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SDGs認知率は8割、2年間で約3倍に 
~女性中高年層の認知拡大 長引くコロナ禍、貧困問題への注目高まる

最近メディアで目にする機会も多いSDGs。遂に2021年には「現代用語の基礎知識選 2021ユーキャン新語・流行語大賞」にもノミネートされました。インテージが継続的に実施しているSDGSに関する調査でも、2022年には認知率が8割に。2年間で約3倍となりました。

遂に市民権を得たと言えそうなSDGs。人々はどのように受けとめているのか、長引くコロナ禍で重視するゴールはどのように変わっているのか、2022年1月に実施した、生活者2,556人を対象にした自主調査から、最新動向をお届けします。

2022年現在のSDGsの認知率

インテージでは、2020年から継続的にSDGsに関する自主調査を実施し、認知率や生活者が「優先的に取り組むべき」と考えるゴールについて、時系列で分析しています。

まずSDGsの認知率を見てみると、2020年1月にはわずか3割に過ぎなかった認知率(SDGsについて「内容を知っている」「内容をある程度知っている」「言葉は聞いたことがあるが、内容は知らない」計)が、2022年1月の調査では8割まで上昇しました(図表1)。「内容を知っている」「内容をある程度知っている」人も過半数に達し、言葉としての認知だけではなく、理解も順調に深まっていることが分かります。

図表1

次に、性年代別の認知率を見てみましょう。2021年までは性年代でばらつきがありましたが、2022年には10代*から60代男女のあらゆる層で認知率が8割前後にまで高まりました(図表2)。特に、2020年には2割前後に留まっていた30代以上の女性への浸透が著しく、前年よりも30ポイント以上アップしています。ここ数年、SDGsに関する記事やニュースがさまざまなメディアで取り上げられるようになりました。特にテレビで大きく取り上げられる機会が増えたことで、テレビとの親和性が高い層への浸透が一気に広がったのかもしれません。また、「ESG経営」の広まりとともに仕事や会社で目にする機会も増えたことから、あらゆる層での浸透につながっているのではないでしょうか。

*本調査では15-19歳を対象

図表2

生活者のSDGsに対する受けとめ度合は?

認知は広がっているものの、生活者はSDGsを前向きに受けとめているのでしょうか。SDGsに対する気持ち・態度として共感するかどうかを聞いたところ、全体では「共感する」と「どちらとも言えない/分からない/関心がない」が拮抗していました(図表3)。しかし、「内容を知っている」「内容をある程度知っている」人に絞ってみると、65.6%が「共感する」と回答。同様に、「SDGsを推進する企業や、SDGsで謳うゴールの実現に貢献する商品やサービス」についても、「内容を知っている」「内容をある程度知っている」人は67.3%が「好感をもつ」と回答しています。

「内容を知っている」「内容をある程度知っている」人は年々順調に増え、前述のとおり2022年には半数を超えていることから、今後は全体の中でもSDGsを前向きに受けとめ、共感や好感を示す人の割合が高くなっていきそうです。

図表3

生活者が考える「優先的に取り組むべきゴール」 長引くコロナ禍の影響は?

では次に、生活者が優先的に取り組むべきと考えている課題について見てみましょう。17のゴールのうち、優先的に取り組むべきと思う順に1~3位を回答してもらったところ、上位3つは「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」「平和と公正をすべての人に」で、昨年の上位3つと共通していました(図表4)。ただし、「貧困をなくそう」については、昨年23.7%だったところ、2022年には27.4%にアップし、上位3つに選ばれる割合が最も高いゴールとなりました。長引くコロナ禍で経済的な困難に直面している人が多いことに加えて、営業自粛要請によって追い込まれた飲食業の方、時間給制で働く方やシングルマザーのワーキングプアの問題などが報道されたことにより、より身近な課題として貧困問題への関心が高まっているのかもしれません。

図表4

一方、2021年には優先順位が下がった「気候変動に具体的な対策を」は、2022年、再び注目が高まったと言えそうです。上位3つを足し上げた順位こそ全体の4位でしたが、優先的に取り組むべきとして1位に選んだ人の割合は、17のゴールのうち最も高く12.2%で、コロナ禍前の2020年1月と同水準に戻っていました。コロナへの対応で一時的に優先順位が下がったものの、気候危機そのものが解決されたわけではありません。2021年11月にはCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)も開催され、改めて喫緊の課題と認識されたのではないでしょうか。

図表5

最後に、コロナ禍によって取り組みや解決が遅れるなどの影響が出たゴール(3つまで回答)を見てみましょう。2021年に調査した『影響が出そうな』ゴール(3つまで回答)と比較しました(図表6)。

図表6

1位・2位は『影響が出そうなゴール』『実際に影響が出たゴール』ともに「働きがいも 経済成長も」「貧困をなくそう」でした。1年前にも「コロナ禍で企業の経営が打撃を受けると同時に、多くの人が仕事を失ったり収入が減ったりするなど、経済的な苦境に直面している現状を映し出していると思われます」と述べましたが、その状況はこの1年で改善しなかったと言えるのかもしれません。

一方で「すべての人に健康と福祉を」は、『影響が出そうなゴール』よりも『実際に影響が出たゴール』の方が5ポイント近く低い結果となりました。コロナ禍で健康や社会的な生活が脅かされる状況にありながらも、生活スタイルの変化などが心身にポジティブに働いた人も一部には見られたということかもしれません。

SDGsを知っていることが「当たり前」となった2022年。長引くコロナ禍で目の前に課題が山積している中でも、着実にサステナビリティは人々の暮らしに浸透しつつあると言えそうです。認知が広がったことで「行動変容」にまで至るのか、商品やサービスの選択にはどう影響するのか。今後は生活者の「行動」にどのような変化が起こるのかに注目していきたいと思います。

“サステナブルな行動”の実践状況、商品の選択基準の変化など、詳細なレポートを公開しています。


今回の分析は、以下のデータを用いて行いました。

【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】 
<2022年1月調査>
調査地域:全国
対象者条件:15~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2020年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2021年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=2,556
調査実施時期:2022年1月25日(火)~1月27日(木)

<2021年2月調査>
調査地域:全国
対象者条件:15~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015 年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2020 年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=2,544
調査実施時期:2021 年2月5 日(金)~2 月8日(月)

<2020年1月調査>
調査地域:全国
対象者条件:15~69 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015 年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2019 年度
構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=3,206
調査実施時期:2020 年1月20 日(月)~2020 年1 月22日(水)

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