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新しいマーケティングのすすめ(31)

「ヒットの定義」

マーケティングの基本 「売れる」を「ヒット」で考えてみよう

多くのマーケティングでは、「売る」ことを目的にしていることが多いでしょう。B2B、B2Cに関係なく。そして、売るものが、有形物、無形物に関係なく。多くのマーケティングでは、「売る」という段階があります。この「売る」という、とてもシンプルな、誰でも知っている言葉ですが、近年「売れる」定義が変わっている気がします。

何気なく使う「ヒット商品」という言葉と、その「ヒット」のプロセスが、時代とともに変わってきているのではないでしょうか。そして、「ヒット商品」の定義が、時代とともに変わってきていることを理解せずに、旧来通りのマーケティングを行っても、失敗する確率が高くなります。

今回は、私と一緒に、「ヒット商品」の定義を、整理してみましょう。

ヒット商品1.0

「ヒット商品」の一番なじみのある定義から考えてみましょう。それは、1955年から1973年の高度経済成長期のヒット商品の定義です。ここでは「ヒット商品1.0」と呼ぶことにしましょう。

この「ヒット商品1.0」の定義は、ある期間によく売れた商品で、商品の購入者に重なりが少ないことです。そして、多くの場合、ヒット商品の持続期間は、1年未満です。

今も多くのマーケッターは、商品が売れる、ヒットするという時に、この「ヒット商品1.0」を頭の中に想像していることが多いでしょう。しかし、時代とともに、この「ヒット商品1.0」では説明できないヒット商品の状態が生まれています。

ヒット商品2.0

ヒット商品の定義を大きく変えたマーケティングは、エンターテインメント業界に起きた、2005年のAKB48の活動です。

AKB48のブレイクのきっかけは、「総選挙」と呼ばれるものです。AKB48のファンが、好きなメンバーに投票を行うのですが、この投票のためには、CDの購入が必要になりました。結果、AKB48のCDの総発売枚数は増えるのですが、「ヒット商品1.0」と異なる点は、商品の購入者に重なりが多く、結果、商品の購入者数は多くない点です。

このように、ある時期の、商品の購入者に重なりが多いヒットを、「ヒット商品2.0」と呼ぶことにしましょう。ただ、「ヒット商品2.0」は、商品のヒットの持続期間は、それほど長くありません。別な言葉を使えば、ブームの期間は短いのです。

ヒット商品2.0は、エンターテインメントだけで起きているかと言えば、そうではありません。嗜好性の高い食品、ニッチな日用品でも、「ヒット商品2.0」が存在します。そして、ヒットしているタレントやアイドルとタイアップした広告を活用すると、その商品は「ヒット商品2.0」の状態になることが多いでしょう。

この「ヒット商品2.0」がマーケターに与える大きな影響は、消費者に、消費したいためというよりも、「コレクション」のためや「店頭からなくなる前」に購入したい、という意思がよくあらわれる点です。通常のマーケティングでは、消費者は、「消費」「利用」するために購入することが多いのですが、この「ヒット商品2.0」では、それに該当しないのです。

ヒット商品3.0

さらに今はSNSが普及したことで、さらに進化した「ヒット商品3.0」が登場しています。

「ヒット商品2.0」で、「推し活」が、普通の単語になりました。この「推し活」の先輩が、SNSで後輩を作っています。近年の音楽のヒットチャートで、ヒット曲が長くチャートインしているのは、この「推し活」の啓蒙活動に依るところが多いでしょう。結果、実は今の「ヒット商品」の定義は「ヒット商品3.0」で、少数の購入者が何回も購入し、さらに購入者が次の購入者を作り出す、足の長い「ヒット」になっていることが多いのです。

このヒット商品3.0を加速しているマーケティングの一つに、ターゲティング戦略があるでしょう。それまで、広く商品・サービスを告知していたコミュニケーションから、ピンポイントなターゲティング戦略を使うことが増えました。結果、ターゲット外の生活者は、その商品・サービスを知りません。しかし、初期ターゲットが、SNSなどでジワジワと商品・サービスのことを伝えてくれることで、お客様が増えるのです。

過去のヒット商品の定義が、瞬間風速(時間微分)だった

このようにヒット商品の変遷を、ヒット商品1.0からヒット商品3.0まで考えてみると、私たちが使っている市場シェア(占有率)という言葉が、ヒット商品3.0の場合には、あまりヒットの状態を示さないのではないでしょうか。

市場シェア(占有率)とは、ある瞬間のその商品の市場占有状況を示します。そして、この市場シェアの大前提は、市場に存在する生活者が、ほぼ一様に商品を購入する前提です。

例えば、私たちが混乱した事例がありました。AKB48が総選挙や握手会を行なっているとき、実に多くの曲がチャートインしていました。この楽曲のチャートは、ある瞬間の販売量を示しています。マーケティング活動の時期とチャートを調べる時期がうまく重なれば、チャートインする確率が高くなります。

このマーケティングの活動の測定に、販売量を時間微分している「市場シェア」を指標にすることは、問題なのかもしれません。

「新しいマーケティング指標」を考えては

ヒット商品3.0に相応しいマーケティング指標を考える。その前に、皆さんがマーケティングしている対象が、どのヒット商品x.0に該当するのかを整理すること。このような、シンプルですが奥深いテーマが、私たちマーケターの現在の課題かもしれません。

著者プロフィール

株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充プロフィール画像
株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充
1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

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