arrow-leftarrow-rightarrow-smallarrow-topblankclosedownloadfbfilehamberger-lineicon_crownicon_lighticon_noteindex-title-newindex-title-rankingmailmessagepickupreport-bannerreportsearchtime

生活者インデックスデータ

新しいマーケティングのすすめ(11)

「プロダクトアウト」と「マーケットイン」と「DX」と

マーケティングは時代と共に変化します。社会環境や個人の価値観などが変わるからです。そしてマーケティングの変化と共に、マーケティングに新しい言葉・用語が登場します。

「プロダクトアウト」や「マーケテットイン」も、その新しい言葉の一例でしょう。

今回、この「プロダクトアウト」「マーケットイン」という言葉と「デジタル」の変化を整理してみたいと思います。少し離れた3つの言葉と感じるかもしれませんが、この3つの単語を考えると、デジタルトランスフォーメーション(DX)のヒントに近づくかもしれません。

まずは、言葉の定義から始めましょう。

プロダクトアウトとは、企業の持っているアイディアや技術を商品化し、市場に投入する活動です。シーズ志向などとも言われます。日本の1960年前後の高度成長期は、まさにプロダクトアウト主流の時代でした。白黒テレビ、カラーテレビ、ステレオ・カラーテレビと、次々にテレビの機能を強化すれば、多くの生活者に購入され、商品が売れた事例が代表的とも言えます。

マーケットインとは、企業が市場のニーズを調査などから理解し、そのニーズを満たすような商品やサービスを提供するマーケティング手法です。ニーズ志向とも言われます。最近では、多くの商品がマーケットインで開発・投入されることが多くなりました。結果、調査会社には、市場理解、顧客理解のための調査が多く依頼されるようになったのです。

「プロダクトアウト」の次に「マーケットイン」の活動が増えたので、「マーケットイン」のマーケティングの方が、バージョンアップしたマーケティング活動と考える人もいるかもしれません。しかし今も「プロダクトアウト」の活動はあります。有名な例は、アップルのiPhoneというスマートフォンです。携帯電話から電話をかける時に使う「番号ボタン」、このボタンを無くした携帯電話を発表したのです。この商品は、市場調査のニーズ探索では出てこないでしょう。

マーケターの私たちにとって重要なのは、マーケティングに「プロダクトアウト」と「マーケットイン」の両方の手法があり、適宜・適切にこの考えを応用できるようになっていることなのでしょう。

さて、この2つの言葉の意味を共有したところで、次世代のマーケティングとの関係、デジタルトランスフォーメーションとの関係を考えてみましょう。

デジタル時代は、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」も進化する

デジタル時代の1つの特徴を共有しましょう。それは「接続性」が高いという特徴です。企業とお客様もSNSでつながり易くなりました。工場、倉庫、店頭のサプライチェーンも今まで以上に、接続性が高くなりました。

1つ具体的な事例を考えましょう。レストランの予約です。

インターネットの登場により、レストランの予約サービスは劇的に向上しました。以前のレストランの予約はお店に電話をし、そしてお店の方では、紙に書いたメモを見ながら予約への対応を行っていました。今のインターネットを使った予約は、レストランを使う客にとっても、そしてレストランのスタッフにとっても便利なものになったのでしょう。

さて、この便利さはレストランの利用者に変化を与えます。皆さんも経験があるかもしれませんが、レストランの予約をする際、電話でしか予約できない店を避けてインターネットでも予約可能な店を選んだことはないでしょうか?つまり、レストラン選択時に「予約が簡単であるか」が、選択理由の一つになっているのです。

これをマーケティング的に考えます。レストランは「プロダクトアウト」的に考えれば、提供する食事やサービスが重要な差別要素です。しかし、今ではそれに加えて「マーケットイン」的な予約サービスや、顧客サービスも重要な点になってきたのです。

このような変化は多くの場所で起きています。例えばコロナワクチンの接種では、予約し易く、便利な場所の予約会場を選んだのではないでしょうか。タクシー乗車に関しても、スマートフォンのアプリからの呼び出し方法が簡単かどうかが、重要だったりしているのです。

まさにデジタルが与えた変化であり、生活者の中に起きているデジタルトランスフォーメーションなのです。そして、このような考察を参考にすると、私たちがマーケティングで考えるべきデジタルトランスフォーメーション時代の戦略は、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」の両方を考える必要があるということになるのでしょう。

「顧客起点」「顧客体験」など言葉が躍るということは、まだ完成していないことでもある

私は、セオドア・レビット氏の「ドリルを買いにきた人が欲しいのはドリルではなく『穴』である」という言葉が好きで、良く引用します。

この名言も、デジタルトランスフォーメーションが必要かもしれません。例えば、「必要な『穴』を開けるために最適な方法で行いたいだけで、ドリルを購入するかどうかを最初に決めていない」というように改変すると良いのかもしれません。つまりデジタル化は穴をあけるための方法論の1つに過ぎないということです。

デジタルトランスフォーメーションの時代でお客様が行いたいのは、自分のニーズを叶えることです。デジタル時代になり、お客様は今まで以上にニーズをはっきりと伝えるようになりました。そして、そのニーズの解決方法を、簡単にインターネットの検索で調べるようになりました。

私たちが理解できていないことの1つに、お客様ごとにそのニーズの解決時の優先事項が異なり、その異なり方に多様性が発生していることかもしれません。そこでもう一度、レストランの予約の事例に戻り、丁寧に考察しましょう。

レストランの予約時に優先することは何かについて、自分に照らし合わせ考えてみると、その時の優先事項が、多岐にわたる点が見えてくると思います。予約の簡単さ、予約時に席まで選べること、メニューの豊富さ、適度に空いていることなど、その事項は本当に多岐にわたるでしょう。

そして、この優先事項は「人」ごと、「シーン」ごと、またはその時の「感情」ごとに異なるのです。

デジタルトランスフォーメーションの時代に、実は私たちの生活は便利になりました。そして、今まで以上に生活者は、自分のニーズを表明し、実現欲求が高くなりました。結果として、私たちは今まで以上に「顧客起点」で考え、「顧客体験」を高めたいと考えていますが、一番重要なのはお客さまの「ニーズ」が理解できていない点なのかもしれません。

そして、それは、「顧客起点」「顧客体験」という言葉に関して、正解の出し方がわからなくなったということなのでしょう。

生活者の「DX」をまず理解しよう

多くの企業で、デジタルトランスフォーメーション推進室のような、いわゆるDX対応部署が作られることが盛んです。そして、それはマーケティングの関連部門にも少なからず影響を与えているのでしょう。

今回の考察から、私が推薦する活動は、生活者の中に起きているデジタルトランスフォーメーションの観察と考察です。特に、このコロナ禍の2年間、多くの生活者の生活は変化しました。テレワークや3密の回避などから、結果としてデジタルトランスフォーメーションが加速したのです。

・生活者の生活の変化を知ること。
・生活者のタイプ別の変化の観察。
・皆さんのお客さまに起きている変化と、そのために必要な企業のアクションプランの策定。

このことを手順を踏んで行うことが大事です。 今、生活者の中には、「モノの品質」と「体験の品質」の両方が求められており、その2つの品質の優先度が、大きく変わっている時です。つまり「プロダクトアウト」「マーケットイン」という言葉と、「デジタル」の変化は密接につながっているのです。この理解が、今とても重要だと考えます。

著者プロフィール

株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充プロフィール画像
株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充
1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

転載・引用について

◆本レポートの著作権は、株式会社インテージが保有します。
 下記の禁止事項・注意点を確認の上、転載・引用の際は出典を明記ください 。
「出典:インテージ 「知るギャラリー」●年●月●日公開記事」

◆禁止事項:
・内容の一部または全部の改変
・内容の一部または全部の販売・出版
・公序良俗に反する利用や違法行為につながる利用
・企業・商品・サービスの宣伝・販促を目的としたパネルデータ(*)の転載・引用
(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)

◆その他注意点:
・本レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません
・この利用ルールは、著作権法上認められている引用などの利用について、制限するものではありません

◆転載・引用についてのお問い合わせはこちら