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F1ファンを次のカテゴリーへ~モータースポーツファン拡大のヒントを探る
モータースポーツファン調査第5弾

2025年6月、トヨタ自動車の豊田章男会長が日本自動車会議所の新会長に就任しました。就任にあたり、「クルマをニッポンの文化に!」というスローガンを掲げ、単なる移動手段としてのクルマを超え、生活や価値観に深く根付く存在にしたいという強い思いを示しました。
この動きをきっかけに、モータースポーツの分野でもカテゴリーの垣根を越えた連携が進められています。日本自動車会議所にはモータースポーツ委員会が創設され、四輪・二輪を含む各カテゴリーの協力が模索されています。「モータースポーツ全体で協力し、ファン層の拡大や競技の魅力発信を進めることが重要」だとしています。

では、モータースポーツファンにとってカテゴリー間の垣根はどのように捉えられているのでしょうか。垣根の実態を正確に把握し、既存ファンが他のカテゴリーにも興味を広げるためのヒントを見つけることで、モータースポーツ全体の活性化に繋げられると考えます。
そこで今回は、インテージでの最新調査結果から、カテゴリー間のファン重複状況や、それぞれのカテゴリーが持つ魅力の違いを分析し、他カテゴリーも好きになってもらうためのヒントを探っていきます。

1. カテゴリー間のファンの重複状況は?

はじめに、モータースポーツファンはどのカテゴリーを推しているのかを見ていきます。第1弾の調査で最も人気の高かったF1と、国内カテゴリーとして代表的なSUPER FORMULA、SUPER GTの3カテゴリー間の重複状況を示したのが図表1です。

図表1

各カテゴリーのファン重視状況

SUPER FORMULAとSUPER GTファンの大部分がF1ファンでもあることが分かります(F1の赤円と重なっている部分)。 一方で、F1ファンの約半数は3カテゴリーの中でF1のみを推しています(F1の他と重複していない赤色部分)。この層が今後SUPER FORMULAやSUPER GTに興味を持つ可能性は低くはないと考えられます。

さらに、ファンがどのような順番で各カテゴリーを好きになっていったのかも重要なポイントです。そこで、モータースポーツファンが興味を持ち始めたカテゴリーの順序を聞きました。

図表2

カテゴリーを好きになった順序と広がり

モータースポーツへの最初の入り口として最も多いのは、国際的な人気と認知度が高いF1で6割を超えています。さらにF1をきっかけにモータースポーツに興味を持ったファンの8割は、その後他のカテゴリーにも興味を広げています。
F1からモータースポーツに入ったファンが2番目に好きになったカテゴリーとしてはWRCが最も多く、国内カテゴリーであるSUPER GTが続きます。F1を入り口にしたファンは、F1と同じフォーミュラカーカテゴリー(インディカー、SUPER FORMULA等)よりも市販車ベースのカテゴリー (WRC、SUPER GT等)へと興味を広げる傾向があることがうかがえます。

2. F1ファンが他のカテゴリーも好きになるきっかけは?

では、どのようなきっかけでF1から他のカテゴリーに興味を持ったのでしょうか。
最初にF1ファンになり、その後2番目に好きになったカテゴリーについて、興味を持ったきっかけを聞いた結果が図表3です。

図表3

F1の次にファンになったカテゴリーのきっかけ

テレビ放送(地上波やBS)が依然として大きな影響を持つ一方で 、 2番目に好きになったカテゴリーでは、家族よりも友人や知人といった周囲の人の影響が高い傾向が見られます。モータースポーツ第4弾の記事(モータースポーツへのスポンサー効果を探る)では30代以下のモータースポーツファンのSNS投稿率が高いことが確認されています。こうした若年層は、SNSでの発信を通じて観戦体験や話題を共有し、友人同士で誘い合う流れが生まれているのかもしれません。さらに、SUPER GTやMotoGPでは「自分が乗っている車のメーカーだったから」という理由が高く、所有する車との結びつきがファンの興味を広げる要因となっているようです。

ここまで、カテゴリー間のファンの重複状況や他カテゴリーに興味が広がる様子を見てきました。次の章ではカテゴリー別のそれぞれの魅力に注目していきます。

3. 各カテゴリーの魅力 とは?(F1、SUPER FORMULA、SUPER GT)

同じモータースポーツファンでもカテゴリーにより何に魅力を感じるかは異なります。先ほど重複状況を確認したF1、SUPER FORMULA、SUPER GTについて、複数のカテゴリーを応援しているファンにそれぞれの魅力を比較してもらいました。 具体的には、F1とSUPER FORMULAの両方が好きと答えた人に、「F1の方が魅力的だと思う点」と「SUPER FORMULAの方が魅力的だと思う点」を尋ねました。

図表4

各カテゴリーの魅力(F1vs.SUPER FORMULA)

図表5

各カテゴリーの魅力(F1vs.SUPER GT)

F1は、「スピード感」や「マシンの技術力」といった高度な専門性が魅力となっていますが、これは最上位カテゴリーならではの特徴と言えます。一方でその他の要素ではF1、SUPER FORMULA、SUPER GTの 3カテゴリー間で大きな差はなく、国内2カテゴリーはF1に対して善戦しているとファンから評価されているとも言えます。
さらにSUPER FORMULAやSUPER GTは国内レースということもあり、どちらも「観戦のしやすさ」が魅力となっています。また、SUPER GTでは「車のデザイン」がF1を上回る評価を得ています。
年代別に見ると、3カテゴリーいずれにおいても30代以下のファンは「レース以外のイベント」や「ファンの一体感」、「グッズのセンスや豊富さ」といった体験型の要素に魅力を感じています。これに対し、40代以上は純粋なスポーツとしてモータースポーツを楽しむ傾向が強く、レースそのものに価値を見出しているようです。
つまり、30代以下はモータースポーツを“スポーツ+参加型イベント”として楽しんでおり、体験価値を重視していることが特徴と言えます。

カテゴリーごとの魅力の違いと共通点を見出すことで、カテゴリーをまたいだファンの拡大に関するヒントを得ました。次の章ではモータースポーツの魅力をより深く理解するため、魅力の要素を分解して分析します。

4. ドライバー・チームに感じる魅力とは?

モータースポーツの魅力は、レースだけではありません。ファンを惹きつける大きな要素のひとつが、ドライバーやチームの個性やストーリーです。そこでこの章では、ファンが「ドライバー」と「チーム」にどんな魅力を感じているのかを詳しく見ていきます。

図表6

魅力の分解(ドライバーの魅力詳細)

図表7

魅力の分解(チームの魅力詳細)

前章では「F1とSUPER FORMULA」、「F1とSUPER GT」の相対比較において、F1の高度な専門性が評価されていることを明らかにしました。絶対評価である図表6,7においてもF1は運転技術やレース戦略といった高度な専門性が魅力であることが分かると共に、SUPER FORMULAやSUPER GTも同様にこれらの専門性が上位であることが分かりました。そのうえで、F1と比較すると、「ファン対応の良さ」や「レース外での活動」「チームグッズの豊富さ」といった体験価値に魅力を感じています。

こうした結果は、国内レースにおけるファンの楽しみ方や今後の期待が「レースそのもの」だけでなく、体験や交流といった周辺要素に広がっていることを示しています。ドライバーやチームの技術はもちろん重要ですが、加えて、ドライバーの露出増加やファンとの接点を増やす取り組み、グッズ展開などを強化することが、今後のファン獲得の重要なポイントとなりそうです。

5. まとめ

今回の調査では、モータースポーツファンは一つのカテゴリーにとどまらず、複数のカテゴリーに興味を持つ傾向があり、特にF1はファン獲得の入り口として圧倒的な存在感を示し、そこから国内カテゴリーや市販車ベースのカテゴリーへ興味を広げるケースが多いことが分かりました。
カテゴリーで共通した魅力と異なる魅力がそれぞれあり、F1はスピードと技術力、SUPER GTやSUPER FORMULAは観戦のしやすさやファンとの近さが特徴です。さらに、若年層は「体験価値」を重視し、イベントや交流、グッズなど周辺要素にも魅力を感じています。
モータースポーツの活性化には 「カテゴリー横断の価値発信」 と 「体験型コンテンツの強化」 が鍵となり、レースの迫力や技術の訴求だけでなく、ファンとの接点を増やす取り組みが今後のファン層拡大に不可欠であると考えられます。
そうした取り組みがモータースポーツ人気をさらに広げていくことを期待しています。

調査地域 :日本全国
対象者条件 :18-99歳男女
標本抽出方法 :弊社モニターより抽出し、アンケート配信
標本サイズ :10,663s
調査実施期間 :2025年11月29日~12月1日

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著者プロフィール

武井君枝プロフィール画像
武井君枝
2021年インテージ入社、モビリティ領域のリサーチャー。
好きな車体はMP4/4、97T
MP4/4をきっかけにアイルトン・セナを好きになり、ロータス97Tは特にデザインが好きな1台。

2021年インテージ入社、モビリティ領域のリサーチャー。
好きな車体はMP4/4、97T
MP4/4をきっかけにアイルトン・セナを好きになり、ロータス97Tは特にデザインが好きな1台。

著者プロフィール

工藤里志プロフィール画像
工藤里志
2016年インテージ入社、モビリティ領域のアナリスト。
好きな車体はRB7。2011年に横浜元町ショッピングストリートでのショーランで初めてF1の生の音を聴いた車体。
それ以来どのカテゴリーでもブエミ選手を応援している。

2016年インテージ入社、モビリティ領域のアナリスト。
好きな車体はRB7。2011年に横浜元町ショッピングストリートでのショーランで初めてF1の生の音を聴いた車体。
それ以来どのカテゴリーでもブエミ選手を応援している。

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