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VUCA時代を生き抜く、データドリブンな業務プロセス改革

この記事では2022年5月18日にインテージが開催したセミナー内容の一部をお届けします。

昨今のコロナ禍の影響は、新しい日常での生活様式の変化や、世界的な生産材の原価高など、予測困難な出来事が起こっています。このような世界では、過去のデータから未来を予測するという従来型のアプローチではなく、今現場に何が起こっているのかを速やかに察知し、それらを迅速に意思決定に活用していくという業務プロセス改革が求められています。 特に消費財メーカーの置かれている国内環境は厳しく、人口減少による市場規模の縮小に加えて、原材料価格の高騰を売価に転嫁しようにも、得意先の了承が得られにくい状況が続いています。

こういった状況を打開する方法を模索することを目的に、セミナーでは、インテージが保有する企業POSデータを始めとした流通データの収集・統合・分析の技術を用いて、小売店の店頭で実施される全ての販促の効果・効率を即時可視化し、マネジメントに活用する取り組みについて解説しました。

何故、いま販売費マネジメントなのか

人口減少による市場規模の縮小、原材料価格の高騰、生活者のデフレマインドの蔓延による、消費財購入単価の長期的下落。国内環境は厳しさを増すなかで、売上成長に頼ることなく、収益を産み出せる筋肉質な企業体質に生まれ変わることは、消費財メーカーの共通の経営課題となっています。

収益改善を考えるにあたり、どの経営指標の改善に着目すべきでしょうか。 消費財メーカーのように、小売店を通じて消費者に製品を販売していく業界では、各事業の売上高に占める販売費が20-35%、広告宣伝費が1-4%、残る営業利益が数%という企業が一般的です。
この数字から 販売費の最適化(効率化・削減)が実現できれば、営業利益に非常に大きなインパクトを与えることができるのは明白です。しかしながら、近年、小売業の寡占化に伴う棚争いの激化、販促種別の多様化などを背景に、販売費のマネジメントが難しく、投下費用の拡大を抑止できないというご相談を頂くケースが増えてきました。

販売費マネジメントを困難にする要因とは

販売費の最適化を実現するための第一歩は、販売費の中でもウエイトの大きな販促費支出の効果・効率性をデータ分析から明らかにすることから始まります。しかし、これらを実現できている企業はそう多くありません。

販促費支出の効果・効率性を厳密に分析するためには、企業POSと販促費投資情報が必要です。これらのデータを活用する上で、企業POSデータの収集・整形作業や、販促費データと POSデータとの突合・分析作業に膨大な手間とリードタイムが掛かることがボトルネックになっています。図表は企業POSデータ分析のフローと、各プロセスにおける課題を示したものですが、手間をかけて各種データを成形・突合した後も、小売店店頭では日々無数の販促活動が実施されているため、全ての効果を可視化するノウハウや人的リソースが組織に無く、実現に至らないという課題も伺います。

POSデータを用いた販売費マネジメント

これまで販売費マネジメントの重要性と、それらを困難にする要因について述べて来ましたが、課題解決に向けては、デジタルテクノロジーを駆使しながらこれら一連の作業を自動化し、販促効果の即時見える化をしていく必要があります。これにより、実際にどのような効果が得られるのか、インテージの“POSデータ統合分析ソリューション”のアウトプットを用いて紹介します。

このサービスは、インテージが数十年に渡って培ってきた、600社以上の企業POSデータを日々自動集信し解析・評価する技術を用い、企業POSデータの自動収集・整形、販促費データとの突合、効果測定の自動化算出を実現するものです。

図表は販促効果を統計モデルを用いて可視化したものです。モデルでは、個別SKUの販売実績を各投下施策の効果に分解し、施策毎の売上(粗利)貢献量を明らかにしています。また、この売上貢献量を投下費用で割り返すことで販促ROI、ROASの速やかな可視化を実現します。

瞬時に膨大な量の解析結果が出力され、さらにTableauなどのBIツールを用いることによって、工数やリードタイムを掛けずに販促の効果・効率を事業別、得意先毎、販促種別毎、ブランド・SKU毎に可視化・評価することも可能になります。

得意先別に販促ROIを評価することで、販促投資効率の悪い得意先から、より高い得意先に投資費用をシフトし、事業全体の投資効率を高める事が可能になります。 また、得意先内の過去の販促効果をSKU×販促種別毎に評価し、蓄積する事によって、営業担当者がどの時期に、どのSKUで、どの販促種別を組み合わせて提案するのが得意先にとっての最適解かを理解し、提案レベルを高める事にも貢献します。

組織的なデータ活用能力を高めていくために

組織的なデータ活用能力を高めていくために、解決すべき課題が3つあると考えています。

・1つ目の課題はデータ収集に掛かる工数とスピード
・2つ目の課題は分析能力の属人化
・3つ目の課題は営業スタイルの変革です

これまで、前者2つの解決アプローチについて述べて参りましたが、データ分析という武器が提供されても、長く続けてきた営業のやりかたを変えることは一朝一夕にはいきません。
データ分析とそれにもとづく提案活動を定着させるには、普段の営業プロセスやマネジメント、業務システムにデータ分析を組み込んで組織全体で定着化させていくことが非常に重要です。

そこで、インテージはセールスフォース・ジャパンと協業しながらデータ分析と業務プロセスを一体化することでデータドリブンな営業スタイルの実現を支援しています。Tableau ダッシュボードは Salesforce  Consumer goods cloud に簡単に統合できるため、販促効果を可視化するテンプレートを用いて、普段の業務システム上でいつでも誰でもデータが活用できるという世界を実現し、組織のデータ活用能力を引き上げます。

ここまでご紹介してきたIntage販促効果分解モデルは、過去の販促ROI/ROASを速やかに可視化するものですが、今後は過去の販促投資結果をもとに、未来の販促投資効果をシミュレーションする技術開発を進めています。

組織の活動にデータ活用を浸透させつつ、データ分析の内容を高度化させていくことで、より効果的な販売費マネジメントの実現が期待されます。

本セミナーでは、インテージのデジタル化技術を用いた収益性向上に向けたアプローチをご紹介しました。国内の市場環境が益々厳しくなっていく中で、弊社取り組みが皆様の一助となれば幸いです。


POSデータ統合分析ソリューション

消費財業界のお客様を長年支援してきたインテージのノウハウによりPOSデータ統合をご支援すると共に、業界のお客様に広く支持されているデータ分析プラットフォームである「Tableau」上にインテージが保有するSRI+®(全国小売店パネル調査)のデータと、企業POSデータ分析ノウハウを加えた、営業担当者向けの複数のPOS分析ダッシュボードを提供します。ソリューションは Consumer goods cloud プラットフォームのSalesforceのアプリケーションに組み込まれます。これにより、営業担当者はデータの整形・加工に割いていた時間から開放され、顧客の行動パターンや販促投資効果、価格動向などのダッシュボードからPOSデータを起点に新しい提案の切り口を発見できます。例えば、営業担当は、ソリューションが特定した問題解決に役立つ適切な製品を見つけることができます。お客様小売業の販売結果と市場データである SRI+との差異を比較することで、お客様の販売機会損失の可能性を導き出せます。

本取り組みに関するお問い合わせ先
pos-integration@intage.com
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