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オフライン調査のキホン②~ホームビジット編~

オフライン調査のキホン①では、オフライン調査を使いこなす上で知っておくべきポイントと、近年のトレンドをお伝えしました。
今回ご紹介する「オフライン調査のキホン②」では、調査対象者のご自宅を訪問し、生活環境や特定の行動、商品・サービスの使用実態などを把握できるホームビジット(家庭訪問)に焦点を当てます。
ホームビジットのメリットや実施方法、特徴を紹介し、実施することで得られる知見や気づきについて解説します。

1. ホームビジットとは、どのような調査か

ホームビジットは、調査対象者の自宅を訪問し、生活環境を観察しながらインタビューを行う調査手法です。生活者の「日常」を知ることで生活者の潜在ニーズ・深層ニーズ、生活行動の傾向・きっかけ・価値観等を探り、生活者を深く理解し、新しい価値を創造するためのヒントを得る調査です。

ホームビジットが特に効果的なシーン
・商品やサービスの使用実態を把握したい場合
例えばキッチンやリビング、洗面台、お風呂場などの使用状況を直接観察できます。

・言語化が難しい価値観やニーズを掘り下げたい場合
生活者の行動を観察し、インタビューで深掘りすることで、行動や言動の背景にある隠れたニーズや改善点を明らかにします。例えば、一人暮らしの高齢者の実態を把握することで、健康、仕事、趣味や関心事などの課題を見つけ出し、それを基にライフスタイルの提案や商品開発に役立つ知見を得ることができます。

2. ホームビジットの3つのメリット

ホームビジットは、実際の生活環境を直接訪することで、生活者のリアルな日常や行動を観察し、深い理解を得られる調査手法です。ここでは、ホームビジットのメリットについてご紹介します。

・日常生活環境でのリアルな観察
生活者の自宅を訪問し、生活環境や日常の行動を直接観察するとともに、インタビューを行うことで、商品やサービスの利用状況を詳しく把握できます。これにより、生活者の隠れた心理や行動の背景を明らかにすることができます。

・信頼性の高い回答
実際の生活空間内での調査になるため、生活者のリアルな日常を捉えることができます。さらに生活行動の実態を見ながらその場でインタビューを行えるため、生活者の考えや感情もタイムラグなく聴取できます。

・深い洞察の獲得
生活者の行動や癖を観察し、インタビューにて価値観や考え方を掘り下げることで、生活者自身も気づいていない動機や深層心理などのインサイトを発見しやすく、新商品開発や新サービス提供に役立てることができます。また、生活者個人だけでなく同居するご家族や商圏情報も含めた生活環境全体の洞察により、生活者の行動傾向の深掘りを広くおこなえます。

3. ホームビジットの進め方

先述した通り、ホームビジットは生活者の行動実態や行動傾向、インサイト発見のヒント得るために適した手法です。具体的にどのように進めていくのか、インテージが行っているホームビジットの取り組みを通してご紹介します。

家庭訪問前におこなう生活者理解

限られた訪問時間内でインサイト発見のヒントを得るために、生活者情報を事前に収集し生活者像やインタビューフローを準備します。                                                                                                                                            
<生活者情報の一例>
・基礎情報 – 職業、家族構成、趣味、最近の関心事
・行動情報 – 行動エリア、行動頻度、行動時間、行動手段
・感性情報 – 感情、嗜好性、価値観、ライフスタイル

これらの生活者情報は、対象者自身が普段何気なく思っていることや感情を整理することで、得られます。これにより生活者の価値観や考え方の大枠を事前に把握することができます。
そして対象者とインタビュアーの双方にとって共通理解を高め信頼関係を築き、インタビューの質を向上させる効果があります。

家庭訪問中におこなう生活者理解

生活者の実態を把握するために、商品やサービスをご自宅内でどのように使用しているかを詳しく観察します。また、インタビューも併せて実施し、生活者の行動や考え方を深堀していくことで、より生活者を理解することができます。

以下の観点から商品やサービス、生活者のライフスタイルを理解し、商品開発やマーケティング活動へ役立つ知見を見つけ出します。
<ニーズ>
・製品やサービスを使用したきっかけ、期待、感想(満足、不満、課題改善)
<行動特性>
・製品やサービスの利用状況、購入経路、利用期間、利用頻度、利用するシーン
<価値観>
・商品やサービスを利用する際の基準、きっかけ、動機、気分
・生活者自身の経験、文化、嗜好性、家族構成、将来への期待

ホームビジットはルールや手順はあるものの、その場でインタビューするため、気になったことや深堀したいことをヒアリングができる、自由度が高く、柔軟な対応が可能です。

4. ホームビジットの事例

ホームビジットは、キッチンやリビング、洗面台、お風呂場など生活空間での商品やサービスの利用状況を直接観察できるため、作り手の意図通りに使われているか、あるいは想定外の使い方がされているかを確認するのに効果的です。また、インタビューでの回答と実際の行動とのギャップを把握することで、生活者の価値観やニーズを深く理解することができます。特に、日常の何気ない行動や動作から、言葉では表現しづらい潜在的なインサイトを得たい場合に有効です。
ペルソナ作成やカスタマージャーニーの構築に必要な情報収集にも役立ちます。

ホームビジットが具体的にどのようなシーンで活用されているかをご紹介します。これらの事例は、異なる業界や目的に応じて、生活者のリアルな行動や意識を深く理解するための手法として応用されています。
【日用品】食器用洗剤開発のための調理・後片付けの利用状況
【食品】ポテトスナックの購入・喫食状況の把握
【飲料】家庭内における飲用水(水道水やミネラルウォーター)の利用状況
【美容】女性のライフスタイルと習慣に関する行動観察
【介護】介護者と介助者の行動・生活習慣に関する行動観察
【生活】自宅内に定点カメラを設置して家庭内における生活者の行動観察

5. ホームビジットを実施する場合の3つの注意点

調査の精度を高めるために、注意すべきポイントを3つご紹介します。

注意点1. プライバシーへの配慮
ホームビジット(家庭訪問)は対象者との信頼関係があって成立する調査手法です。
調査対象者の自宅を訪問し、生活環境を観察しながらインタビューを行う調査手法のため、調査対象者のプライバシーを守る必要があり、調査に関係のない場所に立ち入る行為や無許可に撮影する行為は厳禁です。生活者理解をする上でプライバシーへの配慮は不可欠です。

注意点2. 環境バイアスをコントロールする
生活実態を観察するうえで「普段の生活」を再現させることがポイントです。対象者へ過度な緊張やストレスを感じさせないように対象者属性に合わせた訪問担当者のアサイン、訪問人数、訪問日時など訪問前にどのような環境バイアスが生じるかを想定し、影響を最小に抑える調査設計にすることが重要です。

注意点3. 聴取内容とフローの整理
ホームビジットは得られる情報が豊富かつ、インタビュー進行の自由度が高い調査手法です。インタビューで聴取する項目が整理されていないと、滞在時間が長くなり対象者の負担が増えるため、聴取データの質にも影響を及ぼす可能性があります。
事前に聴取項目を明確にし、適切なフローを構築することで、限られた時間内でのインサイト発見に効果を発揮します。

6. まとめ

この記事では、ホームビジットの特長、メリット、進め方、実施時の注意点をお届けしました。
生活者のリアルな生活環境や行動を観察し、深い洞察を得ることができる調査手法です。潜在的なニーズや本音を発見し、新たな価値を創造するための気づきを得ることができます。

インテージでは、様々なテーマのホームビジットを多数実施しております。経験豊富なリサーチャーとフィールドマネージャーが、調査設計を行います。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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