新しいマーケティングのすすめ（36）
「AIをマーケティングメンバーにする」
みなさんの会社はAIを活用していますか？
「みなさんの会社はAIを活用していますか？」と聞くと、多くの方は慎重に「使い始めています」や、「限定的に使っています」という答えが返ってくるのでしょう。この答えの背景には、生成AIの登場を受けても、まだ会社の仕事が大きく変わっていない、改善されていないこと、また、生成AIの活用方法について、会社の中でまだ合意が取れていないことなどがあるのでしょう。
今回は、そんなみなさんに、とてもお勧めしたい、生成AIの活用方法を紹介します。
ブレスト相手にする
Covid-19を経験して、多くの企業の働き方が、「出社のみ」から「出社とテレワークのハイブリッド」に変わったのではないでしょうか。
これで、少し影響を受けたのが、会社で使う資料を一人で考えることが増えた、という点です。一人で資料を作っていて、時々困るのは、自分の整理している思考や論理は一般的なものかと、悩む点です。一人では、ブレーンストーミング（ブレスト）が行えず、論点の漏れも多くなります。
そこでお勧めは、生成AIをブレストの相手にする方法です。例えば、以下のような質問を、生成AIに行うことで、自分と異なる立場のブレスト相手になってもらうことができます。
なお、以下の例は、Google Gemini 1.5 Proでの実例になります。同じことは、Microsoft Copilot、Open AIのChatGPTでも行えます。
質問文：
「あなたは、5歳の男の子と12歳の女の子を持つ親です。あなたは、家族の洗濯をする立場にあります。あなたが、洗濯に使う柔軟剤を選ぶときに重要視することを、５個教えてください。」
生成AIの回答：
5歳の男の子と12歳の女の子を持つ親として、洗濯に使う柔軟剤を選ぶ際に重要視するポイントは以下になります。
1. 肌への優しさ
子供たちの肌はデリケートなので、低刺激で肌に優しい柔軟剤を選びます。無添加やオーガ
ニックの製品を優先的に検討します。
2. 香り
子供たちも心地よく過ごせるよう、強すぎず、優しい香りの柔軟剤を選びます。フローラル
系やフルーツ系など、子供たちが好きな香りを選ぶのも良いでしょう。
3. 静電気防止効果
特に冬場は静電気が発生しやすいため、静電気防止効果の高い柔軟剤を選びます。衣類のま
とわりつきやパチパチ感を軽減することで、子供たちも快適に過ごせます。
4. 柔軟効果
タオルや衣類を柔らかく仕上げることで、肌触りを良くし、着心地を向上させます。特にタ
オルは、ふわふわに仕上がる柔軟剤を選ぶと、子供たちも喜んで使ってくれます。
5. コスパ
柔軟剤は日常的に使うものなので、コスパも重要視します。大容量タイプや詰め替え用を選
ぶことで、コストを抑えることができます。
その他、考慮するポイント
・環境への配慮
環境に優しい成分を使用した柔軟剤を選ぶことで、地球環境にも配慮できます。
・機能性
シワ防止効果や防臭効果など、プラスアルファの機能が付いた柔軟剤も検討します。
子供たちの年齢や好みに合わせて、柔軟剤を選ぶことが大切です。 柔軟剤売り場で香りを試したり、サンプルを試してみるのも良いでしょう。
この質問文は、さまざまなパターンに使えるでしょう。この時に生成AIにより具体的に、演じてほしい「ターゲット」の記述を丁寧に行うと、よりよい回答が得られるのでしょう。
質問相手にする
一人で、資料を作成していると、「何これ」ということがあります。調査で発見した、お客様の行動や発言、Webでの検索行動などです。会社で仕事をしていれば詳しい人に聞けば良いのですが、一人でテレワークを行なっているとそれが難しい時があります。その場合、生成AIに質問することでヒントをもらうことができます。
例えば、以下のように、Webの検索ワードを入れた人の背景を知りたい場合があるでしょう。
質問文：
Googleの検索で、「ヘアスタイル ロング」と調べる人は、どんな人か、具体的に教えてください。
生成AIの回答：
「ヘアスタイル ロング」と検索する人のタイプ
「ヘアスタイル ロング」と検索する人は、大きく分けて以下のタイプが考えられます。
1. ロングヘアの人
・ヘアスタイルを変えたい人
今の髪型に飽きてきた、気分を変えたい、トレンドを取り入れたいなど、新しいヘアスタイ
ルを探している人。
・ヘアアレンジを探している人
普段の髪型をアレンジする方法や、特別な日のためのヘアアレンジを探している人。
・髪のお手入れ方法を探している人
ロングヘアのケア方法や、ダメージヘアの対処法など、髪のお手入れに関する情報を求めて
いる人。
2. ロングヘアにしたい人
・髪を伸ばそうとしている人
現在ショートヘアやミディアムヘアで、髪を伸ばしてロングヘアにしたいと考えている人。
・ロングヘアのウィッグを探している人
イベントやコスプレなどで、一時的にロングヘアになりたい人。
3. その他
・美容師やヘアスタイリスト
お客様に提案するためのヘアスタイルの参考を探している人。
・ロングヘアのモデルや芸能人のファン
好きなモデルや芸能人のヘアスタイルを真似したい人。
検索の意図をより具体的に知るには、検索キーワードに注目する必要があります。
・「ヘアスタイル ロング 簡単」
簡単にできるヘアアレンジを探している可能性が高い。
・「ヘアスタイル ロング 面長」
自分の顔の形に合ったヘアスタイルを探している可能性が高い。
・「ヘアスタイル ロング 2023」
最新のトレンドを取り入れたヘアスタイルを探している可能性が高い。
検索する人の年齢層やライフスタイルによっても、求めている情報は異なります。
・10代〜20代
トレンド感のあるヘアスタイルや、簡単にできるヘアアレンジに関心が高い傾向がある。
・30代〜40代
上品で大人っぽいヘアスタイルや、白髪や薄毛をカバーできるヘアスタイルに関心が高い傾
向がある。
このように、「ヘアスタイル ロング」と検索する人のタイプは様々です。検索キーワードやユーザーの属性などから、より具体的なニーズを推測することができます。
生成AIの回答がそのままズバリという答えになっていないことがありますが、重要なのは、生成AIが示した論点整理法です。生成AIが論理的に、そして漏れが少ないように分析、推定をしてくれます。そして、人が考えるよりも、圧倒的に早く、叩き台になるアイディアを出してくれます。
私たちマーケターは、この論点を活用し、さらに自分の知識や経験を活用して、考えを整理すれば良いのです。
生成AIを自分のメンバーとして、生かそう
確かに、現在の生成AIは進化の途中で、問題や課題もあります。しかし、そんな時期だからこそ「習うより慣れよ」という時期です。まずは、生成AIをマーケティングのメンバーの一人に加えて、「壁打ち相手」や「質問相手」として活用してみましょう。実際の人のメンバーのように、生成AIの良さ、弱点が見えてくるでしょう。そして、自分より生成AIが得意な仕事を発見して、信頼して任せてみるのが、今の時期に取り組むべきことなのでしょう。
皆さんもぜひ、今年の新入社員として、「生成AI」を迎え入れてみましょう。
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