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コロナ禍の隠れたヒット商品 成長するプロテイン粉末市場

コロナで激変「2020年、今年売れたものランキング」で8位にランキングしたプロテイン粉末。プロテイン粉末というと、筋肉増強のために運動する人向けの商品というイメージを持っている人も少なくないかもしれません。ところが、そのプロテイン粉末市場が、新たなユーザーを取り込むことで、いっそう拡大してきているのです。今回は、その好調要因について、データで見てみました。

コロナ禍に成長を加速させたプロテイン粉末市場

図表1は、直近6年間のプロテイン粉末の販売金額の推移です。販売金額が、年々増加していることが分かります。とりわけ、2020年1-10月累計では、前年同期間比139%の128億円と大きく伸長し、10カ月間で前年の1年間を上回る規模にまで拡大しています。

図表1protein2020_01.png

2020年の販売金額を月別にみると、消費増税前の駆け込み需要による反動があった9月を除き、6月以降は前年比150%を超える伸びが続いています(図表2)。

図表2protein2020_02.png

5月下旬に緊急事態宣言が解除されたことで、6月以降、外出自粛の動きが弱まり、スポーツジム等の運動施設も徐々に再開されました。再開された施設を利用して運動する人が出てきたことも市場をけん引したと考えられます。
また、外出自粛によって運動量が減少し、“コロナ太り”と言われる体形の変化を気にする人は少なくないと言われています。商品別では、ダイエットや美容への効果を訴求する、大豆を使用したソイタイプの商品がとりわけ伸長しています。ダイエットや美容のためのプロテイン需要が拡大したことも、市場の伸びに寄与していると推察されます。

新規ユーザーの獲得により成長したプロテイン粉末市場

このコロナ禍をきっかけとして新たにプロテイン粉末を買うようになった人はどのくらいいたのでしょうか。インテージSCIを用いて、プロテイン粉末の購入率の推移を新規購入者・継続購入者に分けて見てみましょう(図表3)。ここでは、2019年1-12月にプロテイン粉末の購入がなかった人を「新規購入者」、購入があった人を「継続購入者」としています。

図表3protein2020_03.png

プロテイン粉末の購入者自体、生活者全体では限られるものの、4月から6月にかけて増加し、6月以降は0.8%程度の水準を維持しています。新規購入者・継続購入者別に見ると、継続購入者の割合が0.3%程度とほぼ横ばいで推移しているのに対し、新規購入者の割合が4月から6月にかけて0.5%程度まで上昇しており、3月までの0.2%程度の水準から2倍を超える規模まで増加しています。このことから、新規購入者数の増加が、市場拡大に寄与したことが分かります。

この新規購入者は、どういった人なのでしょうか。新規・継続購入者それぞれについて性年代別の人数構成比をみてみましょう(図表4)

図表4protein2020_04.png

まず、プロテイン粉末購入者全体の人数構成を見てみると、女性、特に30~40代女性が生活者全体の構成比に対して多くなっていました。この層が現在のプロテイン粉末の主要なユーザーと言えそうです。

さらに新たに買うようになった層は、既存のユーザー層とどのように違うのか、「新規購入者」と「継続購入者」を比較してみると、「新規購入者」における女性の構成比は女性15-29才が約4ポイント、女性30-39才が約3ポイントと、特に若年層の女性の構成比が大きくなっていました。このことから、若年層の女性を新規に取り込んだことが、プロテイン粉末市場拡大の1つの要因であることが分かります。

新規ユーザーの健康意識・行動から見えた購入のきっかけ

最後に、プロテイン粉末の新規購入者の健康意識・行動を見てみます。健康意識や行動に関する33の調査項目のうち、「当てはまる」と回答した人の割合が生活者全体と比べて特に高かった上位5項目は図表5の通りです。

図表5protein2020_05.png

1位が“健康のためにサプリメントをとっている”、2位が“美容のためにサプリメントをとっている”となっているほか、3位から5位の項目からも、「食べるもの、口にするものによって健康になりたい」という意識が高く、健康や美容のためにプロテイン粉末を購入している人が多いと考えられます。

さらに、これまでと比べてユーザー像はどう変わったのか、新規購入者と継続購入者で意識の違いを見てみましょう。新規購入者と継続購入とで特に意識・行動の差が大きかった上位5項目は図表6の通りです。

図表6protein2020_06.png

1位が “最近、おなかのまわりが太ってきたと感じている”となっており、ダイエットを目的として、新たにプロテイン粉末を購入していることが見て取れます。また、2位に“テレビで健康に関する番組をよく見る”、5位に“新聞・雑誌などの健康に関する記事を見る”が入っており、健康に関する情報を積極的に入手しているようです。

近年、粉末以外でも、バータイプのものやドリンクタイプのものなど、プロテイン関連の商品が増えており、販路もドラッグストアだけではなく、スーパーマーケットやコンビニなど拡大してきました。テレビや新聞・雑誌などのメディアでも、プロテイン関連の商品は、筋肉増強を目的に運動する人だけではなく、健康や美容・ダイエットにも良い食品として取り上げられるようになってきています。そうしたなか、情報感度が高い消費者が、店頭やメディアを通じてプロテイン関連商品への関心を高めて、粉末タイプの商品も購入していると考えられます。

健康や美容・ダイエットへの関心に加えて情報感度の高い、新たなユーザーの取り込みによって、プロテイン粉末市場が成長を加速させてきたことが分かりました。コロナ禍にて、生活様式そのものが変わっていくなか、プロテイン粉末市場の拡大は今後も続いていくか、動向が注視されます。


今回の分析は、以下のデータを用いて行いました。
SRI®(全国小売店パネル調査)
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約4,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2019年3月現在

SCI®(全国消費者パネル調査)
全国15歳~79歳の男女52,500人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません

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