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生活者インデックスデータ

新しいマーケティングのすすめ(14)

失業しないマーケター

デジタル・マーケティングという言葉が一般の言葉になり、さまざまなところで講演させて頂くようになってから高頻度で聞かれる質問があります。

それは、「データやデジタルの活用が進むと、マーケティングが、AI(人工知能)に仕事が奪われるのでしょうか?」という質問です。

私は、一貫して「そのような時代は来ません」とお答えしています。
その理由も簡単で、マーケティングは「人」が相手の仕事であり、「人」の行動は、必ずしも論理的でないからです。

つまり、私たちマーケターは、仕事の手法が変わったとしても失業しないのです。

少し、真面目な言い換えをすれば、仕事の手法が変わったとしても楽になることもなければ、完成がない仕事でもあり、マーケティングを行い続けるのであれば、学び・考え続けないといけないということでもあります。

「秘密のケンミンSHOW」と「スーパー」

私たちマーケターが失業しない証拠となるテレビ番組があります。それは、読売テレビの「秘密のケンミンSHOW」という長寿番組です。この番組には外資のメーカーが、日本に参入してマーケティングを行う際に理解に悩む、障害ともいえるポイントがわかりやすく解説されています。

「秘密のケンミンSHOW」はWikipediaによると、2007年10月にスタートした長寿番組です。番組の中では、地方の食生活・食習慣のコーナーがあります。スタートから15年経った今もなお、新しいコンテンツを提供し続けてくれています。それだけ日本の食は、地域・地方ごとの多様性があるということです。

私たちが地方に旅行に行く際、その地でしか食べられないグルメが、旅行の一つの目的になっていることもあるのではないでしょうか。

この地域による食の多様性は、「水」の品質が高く、冷蔵の設備が完備している日本ならではです。私たちは食卓で生鮮食品を食材として使います。そして、私たち日本人は「冷蔵」と「冷凍」の違いを感覚で理解しているのです。結果、その地でしか出会えない冷蔵の食材が多数あり、それが地域の食文化を維持することにつながります。つまり、日本では、意識しなくても冷蔵食品を中心に「地産地消」が行われているのです。

そして、この「地産地消」が、日本のマーケティングに影響を与えます。

まず、小売り流通業がその影響を受けています。日本の「スーパー」は、全国スーパーも存在していますが、その地方に密着した、地方ならではスーパーも多数存在しています。アメリカのWalmartのような高占有率のスーパーがなかなか登場しない理由の一つとして、「地産地消」を反映した地域密着型スーパーが、多くの消費者から支持されていることにあります。

このことから、多くのマーケターの仕事が、知らず知らずに、日本国内でも、ローカライゼーション、つまり地域特性を加味したマーケティングになっているのです。

日本というマーケットは存在しないのかも?

現在、多くのマーケターはグローバルな仕事を行っており、その時に、「日本市場」という言葉も頻繁に使うようになりました。しかし、このように日本の「食文化」、その影響を色濃く反映した「小売り流通業」の整理を行うと、「日本市場」という言葉の定義は、ただ「日本の中にある市場」という定義しか残らずに、それ以外の市場特性はないのかもしれません。それくらい、日本は多様な地域、エリアの集合体になっている、という見方もできるのです。

マーケティングの精度

ここまで文章を読み進めたマーケターの中には、マーケティングの仕事はますます複雑になったと、感じている人もいるでしょう。そこで、優先順位として考えていただきたいのは「精度」です。

日本という市場を、食文化レベルまで細かく区別、整理してマーケティングを行う。または、食文化の違いを無視して、日本全体を大まかに考えてマーケティングを行う。どちらも、マーケティングであり、違いは市場を理解するときの「精度」なのです。

「精度」の話をすると、一般的に「高精度」が良いと考えるかもしれません。確かに「精度」が高い方が、マーケティングでは成功確率は高くなるでしょう。しかし、高精度になれば、マーケティングを地方ごとにアジャストする必要があり、マーケティング・コストは高くなります。マーケティングは、利益を追求する業務プロセスなので、「精度」と「利益」のバランスを考えないといけません。

今まで、マーケターはこの「精度」の議論をあまり行っていませんでした。

ここで2つ質問を投げかけます。
・なぜテレビ・コマーシャルは、多くの場合国別に変えているのでしょうか?
・日本国内で同じコマーシャルを流している理由は何でしょうか?

今回は、精度をエリアについて考えましたが、マーケティングにはさまざまな制度があります。「期間」という精度。「売上個数」という精度。まだまだ、論ずべき精度はあるでしょう。変化の多い時代。今まで使ってきた「精度」は、今も適応すべきか、一度議論してみても良いのではないでしょうか?

著者プロフィール

株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充プロフィール画像
株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充
1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

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