6%のシェアとなっています。薮本さんは韓国メイクって買ったことはありますか?

薮本:実は私も半年くらい前でしょうか、韓国製のファンデーションを買いました。そして、リピート購入もしちゃうくらいに気に入ってます。

田中:おお!なんと。こんなところにも韓国コスメユーザーが。

薮本:たまたま休日に友だちと買い物をしていてメイクの話をしていたんです。その時、クマがカバーできてトーンアップできるものはないか相談をしたところ、その友だちが今使っているものをお薦めされて。そのまま一緒に近くのドラッグストアに行って、実際に試してみて。良さそうだったのでその場で購入しちゃいました。

石井:友だちの口コミ、しかも、実際に本人が使っている、って心が動いちゃうよねー

薮本:動きました(笑)
でも最初から大きなサイズを買う勇気はなくて、ちょうど小さいサイズ展開もあったので、お試しに小さいサイズのものを買ってみたんです。

田中:友人からもお勧めされて購入に至ったわけですが実際に使ってみてどうでしたか?

薮本:お肌へのノリやカバー力、モチもすごく良くて、結局、大きいサイズのものをリピートしちゃいました。

石井:韓国コスメって、「安いから」っていう理由だけじゃなくて、今ではすごく品質も良くなっているから、実際に使ってみての満足度も高いみたい。

薮本:でも実は買う時は「韓国製」って意識はまったくしていなかったんです。買ってからしばらくしてから気が付いた、みたいな。普段もコスメを買う時は「〇〇産」とかは気にしていなくて、自分に合うか、お悩みをカバーしくれるかどうか、といった機能性を今回みたいに友だちに聞いてみたり、SNSなどの口コミなんかでチェックして購入することが多いです。

石井:最近では韓国コスメを取り扱っているチャネルも広がっているので、藪本さんのように友人と会話していて話題になって、そのままドラッグストアでトライ、といった動きも生まれやすいはずです。また、ECでの取り扱いも増えているので、韓国コスメはますます身近なものになるのではないでしょうか。

薮本:肌に直接つけるものなので、友人との会話やSNSなどの口コミで情報を集めつつも、やっぱり最後は実際に試してから決めたい、という気持ちがあります。なので、いろんなお店に置いてある、というのはとても助かります。それから、いろいろなところに置いてある、ということで「やっぱり、いい商品なんだな」という安心感にもつながります。

田中:石井さんから「韓国コスメが伸びてます」というお話を聴いたとき、K-POPをはじめとした韓国のカルチャーの広がりのひとつなのかな、とも思いましたが、「品質」という点でも評価されていることを知って、今後ますます広がっていくのでは、という印象を抱きました。

薮本:データをみると、購入率(間口)だけでなく、購入者あたり金額(奥行)も増えていますね。また若い人に限らず幅広い年代でその動きが確認できますね。

石井:そうなんです!データからも幅広い年代への広がりや定着が感じられます。今後も韓国コスメの動きに注視していきたいと思います。

ユーザーや買い場が拡がり、市場が拡大する韓国コスメ。知るギャラリーでは今後も市場の動向を追っていきます。


参考資料 ※1 財務省貿易統計 日本化粧品工業会作成


【SLI®(全国女性消費者パネル調査)】
全国の15~69歳の女性4万人の消費者から、継続的に 化粧品やヘアケア用品、下着などといった美と健康に関連した買い物情報を収集しています。
「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※SLIの特徴として、バーコードがない商品に関して仮コードをセットすることで、ネットや通信販売系の商品も集計が可能。


【分析者紹介】
CBD本部 企画・分析5部 石井陽菜(いしいはるな)
2019年 インテージに入社
化粧品業界や日用雑貨業界を中心にSRI、SCI、SLIなどのパネルリサーチを担当

事業開発本部 次世代消費者パネル事業開発部 薮本まみ(やぶもとまみ)
2023年 インテージに入社
パネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のスマートフォンとパソコン調査の運用を担当

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