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アンケート調査の方法とコツ② 課題設定~仮説構築~調査手法の選び方編

いまやマーケティング活動の意思決定に欠かせないアンケート調査の基本の調査プロセスや実施のコツについて、シリーズで解説します。

第2回となるこの記事では、アンケート調査を成功させるうえで重要な「仮説の構築」と「調査手法の選び方」について解説します。

第1回の「アンケート調査の主な目的と役割・企画前のチェックポイント」の記事へはコチラから
第3回の「対象者条件設定~アンケートの作り方編」の記事へはコチラから
第4回の「アンケート結果のまとめ方・集計の基本とコツ」の記事へはコチラから
第5回の「結果のグラフ表現とアンケート調査の活用事例」の記事へはコチラから


アンケート調査実施の基本的なプロセス

アンケート調査の企画をする時には、具体的な方法や質問の内容を考え始める前に、解決すべき課題の設定~仮説の構築~調査の企画というプロセスが必要です。ここで重要なのは、調査結果が課題の解決に向けたアクションに繋がるように企画することです。このプロセスでしっかり準備することが、調査結果の価値の大半を決めます。

【図表1】

マーケティング課題解消に向けたアンケート調査実施の流れ

では、具体的にどのように準備すればいいのか、解説していきましょう。

調査プロセス解説① マーケティング課題設定と仮説の構築

アンケート調査を実施する場面の大半は、何らかのマーケティング課題に直面した時でしょう。まずはその課題が何かを明確にし、なぜ起きたのか、原因を考えてみましょう。この原因を仮説とし、アンケート調査で本当であることが確認出来たら、それを解決するためのアクションを実行すればいいというわけです。

課題設定と仮説の構築をどのように進めていくのか、具体的な例をあげて説明しましょう。「ある商品がブランドに勢いをつけるためにリニューアルし、テレビCMを投下してキャンペーンを実施したところ、売り上げが芳しくなかった」、という架空のケースがあったとします。このケースでは、リニューアルキャンペーンの結果が芳しくなかったというのが課題ですので、その原因はキャンペーンの失敗だったという仮説を立てます。ただ、「キャンペーンが失敗だった」という仮説だけでは、具体的なアクションに繋がらないため、仮説をさらに具体的にしていきます。

今回のキャンペーンではテレビCMを投下しているので、テレビCMにその原因があるのかもしれません。ただ「テレビCMがよくなかった」という仮説も、アンケート調査でそれが本当だったと確認することが出来たところで、「よいテレビCMを作ろう」という結論にしかなりませんので、具体的なアクションプランに結び付けるにはさらに原因を掘り下げていく必要があります。

例えば「テレビCMのトーンがブランドイメージと一致しなかったからではないか」という仮説はどうでしょうか。この仮説が正しければ、「次のテレビCMを作る時にブランドイメージに合ったクリエイティブにする」というアクションプランを立てることができ、課題の解決につながりそうです。また、この仮説なら、テレビCMのイメージとブランドイメージを調べて、イメージが同じなのか異なっているのかをアンケート調査で確認出来ます。

【図表2】

アクションにつながりやすい仮説とつながりにくい仮説の例

このように、問題の原因を次のアクションにおとしこめるレベルまで具体化することで、アンケート調査の結果をマーケティングに活かすことができるようになるのです。

もちろん、実際のケースでは、最初に考えた仮説が本当に原因であるとは限りません。考えられる原因=仮説を出来るだけアンケート調査に盛り込んでおくことが極めて重要です。

仮説の洗い出しをするときには、マーケティングでよくもちいられるフレームワークを使用すると便利です。フレームワークには様々なものがありますが、代表的なものは以下の通りです。これらを使用して、チーム内でディスカッションするといいでしょう。

調査プロセス解説② アンケート調査手法の選択

仮説を構築し、何を明らかにすればよいのかを整理したら、調査の企画へと進みます。まずは手法の選択です。

【図表3】

仮説構築の次のステップ

アンケート調査には大きく分けて「定量調査」と「定性調査」という2つの手法があります。それぞれの性質や特徴を簡潔にまとめた表が【図表4】です。

【図表4】

定量調査と定性調査の違い

定量調査は、たくさんの人に同じ質問をした回答を、数字として処理した統計データを分析します。現在の市場がどうなっているかといった実態を把握したり、マーケティング施策を実行した効果を確認したり、仮説を検証したりする時に有効な方法です。ある程度の数を確保するため、適切に設計すれば得られた結果は「市場全体を反映している」と捉えることができます。

※設計については「アンケート調査の方法とコツ③ 対象者条件設定~調査票作成編」にて詳しく説明しています。

もう一つの定性調査は、1人、または数人の対象者の言葉や態度、行動など数字ではないものを”データ”として分析します。物事の背景や構造を深く理解したり、生活者の潜在的な意識を探ったり、仮説を構築したりするときに有効な方法です。多くても数人の”データ”を分析するので、「市場全体」を知るには不向きですが、定量調査では分からない発見を得られることも多いのが特徴です。

定量調査と定性調査には、それぞれ手法の種類が複数あります。よく活用される主な種類をご紹介します。

【図表5】

アンケート調査の主な種類

定量調査はインターネットを利用したネットリサーチが主流ですが、実際に商品を見てもらったり食べたり飲んだりしてもらう必要がある時は、特定の会場に対象者に実際に来てもらって、アンケートに答えてもらう「会場テスト(Central Location Test)」という調査もあります。

定性調査は、口頭でインタビューをするインタビュー調査が代表的な手法ですが、複数の対象者に集まってもらって、対象者同士で話し合ってもらうこともある「グループインタビュー」と、1人の対象者に対してインタビュアーが1対1で話を聞いていく「デプスインタビュー」があります。

グループインタビューは、対象者同士が刺激しあうことで1人では考えつかない潜在的な気持ちに気付くといったようなことに適しているのに対し、デプスインタビューは1人の人にじっくり考えてもらうことで、本人も気がついてないような、心の奥底の気持ちを探り出すのに適した方法です。

このように、定量調査も定性調査も得意なテーマが違うので、マーケティング課題の状況によって、両者を使い分ける必要があります。

また、手法の特徴の違いを活かして、両者を組み合わせて活用することで、より深く市場や生活者を理解し、有効なマーケティングアクションに繋げることも出来ます。

【図表6】

定量調査と定性調査の組み合わせ方

全く未知の市場に参入するケースや、市場環境が激変して自分たちが立てた仮説だけでは心もとないといったケースでは、定性調査を実施して仮説を抽出し、それが本当なのかを定量調査で検証する、といった組み合わせ方が典型的な活用例です。

一方、定量調査で得られた知見の背景を探って肉付けしたり、定量調査の結果を受けて作成したアクションプランの方向性を確認したりするために、定量調査の後で定性調査を実施するという活用方法も、とても有効な組み合わせ方です。

「アンケート調査の方法とコツ」第2回は調査企画のコツとして、仮説構築のコツと調査方法の選び方について解説しました。

第3回では、アンケート調査の対象者の条件や調査票の作成といった具体的な内容の組み立て方について解説します。


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