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“日本的サステナブル”を考える -日本の生活者の「環境や社会に配慮した行動」とは何か?-

地球規模で温暖化が進み、持続可能な社会に向けた活動が注目される中、生活者一人一人が環境や社会に対して、どのような行動に取り組んでいくのかが重要になっています。しかし、こうした行動は人によって異なり、さらに時代に応じて変わっていきます。
そこでインテージでは自主企画調査を行い、いま生活者が考える「環境や社会に配慮した行動」とは“何か”、を生活者の言葉から明らかにしました。

「環境や社会に配慮した行動」ランキング

日本の生活者が普段行っている「環境や社会に配慮した行動」を“生活者の言葉”から把握するために、2つの調査を行いました。

まずステップ1では、20~50代にwebアンケートを実施し、「あなたが普段、生活の中で行っている、環境や社会に配慮した行動」について自由回答で尋ねました。得られた自由回答は、“節電”“食料”といった内容ごとにアフターコーディングを行って分類した上で、追加調査の選択肢を作成しました。
ステップ2では、16~69歳にwebアンケートを実施しステップ1で作成した選択肢に対して、どの程度行動しているかを聴取しました。

その結果、「使っていない電気を消す」「ごみはきちんと分別して出す」「水道を出しっぱなしにしない」「エコバッグを使用する」などの省エネ・節約行動は、9割前後の人が行っていました。※「いつも行っている」「だいたい行っている」「ときどき行っている」の合計
次いで、「近所の方に会ったら挨拶する」「差別することなく、誰とでも平等に接する」「他人が傷つく発言・投稿をしない」などの、人に配慮する行動が上位に見られました(図表1)。
これらの省エネ・節約行動や人に配慮した各行動はおよそ8割以上の人が行動しており、日本における常識として定着している行動といえそうです。

図表1

「環境や社会に配慮した行動」ランキング

生活者の言葉で把握した「環境や社会に配慮した行動」における3つの行動タイプとは

今回生活者の言葉から浮かび上がってきた「環境や社会に配慮した行動」には、どのような傾向があるのでしょうか?抽出された37個の行動について、因子分析を行ったところ、以下の3つの行動タイプに分類されました。

①地球環境に配慮した行動

「プラスチック製品を買わない」「環境問題に向き合っている会社の商品を買う」「環境に配慮したマークがついた商品を買う」「有機・低農薬野菜を買う」など、地球温暖化や土壌・海洋汚染といった地球規模の環境に配慮した行動

②省エネ・節約行動

「エコバッグを使用する」「空き缶、ペットボトル、食品トレイ、牛乳パック、古紙などはリサイクル回収に出す」「使っていない電気は消す」など、余計なゴミを出さない、エネルギーを使わない、余計な出費もしない省エネ・節約行動

③人にもモノにも優しい行動

「物は壊れるまで使う」「差別することなく、誰ともでも平等に接する」「食べ物を残さない」「簡単に捨てないで修理するか別の使い方を考える」など人との関係性を大事にしたり、モノを大切に長く使ったりする行動

過去のサステナビリティに関する自主調査(https://gallery.intage.co.jp/sustainability1/)では、“地球環境に配慮した行動”や“省エネ・節約行動”が挙げられていましたが、“人にもモノにも優しい行動”は、今回、生活者の言葉から新しく把握できた行動タイプです。
“人にもモノにも優しい行動”は、日本人が持つ“もったいない”精神や物を長く大事に使う価値観や、日常的な道徳として語られる“親切心”や“優しさ”の延長にあるのではないかと推測されます。今後、日本における「環境や社会に配慮した行動」やその意識を捉える場合、日本的な“人にもモノにも優しい行動”という価値観をベースにした分析を行うことも必要な視点かもしれません。

年代別の行動タイプの特徴

年代によって行動タイプに違いはあるのでしょうか?3つの行動タイプについて、どのくらい行っているかを年代ごとに得点(因子得点)で表し比較しました。
※因子分析の結果はこの記事の最後に記載しています。

図表2

何代別の行動タイプの特徴

10代は他世代より“地球環境に配慮した行動”と“人にもモノにも優しい行動”が高く、新しい行動タイプを実践している世代でしたが、従来からある“省エネ・節約行動”は低めでした。
20~40代は3タイプとも低め。特に、20~30代で“省エネ・節約”が低く、40代では“地球環境に配慮した行動”が低めでした。
50代は“地球環境に配慮した行動”は低くなっていますが、“省エネ・節約行動”が高くなっています。
60代は他世代より“省エネ・節約行動”が高いという結果でした。

全体的に、行動を実践しているのは、学生中心の10代と、仕事や家庭が落ち着いて時間に余裕がある50~60代であり、仕事や家庭が忙しく余裕のない20~40代は行動できていない様子が伺えました。

新しい特徴がみられる10代の行動とは

前述の通り、10代は「環境や社会に配慮した行動」の実践率が高く、その行動タイプも他の年代と明確に異なっていました。新しい行動を行うかれらの行動は、他世代でも取り入れる行動のヒントがあるかもしれません。そこで最後に、37個の具体的な行動に戻り、10代で特徴的だった“地球環境に配慮”“人にもモノにも優しい” 行動タイプにおいて、10代がどのような行動に取り組んでいるのか見ていきます。

“地球環境に配慮”行動タイプにおける10代の特徴的な行動

“地球環境に配慮”行動タイプにおいて、10代の実施率が全体と比べて10ポイント以上高かった行動は、「服や玩具など使わなくなった物を寄付する」「プラスチック製品を買わない」「ペットボトル飲料を買わずにマイボトルや水筒を持ち歩く」「電池は充電式のものを使う」「不用品を捨てずにフリマアプリやリサイクルショップで売る」でした。特に、「服や玩具など使わなくなった物を寄付する」や「不用品を捨てずにフリマアプリやリサイクルショップで売る」など物を捨てずにリユースする行動がみられました。

図表3

”地球環境に配慮”行動タイプにおける10代の特徴的な行動

“人にもモノにも優しい”行動タイプにおける10代の特徴的な行動

“人にもモノにも優しい”行動タイプにおいて、10代の実施率が全体と比較して10ポイント以上高かった行動は、「移動時に徒歩や自転車、公共交通機関を利用する」「一度くらいしか使わないものは買わずに借りる」でした。背景には、学生が多い10代では免許もなく、自由になるお金が少ない、といったこともありそうですが、前述の「使わなくなった物を寄付し、リサイクルショップに売る」という行動と共通して、“物を捨てない”行動は一貫していました。

図表4

”人にもモノにも優しい”行動タイプにおける10代の特徴的な行動

さいごに ~私たちにできること~

私たちは、10代の新しい行動から何を学ぶことができるでしょうか?10代で特徴的な行動は“地球環境に配慮”と“人にもモノにも優しい”で、海洋汚染や土壌汚染につながるプラスチックや電池などのゴミを出さない行動や、不用品を捨てるのではなく、寄付したり、フリマなどで売ったりするなど、新しいリユースの行動が垣間見えるものでした。これらの取り組みは、学生中心で自由になるお金が少ないと考えられる10代ならではの行動ともいえますが、視点を変えると、お金をかけずとも取り組めるこれらの行動は、他年代でも取り組みやすい行動ともいえそうです。
地球規模の温暖化が進む中、今回の調査結果が、従来から実践されてきた“省エネ・節約”行動からさらに一歩踏み出して、より良い環境や社会のためにどのような行動ができるのかを、私たち一人ひとりが考えるきっかけになれば幸いです。

参考 「環境や社会に配慮した行動」の因子分析結果

「環境や社会に配慮した行動」の因子分析結果

調査概要
<定量調査①:webアンケート>
調査地域:首都圏&近畿圏
対象者条件:20~59歳の男女
割付:性年代均等割り付け
本抽出方法:「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=3,860
調査実施時期:2022年12月15日(月)~12月19日(水)

<定量調査②:webアンケート>
調査地域:全国
対象者条件:16~69歳の男女
割付:性年代均等割り付け
本抽出方法:「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2022年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=1,340
調査実施時期:2022年12月26日(木)~12月28日(月)

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