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いよいよ広告の取引指標にも反映へ 「タイムシフト視聴」のいま

今、テレビ業界でトピックスとなっているのがテレビスポット広告の取引指標の変更です。2018年4月から民放5局の関東におけるテレビスポット広告の取引指標が世帯視聴率から個人視聴率に変更となり、CMのタイムシフト視聴(録画視聴)分も加味されるようになります。

インテージでは、この広告取引指標変更の背景にもある、「いまの生活者のタイムシフト視聴」の実態をアンケート調査とインテージが保有するMedia Gauge TVのスマートTV視聴ログで明らかにしました。

※記事内で紹介しきれなかった「タイムシフト視聴あるある」詳細データはこちらからダウンロードいただけます。

 

タイムシフト視聴をする人は全体のどのくらい?

テレビ離れともいわれる中で、「テレビ番組を録画して見ている」人はそもそもどのくらいいるのでしょうか?

1週間に録画するテレビ番組の本数を聞いた結果が図1です。約63%の人が1週間に1本程度以上はテレビ番組を録画すると答えました。週5本以上録画するという人も約32%と、全体の3分の1近くにのぼります。

図1

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週1本程度以上録画するという人の割合を年齢別に比較してみると、男女ともに10代で最も高く、20代以上では若いほどタイムシフト視聴をする人が少ないという結果でした。若年層がテレビコンテンツから離れているという傾向はここにも表れているようです。とはいえ、家族とのチャンネル権の兼ね合いなのか、10代の録画者率が高いことから、若年層にとっても録画してでも見たい魅力的なテレビコンテンツは依然存在するとも言えそうです。

図2

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Key Point1

1週間に1本程度以上テレビ番組を録画する人は約63%
10代で最も多く、若年層にとって録画してでも見たいテレビコンテンツが依然存在することがわかる

録画するのはどのような番組?

図3は関東地方の約16万台のスマートテレビの視聴ログデータを用いて、各番組が何%のテレビでリアルタイム視聴されたか、何%の録画機で録画再生されたか、を集計した結果です。

ドラマはタイムシフトで多く視聴される傾向にあり、ニュース・報道番組やスポーツといった、ライブ性に価値があるジャンルはタイムシフトで視聴する人は少ないことがわかります。一方でバラエティ番組に関してはリアルタイム視聴の多さとタイムシフトの多さは関係ないように見えます。たとえばタイムシフトでよく見られている「アメトーーク!」や「マツコの知らない世界」は家にいる人が多い時間帯に放送されています。「その時間に家にいないから録画して見る」のではなく、「見逃したくないから録画しておく」というコアなファンが多いのかもしれません。

図3

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Key Point2

録画されやすいのはドラマ。バラエティはリアルタイムでの接触率の高さに関わらずタイムシフトされやすい番組が存在。

タイムシフト視聴の時、CMはどうしている?

今は録画を見るにも様々な機能があります。
たとえば早見再生機能。音声も十分聞き取れますし、短時間で必要な情報を得られる便利な機能です。アンケート調査の結果によると、この早見再生機能を使って倍速で再生する人は録画視聴をする人のうち8.8%という結果でした。(図4)
特に週に5本以上録画するといった人の12.6%が利用しています。大量の録画消費に役立っているようです。

図4

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他にも、録画機能つきのテレビでは早送りやCMスキップ、30秒スキップなどの機能が目的に応じて使い分けられるようになっています。
スマートテレビの視聴ログデータでは、1本の番組を見るのにどのタイミングでこれらの機能が使われたのかがわかります。

例として、1月3日に放送された「君の名は。」の視聴ログデータを紹介します。この番組は、2016年に大ヒットしたアニメ映画の地上波初放送として注目を集めました。まず図5でリアルタイムでの毎分の接触率の推移を見てみました。接触率の伸びからは、徐々に「君の名は。」を見る人が増えていく様子がわかります。また、グレーの帯がCMの放送時間帯ですが、CMに入ると直前まで見ていた人のうち1~4%の人が一旦他のチャンネルに流れ、徐々に戻ってくる様子がわかります。

図5

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一方、図6はタイムシフト視聴時の毎分の再生率の推移を示したチャートです。「君の名は。」をタイムシフト視聴した人を100%として、それぞれの時間帯でどの機能を使って再生したかを見たものです。録画を見始めて途中で中断する人もいるため、時間が経過するにつれて接触率は低下していきます。このデータからは、例えばこんな行動が見えてきます。
・全時間帯にかけて2~3%の人が早見再生
・一部の人は、CM時間帯の初めの方はCMを流し、途中からスキップ

ちなみに、「君の名は。」は企業とのコラボCMを流し、事前にSNSでも盛り上がりが見られていました。番組開始後20分過ぎの1回目のCM時間帯にZ会コラボで「君の名は。」のキャラクターが出てくるCMが流れましたが、この時間帯は再生した人の約75%が飛ばさずに見ていたことがわかります。同様に、2回目のCM時間帯には「君の名は。」のストーリーのように白戸家メンバーが入れ替わるというソフトバンクコラボCMが流れましたが、この時間帯も飛ばさずに見ている人が他の時間帯に比べて多くなっていました。

図6

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同じアニメ映画で、2009年公開以降何度も地上波放送されている人気コンテンツの「サマーウォーズ」が8月18日に放映された時とCM時間帯の見方を比べてみると、「君の名は。」はCM時間帯の等速再生の割合が高くなっています (図7) 。
話題性やコンテンツとの連関性などによってもCMのスキップ行動は変わってくるようです。

図7

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最後に、アンケート調査で「テレビCMをほとんどスキップする/よくスキップする」と答えた人に、どのようなCMであればスキップせずに見るのかを自由回答で聞いた結果を集計したところ、図8のようになりました。

「好きなタレントが出ていること」を挙げる人が最も多く13.5%。その他は、「好きな商材・気になる商材」といった商品に関する要素、そして「面白さ・楽しさ」や「ストーリー性」「目新しさ・インパクト」「音楽・芸術性」といったクリエイティブに関する要素やが挙げられています。ストーリー性を求める人の中で最も多く例に出されていたのはauの三太郎シリーズでした。ストーリー性のあるシリーズについては、「新しいバージョンが出れば見る」といった回答も見られました。リアルタイム視聴時にはそれほどCM時間帯のザッピングはされていないという実態からも、リアルタイム視聴時にテレビCMに触れ、気になったシリーズは録画視聴時にも再生する、そんな行動も想定されます。

図8

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Key Point3

コラボCMが話題となった「君の名は。」はタイムシフト視聴時にもCMが比較的飛ばされずに見られていた。
普段CMをスキップするという人がスキップせずにCMを見る最大の要素は「好きなタレントが出ていること」。

一方で少数ですが、「番組と連動したコラボCMであれば見る」、「見ることでポイントがたまるキャンペーンなどで得するのであれば見る」といった意見もみられました。
最近では少しずつテレビCMのスマホ連動キャンペーンの例が出てきましたが、今後デジタル時代ならではのこの新しい価値観が浸透していくのか注目です。

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今回の分析は、弊社が保有するスマートテレビTV視聴ログデータであるMedia Gauge TVのデータ、および下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。

【Media Gauge TV】
複数のテレビメーカーから収集した、ネットに結線されたスマートテレビと録画機の視聴ログ※をクレンジングし、統一フォーマットで標準化・構造化した視聴データです。都道府県別にとどまらず、一部エリアでは市区町村別でもデータを見ることが可能です。
インテージでは現在、各放送局別(地上波・BS・CS)、各地域別(市区町村など)のテレビ視聴データを提供しています。テレビ:約52万台、録画機器:約48万台(2017年12月時点 最新の台数情報はこちら
※マーケティング利用の許諾を得て、匿名化されているもので、どのテレビ・録画機で、いつ、どんな操作がされたかがわかります。


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【自主企画調査】
調査手法 インターネット調査
調査地域:全国
対象者条件:16-59歳男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=2,152
調査実施時期:2018年1月16日(火)~2018年1月19日(金)

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