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新しいマーケティングのすすめ(38)

「生活者の〇〇シフトは、マーケティングの永遠のテーマ(後編)」

生活者のデジタルシフトは、消費行動にも

前回の「生活者の〇〇シフトは、マーケティングの永遠のテーマ」に続いて、生活者のデジタルシフトについて、考えます。

さて、最初に考えるのは、店頭でのお客様の行動です。日本に海外からの観光客が増えたこともありますが、最近店頭で、お客様がスマートフォンを開きながら買い物をしているシーンによく出会います。中には、スマートフォンで観光客が、ビデオ通話しながら、商品を選んでいることもありますね。

さて、この「商品を店頭で調べる」という行動は、実は、私たちのマーケティングの仕事を根本から変えるシフトです。まずは、この「商品を店頭で調べる」というシフトについて整理しましょう。

  • 情報アクセスが容易に
     ► 昔は、商品について調べるには、店員に尋ねたり、商品パッケージの情報を頼ったりするしかありませんでした。しかし、スマートフォンがあれば、いつでもどこでもインターネットにアクセスできます。商品レビュー、価格比較、製品スペックなどを瞬時に調べることが可能です。
  • 購買意欲を高める
     ►スマートフォンで情報収集することで、商品の魅力や価値をより深く理解できます。比較検討も簡単になり、納得した上で購入できるため、衝動買いが減り、満足度の高い買い物につながります。
  • 新しい発見
     ►スマートフォンで商品を調べながら、関連商品やセール情報を見つけることもできます。新たな発見を通して、今まで知らなかった商品に出会う機会も増えました。

皆さんも、消費者としてこのような行動を自然としているでしょう。ただ、その行動をこのように論理的に整理すると、今までのマーケティングの基本戦略との溝が見えてきます。

商品認知は、重要でないかも

まず、一つ目のデジタルシフトの影響は、「商品認知、商品認知率」の重要性の低下です。

商品認知とは、消費者が商品やブランドを認識している状態のことです。商品認知には、大きく分けて2つのレベルがあります。

  • 認知度
     ►商品やブランドの名前を知っているかどうかのレベル。例えば、「〇〇という名前のシャンプーは聞いたことがある」など。
  • 想起
     ►商品やブランド名を聞かれた時に、すぐに思い浮かぶかどうか。例えば、「シャンプーを思い浮かべてください」と問われたときに、〇〇という名前がすぐに出てくるか。

また、商品認知率とは、特定のターゲット層において、商品やブランドを認知している人の割合を示す数値です。例えば、ある調査で、100人の女性に「〇〇という化粧品を知っていますか?」と聞いたところ、50人が「知っています」と答えた場合、〇〇化粧品の商品認知率は50%となります。

今までは、この商品認知と商品認知率は、マーケティング戦略において非常に重要な役割を果たしていました。それは店内に入った後や、購入直前に、お客様はその商品について調べることはないという、仮定があったからです。

Googleレンズのようなスマートフォンの機能を使えば、今は製品名を知らなくても、その商品を知ることができます。ブランド名や商品名が重要な時代は終わりに近づいているのかもしれません。
Google アプリ|Google レンズ使ってみた by MISAMO

購買意欲は、ますます、企業情報から、消費者・体験者の情報にシフト

実は私も購入直前に、スマートフォンを使うことがよくあります。今年のゴールデンウィークに旅行に行った時にも、食事のお店に入った時に何を食べるかを、Google Mapのコメント欄を参考にしていました。

そのお店にも、当然メニューはあります。そしてメニューは、マーケティング的には重要な、お客様との接点でした。しかし、そのメニューを押し除けて、口コミを見るのです。そしてその口コミを、サイトの特徴により、ここ数年でいくつかに分けることができます。

メニューの情報収集に特化したサイト

►食べログ
 ▪日本最大級のグルメサイト。ユーザーによるレビュー、写真、メニュー情報、価格帯などが豊富で、お店選びの参考に最適。特に、「食べた人のコメント」や「写真」から、実際に注文されているメニューや、その料理の見た目が確認できます。
►ぐるなび
 ▪食べログと並ぶ人気グルメサイト。食べログよりも、クーポンやキャンペーン情報が充実している傾向があります。お店の詳細情報だけでなく、ランチやディナーなどの時間帯別のメニュー情報も充実しているので、事前にチェックしておくと便利です。
►ホットペッパーグルメ
 ▪クーポンや予約機能が充実しているグルメサイト。お店の情報だけでなく、お得なクーポンや予約特典なども掲載されているので、賢く利用したい方におすすめです。

特定のジャンルに特化したサイト

►Retty
 ▪ユーザーが厳選したお店を紹介するグルメサイト。洗練されたレストランやカフェ、バーなど、こだわりのあるお店を探すのに最適です。口コミだけでなく、写真や動画も充実しており、お店の雰囲気や料理のこだわりが伝わりやすいです。
►ヒトサラ
 ▪シェフや料理人情報に特化したグルメサイト。料理人の経歴やこだわり、お店のコンセプトなどを知りたい人におすすめです。シェフのインタビューや、料理に込めた想いがわかる情報が多いので、より深くお店を知ることができます。
►食べログ グルメノート
 ▪食べログが運営する、グルメなユーザー向けのサイト。厳選されたお店や、独自の視点で書かれたレビューなどが掲載されています。

その他の口コミサイト

►Google マップ
 ▪地図アプリですが、レストランなどの口コミ情報も充実しています。お店を探すだけでなく、周辺の雰囲気やアクセスなども確認できます。
►Instagram
 ▪写真共有アプリですが、レストランやカフェのアカウントも多く、実際に提供されている料理の写真やお店の雰囲気をリアルタイムに確認できます。
►Facebook
 ▪友達やフォロワーの口コミ情報を確認できます。実際に訪れたことがある人の生の声を聞けるので、参考にしやすいです。

このリストを見て気づくことがあります。私たちは、普段これらのサイトを複数使っているのではないでしょうか?

このことは、マーケターに私たちの情報発信以上に、お客様の情報発信を観察することが重要であることを伝えてくれています。つまり、デジタルシフトにより起きた、真の情報の双方向性を、私たちマーケターが理解すべきなのです。

デジタルシフトは、マーケティングの重要なテーマ

このように、生活者の○○シフトの、ごくわずかな部分を整理しただけでも、私たちマーケターが対応すべきテーマは見つかります。もっとこの生活者に起きているシフトの理解、そして、マーケティングの対応策の検討と実行が重要です。

何より、今年は【デジタルシフト】から、【AIシフト】にシフトの中身を劇的に変わるのですから。さぁ、新しい仕事の準備はできていますか?

著者プロフィール

株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充プロフィール画像
株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充
1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

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