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1話3分!“ショートドラマ”の人気の背景にある“スキマ時間の活用の潮流”

1話3分のドラマ 「ショートドラマ」をご覧になったことはありますか?近年、TikTokやYouTubeショート動画など、短めの動画が若年層のトレンドになっている中で、ドラマさえも3分という短いものが配信されています。そして最近では『TikTok上半期トレンド大賞2024』の大賞として「ショートドラマ」が選ばれるなど、認知度も上がってきています。

また、ショートドラマ以外にも、1日5分から始められるジム「chocoZAP(チョコザップ) 」、最短1時間から働くことができるスキマ時間バイト「タイミー」などの「ちょっとしたスキマ時間」に利用できるサービスも注目されています。

これらの背景にはどのようなトレンドがみられるのでしょうか?「タイパ」という言葉を耳にするように、「短時間で満足度の高い経験ができること」が人気を集めているのかもしれません。

そこで、メディア利用ログデータである インテージシングルソースパネルi-SSP®の データをもとに、「ちょっとした時間」でできることからショートドラマまで、その人気について探ります。

1.「ちょっとしたスキマ時間」が新しい鉱脈に

はじめに、1日5分から始められるジム「chocoZAP(チョコザップ)」、最短1時間から働くことができるスキマ時間バイト「タイミー」などのちょっとしたスキマ時間を有効に活用できるサービスの人気がいつから高まっているのか、i-SSPのアプリ利用率を元に見てみましょう。

図表1は、ジムやフィットネス施設のアプリ利用率の推移を示しています。1日5分から始められるジム「chocoZAP(チョコザップ)」のアプリ利用率は他のジム・フィットネスのアプリと比較しても、大きく伸びていることがわかります。

図表1

ジム・フィットネスアプリの利用率

また、図表2でアルバイトアプリの利用率の推移を見てみると、特にスキマ時間バイト「タイミー」のアプリ利用率が伸びていることがわかります。

図表2

アルバイトアプリの利用率

2024年7月と2022年1月の利用率を比較すると、2年半で利用率が5倍以上になっています。株式会社タイミーは2024年7月に東証グロース市場に上場しましたが、様々なバイトアプリがある中で飛びぬけて高い利用率を誇り、短期間で急成長を遂げていることがこのグラフからわかります。
ちょっとしたスキマ時間を有効活用できるサービスは「タイパ」といった価値観が重視される現在において、生活者にとって、より一層魅力的なものに映っているのかもしれませんね。

2.ショート化する動画と若者の視聴

ここからは、メディア視聴と「時間」に関して見てみましょう。

図表3はYouTubeにおいて視聴された10分以下の動画数とその割合について、2024年4月と2021年4月の実態を比較した結果です。10分以下の動画数は3年間で3倍以上に増加し、2024年4月には総視聴本数のうち75% を占めています 。視聴された動画の総数自体が増えている中で、10分以下の動画数の割合が10%近く増加している点からも、短い動画の人気が高まっていると言えるでしょう。

図表3

YouTube 10分以下の動画数とその割合

さらに、ショートコンテンツを配信・視聴できるTikTokについて見てみましょう。
図表4はTikTokの利用率および利用者1日あたりの利用時間の推移を示したものです 。

図表4

TikTok の利用

利用率は年々上昇しており、2018年には利用率が1%程度だった一方で、2023年では10%以上の方が利用していることがわかります。また、コロナウイルスが流行し始めた2020年頃からTikTokの利用時間は上昇したことがわかり、コロナ禍を経て、TikTokおよびショートコンテンツが広まったことがうかがえます。

3.人気上昇中の3分ドラマ

さらに、具体的なコンテンツを見ていきましょう。
「ドラマ」と聞くと、一般的には1話60分程度の作品や、短くても15分ほどのものがイメージされると思います。しかし、最近はYouTube、TikTok、Instagramを中心に、1話約3分程度の「ショートドラマ」が配信されています。図表5は代表的なショートドラマのチャンネルをYouTubeよりピックアップし、10代20代の接触率の推移をまとめたものです。

図表5

ショートドラマ YouTubeチャンネル接触率

2023年4月~12月ごろにチャンネル数が増え 、ショートドラマのジャンル自体が伸びていることがわかります。さらにチャンネルごとにも見ていきましょう。まず、数年前から配信されているのが「ごっこ倶楽部」。ショートドラマ の先駆者であるクリエイター集団「ごっこ倶楽部」(2021年5月結成)によるチャンネルです。 YouTubeチャンネルへの接触率からもわかる通りショートドラマジャンルをけん引する存在です。その影響力にも注目が集まり、京都市とのタイアップや、日本航空やパーソル、トヨタといった大企業とのPRコラボも実現させています。

次に、ショートドラマ専用アプリ「BUMP」の公式YouTubeチャンネルである「BUMPドラマ【公式】」は2024年4-6月に特に伸びています。2024年6月には、クリエイター集団「ごっこ倶楽部」による地上波初ドラマ「満タサレズ、止メラレズ」が放映されました。その先行配信を「BUMP」アプリで行ったことで認知度が高まったことがうかがえます。

また、「毎日はにかむ僕たちは」のチャンネルは日本テレビの公式ショートドラマチャンネルであり、テレビ局もYouTubeにてショートドラマを配信していることがわかります。

さらに 、このようなチャンネルの他にも、企業が自身のサービスのチャンネルにて、プロモーションの手段としてショートドラマを導入している企業もあります。例えば、 アドビ社は「PDFラブレター」と題し、3分の青春ドラマの中で、様々なAdobe Acrobatの機能を伝えています。このように、サービスの魅力をストーリーの中で伝えることで多くの視聴者にとって忌避されがちな広告を好意的に捉えてもらえるようにショートドラマが活用されています。

次に、ショートドラマはどのような年代に見られているのでしょうか。
図表6は代表的なショートドラマチャンネルである「ごっこ倶楽部」の 年代別の接触率を表したものです。

図表6

ショートドラマ「ごっこ倶楽部」チャンネル 年代別の接触率

この結果から特に10代を中心に見られていることがわかります。一方で、2024年5月のYouTubeチャンネル接触率ランキング(※)の上位200位内に、「ごっこ倶楽部」と「BUMPドラマ【公式】」のチャンネルがランクインしており、年代を限定せずに見ても接触率が高いと言えます。

近年、倍速視聴をする人が増えていることも話題になっていますが、倍速視聴のメリットは時間が短縮できることはもちろん、展開の速さにもあると考えられます。ショートドラマは物語がテンポよく展開されるものが多いため、そういった視聴者の心理も上手に取り込めているのかもしれません。

※データソース:i-SSPログデータ(iOSのみ) 全国男女15-69歳  トータル

4.多様な選択肢の中で重要視される「時間」

メディアの利用実態から、ちょっとしたスキマ時間でできること・見られるものが伸びていることがわかりました。この背景にはスキマ時間に見られる・行動できることはもちろん、選択する際の気軽さもあるのかもしれません。見られる動画・行動できることが増えた近年、選択のハードルが低く、気軽に始められるもの・見られるものほうが好まれるとも考えられます。自分の選択したものが気に入らなかったとしても “損した気分”は最小限に抑えられるからかもしれません。Z世代は“失敗したくない世代” とも言われますが、若年を中心に人気が上昇していることを考えると、この“ショート化”にも表れている気がします。

私自身もショートドラマを数年前から見ていますが、初めて知ったのはコロナ禍での大学時代でした。オンライン授業になったり外出が難しくなったりと、生活の楽しみが限られる中で見つけた1つの楽しみでもありました。テレビドラマは週に1回の放映がほとんどですが、ショートドラマは更新頻度が高いため、続きが気になってからすぐに見られる点や、短い時間で気軽に見られる点が魅力的だと感じます。

コンテンツが増えていく中で、「時間」が重要視されるようになってきた現代。今後も様々な面での“ショート化”が見られるかもしれません 。

また、暮らし全般にも目を向ければ、ここで紹介したようなスキマ時間を有効活用できるようなサービスにはビジネスチャンスがありそうです。以前だとスポーツジムに行くと着替えやシャワーなどを含めてそれなりの時間がかかり、その負担が退会の理由にもなっていたようです。その点、「chocoZAP(チョコザップ)」はジムと紹介しましたが、他にもエステ、ネイル、脱毛などのサービスやカラオケも短時間で利用可能です。ちょっとしたスキマ時間に身体も心もメンテナンスできる点が会員の急拡大につながっているのかもしれません。
コンテンツやサービスの“ショート化”や“スキマ時間の有効活用”にはまだまだ可能性がありそうです。

著者プロフィール

データマネジメント事業本部 コンシューマーデータマネジメント部 薮本 まみ (やぶもと まみ)プロフィール画像
データマネジメント事業本部 コンシューマーデータマネジメント部 薮本 まみ (やぶもと まみ)
2023年に大学卒業後、インテージに新卒で入社。
パネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のスマートフォンとパソコンのメディア利用調査の運用を担当。i-SSPモニターの管理・運用やデータ品質の維持に携わる。
また社内外へのi-SSPデータを使用した情報発信など、パネルデータの利活用を促す業務を担当。

2023年に大学卒業後、インテージに新卒で入社。
パネル調査「i-SSP(インテージシングルソースパネル)」のスマートフォンとパソコンのメディア利用調査の運用を担当。i-SSPモニターの管理・運用やデータ品質の維持に携わる。
また社内外へのi-SSPデータを使用した情報発信など、パネルデータの利活用を促す業務を担当。

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