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アルファ世代が考える2030年未来の社会①~アルファ世代とZ世代が描く、より良い社会の将来像「ミライ・スケッチ2030」

はじめに

これまで、知るギャラリーでは「Z世代・アルファ世代のリアル-テックネイティブな未来の消費者を紐解く」と題して、全6回にわたり、産業能率大学の小々馬敦先生との共同研究で得られた知見をお伝えしてきました。今年は、小々馬ゼミにて「ミライ・スケッチ2030」と題した新たな研究プロジェクトが始まり、インテージグループR&Dセンター*1も共同研究機関として参加しています。この取り組みの中で、インテージは、アルファ世代(現役小学生)の考えや思いを引き出すことや、アルファ世代に影響を与えている保護者の考えを伺うことで、アルファ世代をより深く知ることに挑戦しました。この挑戦について、全4回にわたって紹介していきます。第一回は、インテージの小林が連載のミライ・スケッチ2030の紹介とアルファ世代を知るための方法論、そして今後の連載の見どころをお届けします。

「ミライ・スケッチ2030」とは

産業能率大学の小々馬ゼミ*2は「マーケティングで世界をハッピーに!」をパーパスとして、2030年の幸せな未来社会の姿を描き、その実現のためにマーケティングはどのように進化していくべきかを探究しています。若者の行動に見え始めている未来のビジョンについて、毎年テーマを決め、「研究レポート」にまとめて、企業の方々に報告し、ホームページで公開する活動を行っています。

今年は、次世代(約10年後)の社会の中心となるアルファ世代とZ世代(現役大学生)で混合チームを結成し、お互いの価値観を理解尊重し、「自分たちは、将来このように暮らしたい!」という2030年の未来社会を描く「ミライ・スケッチ2030」プロジェクトを開始しました。このプロジェクトには複数の機関が関わり、主にDAY1とDAY2の2日間で行われました。インテージR&Dセンターは、「ミライの消費」と題して、2022年8月に開催されたDAY1にて「Z世代・アルファ世代のリアル-テックネイティブな未来の消費者を紐解く」で紹介した調査結果を交えながら、Z・アルファ世代と対話しながら情報提供を行いました。

ミライ・スケッチ2030

アルファ世代とZ世代の混合チームで描いたミライ・スケッチ2030については、小々馬ゼミで分析考察しており、11月に研究レポート公開及び発表を予定しています。

アルファ世代の“ホンネ”を引き出す

昨年度当社で行ったアルファ世代を対象とした定性調査で、2つの課題を感じました。1つ目、大人に比べると普段使用するボキャブラリーも限られることから自分の意見や思いを言葉にする難しい場面がありました。2つ目、1つ1つの行動の理由として過去の情報を思い出すことに大人よりも時間がかかることや直観的な行動も含まれることから、理由の深堀が難しい場合があります。アルファ世代を知るにあたり、この課題を念頭に2つの手法で調査を行いました。それぞれの概要と狙いを説明します。

①グラフィックレコーディングを用いた小学生チームのミライ・スケッチ

Z世代とアルファ世代の混合チームとは別に選出された、小学生だけのチームを対象として、2030年の自分と起こりうる社会変化を主軸として、自分たちがどう暮らしたいのかを、一緒に考えました。ご協力いただいた小学生は、ぐんま国際アカデミー*3初等部の6年生4名です。ぐんま国際アカデミーは、英語イマージョン教育という、全体の約7割をすべて英語で授業展開する画期的な教育システムを、子どもたちに提供しています。また、自ら課題を発見し、自分の考えを伝えられる人材育成にも力を入れています。今回のプロジェクトへの参加にあたり、ひとりひとりが2030年の暮らしについて、現状の課題、その課題解決に向けたアイデアを自ら考え、90秒の動画にして送ってくれました。社会的な課題を含め自分を取り巻く様々な課題に着目し、発想豊かでありながら、実現可能な解決アイデアが溢れました。

小学生だけのチームのミライ・スケッチは、アルファ世代の考えや思いを引き出すことを目的とし、グラフィック(絵)でリアルタイムにレコーディング(記録)する手法「グラフィックレコーディング*4」を用いて議論や対話を可視化しながら、ワークショップを実施しました。

小学生を対象として調査を行っていると、質問に対して自分の考えを言葉にすることがまだまだ難しい年頃だと感じられます。特に意思決定の理由や経緯について説明に困ってしまう姿もみられました。(個人差があります。)

デプスインタビューの際には、保護者と一緒に参加いただき、適宜保護者がその時の状況を伝えることで、「あっ!そうだった、そうだった」と思い出してお話してくれる場合がありますが、ミライ・スケッチでは保護者の付き添いはないため、どうしてこの考えに至ったのか深堀を進めることが難しくなることが予想されました。また、チームでの実施ということで、参加者同士の認識や理解度を合わせて進めていくことも求められました。

そこで、考えや思いをグラフィック(絵)で可視化し、整理してあげることで、考えや思いを深掘りすることに挑戦しました。加えて、事前に2030年(18-19歳ぐらい)の自分をリアルに想像してきてもらい、当日イラストを描いてもらうことで、2030年の自分を取り巻く社会として捉え、考えられるような工夫も行いました。

ミライ・スケッチ2030

このグラフィックレコーディングを通じて、社会変化を捉えながら、小学生らしい発想力豊かなアイデアの創出ができました。加えて、そのアイデアを支えるテクノロジーの存在も詳細に描かれていることから、自分自身の将来の生活にどのように役に立つ、あるいはどのような豊かさをもたらしてくれるかをリアルに表現することができました。結果の詳細は、第2回でお届けします。

➁親子インタビューでアルファ世代を取り巻く保護者の考えを知る

アルファ世代とZ世代の混合チームに参加した小学生4名とそれぞれの保護者にご協力を頂き、インタビュー調査を行いました。インタビューでは、ミライ・スケッチを経て具体化された2030年の自分と自分の生活について小学生の参加者に伺いつつ、その考えや思いに至った理由として考えられることや普段の様子について保護者に伺いました。

昨年度当社で実施した、小学生の参加者本人を中心とするインタビュー調査では、様々なご家庭での生活様式や家庭内ルールを知ることができましたが、今回実施した親子インタビューでは、保護者の視点でのアルファ世代を知ることを目的としています。

インタビューでは、小学生本人の将来の夢や2030年の自分について、「どこで」「どのような生活」をしたいか、その時にどのようなモノやコトがあると良いか具体的に語ってくれました。その後、保護者の方が、これらの考えに影響を与えた出来事や家庭での生活の様子、現在取り組んでいることやその理由について、詳しく教えてくれたことにより、小学生の参加者との発言の裏付けがよく理解でき、新たなアルファ世代の仮説発見に繋がりました。このインタビューの結果は、第3回でお届けします。

最後となる第4回では、主催者の小々馬敦先生をお招きして、インテージメンバーとの対談形式でミライ・スケッチ2030を振り返ります。対談では、ミライ・スケッチ2030でメンバー同士の価値観の違いを理解することで生まれるモノやコトへの期待や実際の結果に関する講評を伺ったのち、今回の取り組みのアプローチの有効性についても議論を深めたいと考えています。

第1回は、ミライ・スケッチ2030の紹介と各回の見どころをお届けしました。次回は、グラフィックレコーディングを用いたアルファ世代チームのミライ・スケッチ2030の結果とより良い調査環境を創造するために散りばめたさまざまな工夫をご紹介いたします。


*1:インテージグループR&Dセンター
*2:産業能率大学経営学部マーケティング学科 小々馬ゼミ
*3:ぐんま国際アカデミー
*4:グラフィックレコーディング

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