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生活者インデックスデータ

コロナ禍を経て、“旅行”はどのように変化した?
~コロナ前後の“旅のスタイル”比較分析~

世界的な流行をもたらした新型コロナウイルス感染症が、令和5年5月8日から「5類感染症」に移行したことで、徐々に元の日常に戻りつつあり、旅行する人が増えてきました。とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大前の状態に戻っているのでしょうか。また、旅のしかた、“スタイル”に変化はないのでしょうか?
この記事では、5類感染症移行後初めての夏「2023年8月」の国内旅行の実態と、新型コロナウイルス感染拡大前の「2018年8月」の国内旅行の実態を比較し、旅行がコロナ禍を経てどのように変化したのかを分析します。

1.5類化後、国内旅行はどの程度戻ったのか?

新型コロナウイルス流行前と現在では、国内旅行の実施率はどのように変化したのでしょうか。位置情報を使ったインテージのデータサービス「うご-kit」を使用し、長期休暇が取りやすい8月における、15-69歳男女の旅行実施率を見てみました。18年8月では18%、23年8月では11%と、コロナ前の水準には完全には戻っていませんでした。(図表1)

図表1

18年/23年 夏旅行の実施率

2.コロナ前と比べて旅のスタイルはどのように変化したのか

では、コロナ禍を経て旅行のスタイルに変化はあったのでしょうか。その変化を捉えるため、夏の旅行の「同行者」「利用交通手段」「旅行目的」「利用金額」それぞれについて、コロナ前後を比較してみました。

旅行における同行者

旅行の同行者は依然「家族」が多数ではあるものの、コロナ前の18年と比べると減少しており、代わりに「夫婦・カップル」「自分ひとり」など少人数での旅行形態が大きく増加していることが分かります。(図表2)

図表2

18年/23年 夏旅行の同行者

「自分ひとり」つまり“一人旅”の変化を属性別にみてみると、全体的に“一人旅”が増えている中で、男性若年層(15-39歳)及びシニア層(60-69歳)で特に増えており、旅のスタイルが変化していることが分かります。(図表3)

図表3

18年/23年 夏旅行の一人旅

旅行の交通手段

利用した交通手段を見ると「自家用車」が最も多いのは変わりませんが、その割合はコロナ後の23年夏では減少しています。一方で「新幹線」の利用率が特に増加していることが分かります。(図表4)

図表4

18年/23年 夏旅行の交通手段

「新幹線」の利用率を属性別にみると、男女ともに15-29歳の若年層の「新幹線」利用が大きく増加していることが分かります。新幹線の予約や乗車時間の変更が、WEBやアプリ上で無料でできる“スマートEX”が普及してきたことで、若年層が手軽に新幹線を使えるようになったとも考えられます。(図表5)

図表5

18年/23年 夏旅行の新幹線利用者

旅行の目的

旅行の目的は、夏旅行ということもあり、「レジャー・アクティビティ・スポーツ」が両年とも最も高いですが、23年夏では減少しています。一方で「飲食を楽しむ」目的が18年夏と比べて増加していることがわかります。コロナ禍によって外出や外食の制限が続いたことで、日々の食事に飽きが出てきた人も多いかと思います。その中で久しぶりに旅行ができるということで、特に現在は「旅行先の地域ならではの食を楽しみたい」という気持ちが高まっていることが考えられます。(図表6)

図表6

18年/23年 夏旅行の目的

旅行の金額

旅行に使った利用金額は、18年と比べて全体的に少なくなっていることが分かります(図表7)。昨今は物価高により、交通費や宿泊費などの費用が高騰していて、同じ規模の旅行を行ったとしても費用が上がるケースが多いと思います。旅行に関する費用が少なくなっているという実態からは、旅行の少人数化の影響だけでなく、旅行自体のグレードが下がっていることが想定されます。

また、女性は年代によって傾向が分かれていました。もともと旅行に多くのお金を使っていた50代以上が利用金額を特に減らしていた一方で、40代以下は利用金額を増やしていました。

図表7

18年/23年 夏旅行の金額

詳しく使いみちを見てみると、50代以上の女性は交通費やその他の費用(現地で使う食事・お土産以外の費用)を減らしており、手軽な旅行を増やしている様子がうかがえました。40代以下の女性は宿泊費を特に増やしており、宿泊費が上がる中でも宿には妥協していない様子がうかがえます(図表8)。

図表8

18年/23年 夏旅行でのお金の使いみち

3.コロナ前と比べて旅前の行動はどう変わったか?

コロナ前から比較すると、スマホを中心にインターネットのサービスの利便性は年々上がり、シニア層への浸透も進んでいます。この結果、情報収集など旅行に行く前の行動についても変化が進んでいると想定されます。そこで、「旅行の情報入手先」「旅行時の予約形態」「旅行時の予約サイト」について、コロナ前後を比較してみました。

旅行の情報入手先

旅行の情報入手先としては、インターネットでの情報検索が主流なことは変わりませんが、コロナ前の18年では10%にも満たなかった「SNS」が23年には30%を超えてきており大きく増加しています。SNSが現在では旅行の情報入手先として一般的なものになってきているため、SNSでの発信・訴求というのが旅行業界でも大事な販促先になってきます。一方で、ガイドブックなどの雑誌類は一定の需要はあるものの数値は落としており、ペーパーレス化が進んでいることがわかります。

図表9

旅行時の情報収集先

旅行時の予約形態

旅行時の予約行動をみてみると、意外にも「予約なし」で旅行をしている割合が14ポイントと大きく増加していました。“イベントや食を楽しむこと”を目的とした旅行や、“推し活”など予約をせずとも楽しめる旅行など、コロナ禍を経て以前とは「旅行」の定義やとらえ方が変化していると推察されます。
また、長いコロナ期間もあり、“人と会いたいときに会えない”、“行きたいところに行けない”ことが続いたからこそ、現在では、その反動で時間が出来たときに、突発的に予約なしでいける気軽な旅行(前述の“飲食を楽しむ”等)が増えていることが考えられます。(図表10)

図表10

旅行時の予約形態

旅行時の予約サイト

予約なしの旅行が増えてきたとはいえ、まだまだ旅行をするときに予約をする人が多いですが、実際にどのようなところで予約を行っているのでしょうか。予約先は「楽天トラベル」「じゃらん」の大手2社の利用率が大きく増加していることがわかります。また「交通機関/宿泊施設直接予約」の利用率も増加しています。コロナ禍で多くの旅行会社がメディア露出の自粛や店舗の閉鎖等によって消費者との接触機会を減らしていた中で、消費者の中でオンライン主体の大手2社が想起されやすい状態になっていたことが考えられます。
また交通機関や宿泊施設でも、昨今、独自のポイントプログラムの導入等で、旅行代理店を通さず直接予約する方も増えてきていることがうかがえます。(図表11)

図表11

旅行時の予約サイト

4.これからの旅行はどうなる?

コロナ禍を経て、2023年の夏がひさしぶりの旅行だったという人も多かったと思います。ひさしぶりに旅行をして、今後の旅行の意欲は高まったのでしょうか。夏時点で旅行をした人に次回の旅行時期を聞いてみたところ、コロナ禍以前よりも早い段階で次の旅行に行きたいと考えている方が多く、旅行の意欲が高まっていることが分かります。(図表12)
特に夏から「4-6か月以内」である、冬の時期にも旅行を楽しみたいという意欲が以前よりも高くなっていました。

図表12

次回の旅行時期

近年の物価高などの影響もあり、旅行率はコロナ前の水準には戻っていませんが、すでに旅行を再開した人の意欲は高まっており、これから本格的に旅行業界も活性化していくと思われます。
ただ、その「旅行」は少人数化が進んでいたり、予約をしないでできる行動も、一部「旅行」ととらえられるなど、旅行自体の実態には変化が起きています。
知るギャラリーでは今後も「旅行」の変化について様々な角度から調査を続けていきます。


この分析は、インテージが提供する「うご-kit」のデータの一部を用いておこないました。うご-kitは位置情報と詳細属性とアンケートを組み合わせ、行動と意識の両面から国内旅行・観光の実態を捉えることが可能な、旅行観光マーケティング支援を目的としたデータサービスです。
豊富なアンケート結果を用いて多様な切り口で実態が捉えられる他、位置情報を組み合わせて分析することで、周遊実態やエリア人口の時系列推移など、より精緻な分析も可能となります。また、分析結果を基にして有望なターゲット層に広告配信を行うことも可能です。


【調査概要】
調査方法:インターネット調査
対象者条件:全国・15-69歳男女 ※帰省/出張 目的での旅行者を除外
標本抽出パネル:「dポイントクラブ会員」のうち、dポイントクラブ特約に同意したスマートフォンユーザー
標本抽出方法:携帯電話基地局の位置情報で対象期間内の50km以上移動者を抽出
ウェイトバック:エリア×性年代構成比を、全国の国内旅行者構成比に合わせてウェイトバック集計
サンプルサイズ:<18年>n=16,662 <23年>n=7,796
実施期間:<18年>2018年9月20日(木)~25日(火)
     <23年>2023年10月13日(金)~17日(火)
旅行対象時期:<18年>2018年8月の旅行を対象 <23年>2023年8月の旅行を対象

著者プロフィール

矢口 翔太(やぐち しょうた)プロフィール画像
矢口 翔太(やぐち しょうた)
株式会社インテージ CBD本部 企画・分析4部
前職において、位置情報を活用した地方創成、観光および街開発に関連する企画・調査に約5年間従事。
多くの地方自治体の観光や街開発における調査を手掛けてきた。
現在も観光領域を中心とした、企画・調査を主に担当。

株式会社インテージ CBD本部 企画・分析4部
前職において、位置情報を活用した地方創成、観光および街開発に関連する企画・調査に約5年間従事。
多くの地方自治体の観光や街開発における調査を手掛けてきた。
現在も観光領域を中心とした、企画・調査を主に担当。

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