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生活者インデックスデータ

新しいマーケティングのすすめ(5)

株式会社マーケティングサイエンスラボの本間がお届けする“「未知」の新しいマーケティングを考える”ためのコラム。本日のテーマは「プレゼンテーション」です。

「説明」「プレゼンテーション」は重要

この連載では「新しいマーケティングの創造」、そのための「指標の再定義」、そして「マーケティングデータの取り扱い方」や「マーケティングにおけるデータサイエンス」について考えてきました。皆さんの頭の中に、挑戦してみたい「マーケティング戦略」は芽生え始めたでしょうか?

「ブランド力を強化したマーケティング」や「お客様に一緒に寄り添うマーケティング」、「地域コミュニティー特化型のマーケティング」など、マーケティング戦略のアイディアの幅は、宇宙空間ほど広いと思います。しかし、この新しいマーケティングの戦術や戦略を実行するにあたり、最初にぶつかる壁は一致しています。それは「説明」「プレゼンテーション」です。新しい考えを他人に伝える際、自分の考えをわかりやすく相手の理解できる言葉で伝える。マーケティングの世界以外でも要求されるスキルではありますが、実践しようとするととても大変ではないでしょうか。

特にマーケティングの現場で生きる皆さんは、知らず知らずのうちにマーケティングの専門用語を一般用語と勘違いしてしまうことがあります。例えばメディアターゲティングの時に使う「F1」「M2」、デジタルマーケティングが浸透した昨今はCTR、CPA、CRM、MAなど、数多く省略英単語が増えてきていますが、はたしてこれらは一般用語でしょうか。

マーケティングの大きな戦略判断を経営にしてもらう会議を想像してみましょう。役員会議や経営会議などです。役員に対し、役員が理解できない単語を多用して説明をするのは相手に対して失礼でしょうし、何よりあなたの話を聞いてくれている役員のCPUを暴走させてしまう恐れすらあります。

そこで、今回と次回、プレゼンテーションについて考えてみたいと思います。今回は、ビジネスプレゼンテーションで私が心掛けていることや私の体験をご紹介します。そして次回は、データを使ったプレゼンテーションのヒントをいくつか提供したいと思います。

自分の仕事を他人に説明できますか?

突然ですが、あなたは自分の仕事を簡単に他人に説明できますか?特に自分と異なる業種の人に説明できると、胸を張って言えるでしょうか?ちなみに私は説明で困ったことが何度かあります。

かつて私は、花王のグローバル向けWebサイトの構築と、今後の海外のEC事業の戦略を立てる必要があり、よく海外出張に出かけていました。

アメリカの入国審査の時です。ある時、「よく海外に出かけているけど、仕事は何?」と聞かれたのです。この時、私は少し悩みました。そして「マーケティング」と答えました。何を悩んだのかというと「アドバタイズメント」と答えるべきなのか、「メディアプランニング」と答えるべきなのか、どちらにすべきか悩んだのです。結果、粒度が荒い「マーケティング」をと答えることを選びました。

実はこのようなことは、今のマーケティングでよく起きています。マーケティングが高度になり、そしてマーケティングの仕事が細分化されることで、実に多くの専門用語が存在するようになりました。しかし、私たちマーケターの中でよく使う専門用語は、一般の人や特に会社の経営者層の方には未知の単語です。そして、一般に知らない単語を聞いた段階で、多くの人は“この話は難しい”と感じてしまうのです。

「新しいマーケティング」のアイディアを話す時、極力、相手が知っている単語を多く使い、丁寧にわかりやすく説明することが重要です。その為には、あまり粒度を細かくしすぎず、そして可能な限り専門用語を排除して話す必要があるのでしょう。

新しいアイディアを古い言葉で

「新しいマーケティング」を簡単な言葉で説明するにはどうすれば良いのでしょうか。この答えは単純です。マーケティングの歴史の中で長く使われてきた、良く知られた、古い単語を使うのです。

例えば、ライフ・タイム・バリュー(LTV)です。一般的に「顧客生涯価値」と訳します。私はこの訳はきちんと説明していないと思っています。丁寧に言えば「お客様と最初に契約してから、お客様が契約を停止するまでに支払う対価」がLTVです。こう考えるとLTVには変数が2つあることが見えてきます。一つはTime、つまりお客様と「お付き合いできる期間」。もう一つはValue、つまり「その都度の対価」です。LTVを「顧客生涯価値」と訳すと、なぜかお客様との「お付き合いできる期間」の議論の焦点があたりますが、実は「その都度の対価」も重要な変数であるのです。

このように、平易で良く使われている単語を使うことは、自分のアイディアをきちんと確認する為にも必要な行動です。

このような事例は他にもあります。私たちが慣れ親しみ始めている「デジタルマーケティング」という言葉です。これは「デジタルメディアを宣伝コミュニケーションに活用するマーケティング」という言い換えと「マーケティング業務をデジタル化する」という言い換えが存在しています。この脳内翻訳のズレがミスコミュニケーションを誘発し、大きな失敗をしてしまう要因となるのです。

ちなみに「デジタルメディアを宣伝コミュニケーションに活用するマーケティング」という考えの場合の誤訳もあります。非デジタルメディアと思われることが多いテレビ宣伝ですが、テレビは多くの場合「地上波デジタルテレビ」のことを指しており、完全にデジタルメディアです。「映画」もフィルムで投影している映画館は少なくなっており、多くはプロジェクターで投影されています。つまり、ほとんどのメディアはデジタルメディアなのです。つまり今や「デジタルマーケティング」=「インターネット上のメディアを活用したマーケティング」ではありません。

もう一つの「マーケティング業務をデジタル化する」。私はこの意味で「デジタルマーケティング」という言葉を使っています。これは「デジタルメディアを宣伝コミュニケーションに活用するマーケティング」とは全く異なるマーケティング手法です。メディアプランニング時におけるメディア選定は自由です。マーケティングの成否判定にきちんとデータを使うことで、科学のように再現性のあるマーケティングを目指すものになります。

このように平易で誰でも知っている単語で、自分の仕事や新しいマーケティングを説明することは、相手の理解を得られるだけではなく、実は、自らの頭の整頓のためにもなり、論理を精緻にしてくれるのです。

言葉の定義はしっかり行おう

ここまで、自分の仕事や新しいアイディアを平易な単語で述べることと、適切な粒度で述べることを説明してきましたが、やはり新しい概念を創造する時には、新しい単語を考えないといけないこともあります。例えば先ほど出てきた「生涯価値」の様な単語です。この「生涯価値」、会議の席上で皆さんは計算の仕方まで定義して議論しているでしょうか?

新しい言葉を産むことは問題ありません。むしろ、新しい単語を産むことで議論しやすくなることはあります。ただし、一番重要なのは、この単語の定義について誰が聞いても同じ理解をできるようにすることです。

最後に皆さんに問います。皆さんの会社の「デジタルトランスフォーメーション」の定義は定まっていますか?皆さんの会社の「SDG’s」の定義は全社員同じですか?ぜひ、考え見てください。

著者プロフィール

株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充プロフィール画像
株式会社マーケティングサイエンスラボ 本間 充
1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

1992年花王株式会社に入社。社内でWeb黎明期のエンジニアとして活躍。以後、Webエンジニア、デジタル・マーケティング、マーケティングを経験。
2015年アビームコンサルティング株式会社に入社。多くの企業のマーケティングのデジタル化を支援している。マーケティングサイエンスラボ 代表取締役、ビジネスブレークスルー大学でのマーケティングの講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授(数学)、文部科学省数学イノベーション委員など数学者としての顔も併せ持つ。

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