arrow-leftarrow-rightarrow-smallarrow-topblankclosedownloadeventfbfilehamberger-lineicon_crownicon_lighticon_noteindex-title-newindex-title-rankingmailmessagepickupreport-bannerreportsearchtimetw

テクノロジーとマーケティングセミナー
Z世代・アルファ世代のリアル-テックネイティブな未来の消費者を紐解く-

この記事では2022年6月16日にインテージが開催したセミナー内容の一部をお届けします。

インテージでは、R&Dセンターを中心としてインテージグループ横断で世代間研究を行っています。本研究は、アルファ世代やZ世代といった若い世代と従来世代との違いについて理解を深めるために、消費行動などのライフスタイル・価値観、情報接触の関係性を明らかにすることを目的としています。このような目的に対して、正しいエビデンスの獲得を目指し、長年若者を対象としてご研究されていらっしゃる産業能率大学の小々馬先生からアドバイスをいただきながらアカデミアの見解の下、共同研究を行っています。

本セミナーでは、研究の取り組みをご紹介するとともに、小々馬先生から知見の共有を頂き、最後に若者を中心に盛り上がりを見せているeスポーツ事業に精通されているCyberZ社の大﨑様を交えて、若者とのコミュニケーションの中で重要となる考え方についてディスカッションしました。この記事では、当日のディスカッションの内容を抜粋してお伝えします。

これまでの研究レポートはこちら


パネリストプロフィール

小々馬敦
産業能率大学 経営学部教授/日経広告研究所「ESG経営と広告コミュニケーションプロジェクト」研究員
I&SBBDOでの広告実務を経て、ブランド経営のコンサルタントに従事。インターブランドジャパン エグゼクティブ・コンサルタント、電通プロフェット日本代表、フューチャーブランド代表取締役社長を歴任し、2013年より現職。国内外企業の無形資産価値経営、パーパス経営とブランディング、マーケティングの連携を支援。大学の研究室は、2019年より(公社)日本マーケティング協会との共催で、実務家と大学生が世代を超えて未来のマーケティング・メディア・広告の有り様について対話する『ミライ・マーケティング研究会- 無料公開セミナー』を主宰運営している。

大﨑 章功 
株式会社CyberZ eスポーツ事業部 ゼネラルマネージャー
2008年に株式会社サイバーエージェント新卒入社。 インターネット広告事業本部やアドテク本部など、インターネット広告事業に約10年携わる。2017年に株式会社CyberZに異動し、現在はeスポーツ事業部のゼネラルマネージャーとして、事業責任者を務める。


―若者を捉える上でのポイント

大﨑様:1人1台端末を所有し、いつでもどこでも好きなものに触れることのできる時代において、1日8~10時間のeスポーツの配信に自分の貴重な時間を費やす若者のエネルギーをいつも感じます。また、小々馬先生の講演であった若者へのマーケティングアプローチで「共感」や「共鳴」から始まって「応援」してもらうというアプローチを私も大事だと感じています。eスポーツ大会やイベントを一緒にお取り組みいただく企業様にもこの考えをご理解いただいています。最初はまずブランドを知ってもらい、さらに「ブランドを好き」になってもらうプロセスが重要だと思います。

図:値段以上の付加価値とは?「共感」「応援」「感謝」の重要性

小々馬先生:“Z世代を狙っている”や“Z世代に刺さる”ではなく、「Z世代と未来を創る」という考え方が重要だと思います。自分たちが参加できる場所、その場所で応援できる人がいることを感じられるかということが大切です。また、若者が企業を見るとき「この活動をこの企業が応援しているんだ」という見え方になると、応援マインドが生まれます。eスポーツのようにパッションがあるイベントでは、「応援している企業」であることを理解し、しっかりと企業を見ていると思います。

大澤様:先生のおっしゃる通り、配信を視聴されている方々は若い方も含め、スポンサー企業のサポートの下、大会やイベントが成立していることをご理解いただけているので、スポンサーの紹介をする際は、コメント欄上で拍手やありがとうと感謝を伝えるメッセージが多く見られます。

―「共感」や「共鳴」を生む強い力の正体

小々馬先生:やりたいことがわかっていて、それをやれている人達がそこにいることが共感・共鳴の起点だと感じます。誰を応援したいか、どういう想いを応援したいかということが自分のアイデンティティに直結するので、RAGE(CyberZ社が主催するeスポーツの一大イベント)の取り組みは、この一連のプロセスが繋がる強い吸引力のあるイベントだと思いました。

大﨑様:ストリーマー(ゲーム実況をライブ配信される方)に対する憧れも、もちろんあるのですが、ストリーマーとユーザーの距離はとても近いのだと思います。というのもストリーマーは、毎日のように配信をし、画面越しに何千何万人の方々が集まっていて、コメントに対して友達と同じような感覚で応えているので、距離がすごく近いのだと思います。

図:Z世代のアイデンティティ

―これからの若者とのコミュニケーションのヒント

小々馬先生:これだ!と断定することは、難しいですが、企業側の情報や作り手の思いなどの裏側を率直に見せられるかは、重要になると思います。ゼミの学生でも、テレビ番組の宣伝に俳優や女優が出演するよりも、ディレクターやプロデューサーの話が聞きたいということを聞きます。作り手の思いがわかることで、その番組を応援したくなるはずです。イベントの作り方も同じだと思います。

大﨑様:お客様(ユーザー)が楽しめる、行ってよかったと感じていただけるようなイベントをつくれるように意識しています。サッカー少年がプロのサッカー選手とプレイをしたことが一生の思い出になるように、例えば前回のイベントでは、ストリーマーやプロ選手たちと一緒にプレイができる環境をつくってみるなど、同じ時間を共有しながら、特別な体験を提供できるよう、パートナーの皆さまと一緒にイベントづくりを行っています。

小々馬先生:感謝の気持ちは、Z世代は強く持っているので、私たちが楽しめるのはこのスポンサーがいるからだと理解すると、スポンサーの会社をよくみますし、CMなどは見るべきだと感じるようです。応援してもらえる関係を作っていくことが大切だと思います。

―セミナーを終えて

ディスカッションの中でキーワードとなった「共感」「共鳴」「感謝」を生活者・消費者と一緒に創る、一緒に創れる場を提供することで企業やブランドを知ってもらう、好きになってもらう一助になりそうだとヒントを得ることができました。本研究で得られた結果は、若者を理解するためのヒントとしてはほんの一部ではありますが、マーケティング活動の切り口の1つとしてお役立ていただけると幸いです。今後も研究を通して、さらに理解を深め、皆様のお役に立てる情報をお届けしていきたいと思いますので、ご期待ください。

著者プロフィール

株式会社インテージ CBD本部 事業デザイン部 生活者研究センター センター長 田中 宏昌プロフィール画像
株式会社インテージ CBD本部 事業デザイン部 生活者研究センター センター長 田中 宏昌
経歴:1992年 電通リサーチ入社、94年より2012年まで電通の電通総研、消費者研究センターに駐在し、
社会および生活者トレンドの研究や生活者データベースの企画・運営およびデータ分析や広告コミュニケーション戦略立案支援に従事。2014年インテージ入社。2020年より現職。

経歴:1992年 電通リサーチ入社、94年より2012年まで電通の電通総研、消費者研究センターに駐在し、
社会および生活者トレンドの研究や生活者データベースの企画・運営およびデータ分析や広告コミュニケーション戦略立案支援に従事。2014年インテージ入社。2020年より現職。

著者プロフィール

株式会社インテージ 事業開発本部 先端技術部 小林 春佳プロフィール画像
株式会社インテージ 事業開発本部 先端技術部 小林 春佳
生体計測をメインとするマーケティングリサーチャー、コンサルタントを経て、2019年インテージ入社。先端技術部にて行動科学分野の知見を活かした研究開発や新規事業開発に従事。

生体計測をメインとするマーケティングリサーチャー、コンサルタントを経て、2019年インテージ入社。先端技術部にて行動科学分野の知見を活かした研究開発や新規事業開発に従事。

転載・引用について

◆本レポートの著作権は、株式会社インテージが保有します。
 下記の禁止事項・注意点を確認の上、転載・引用の際は出典を明記ください 。
「出典:インテージ 「知るギャラリー」●年●月●日公開記事」

◆禁止事項:
・内容の一部または全部の改変
・内容の一部または全部の販売・出版
・公序良俗に反する利用や違法行為につながる利用
・企業・商品・サービスの宣伝・販促を目的としたパネルデータ(*)の転載・引用
(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)

◆その他注意点:
・本レポートを利用することにより生じたいかなるトラブル、損失、損害等について、当社は一切の責任を負いません
・この利用ルールは、著作権法上認められている引用などの利用について、制限するものではありません

◆転載・引用についてのお問い合わせはこちら