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今年もバレンタインが近づいてきました。バレンタインといえばチョコレート、という人が多いかと思いますが、 チョコレートの主原料であるカカオ豆の価格が昨年から急激に高騰しており、カカオショックと言われる状況になっています。この事象が、今年のバレンタインにどのように影響するのか、インテージが毎年実施している自主企画調査の結果から読み解きます。
はじめに、今年のバレンタインの予算について見ていきましょう。個人でチョコを用意する女性の平均予算は4,574円でした。昨年はポストコロナで盛り上がりが戻ってきたのか、前年比134.0%と大幅に増えましたが、今年は91.0%と2年連続の増加とはなりませんでした(図表1)。
図表1
予算が増える理由/減る理由、いずれも1位、2位は「チョコが値上がりしているから」「物価高・円安だから」でした。3位には「チョコをあげる人数の増減」が挙がっています(図表2)。今年はカカオショックや物価高の影響を強く受けるバレンタインとなりそうです。
図表2
実際にチョコレートはどのくらい値上がりしているのでしょうか。全国6,000店舗の販売実績を継続的に収集している小売店販売データSRI+®(全国小売店パネル調査)で、板チョコレートの平均個数単価の推移を確認しました。2022年のはじめには100円を下回っていた単価がゆるやかに上昇し、2024年後半でぐっと上がっています(図表3)。カカオ豆価格の高騰に影響されたかたちです。
図表3
では、生活者はこのようにチョコレートが値上がりしていることを認識しているのでしょうか。チョコレートの値上げについて「知っていた」と回答したのは女性全体の72.0%でした。今年の購買行動は値上げを意識したものになりそうです。
そこで、今年のバレンタインでチョコレートが値上がりしていた場合、自身の行動に影響があるかを聞いたところ、なんらかの影響があると回答したのは、バレンタインにチョコを用意する予定という女性の67.3%にもなりました。「価格帯が低いチョコを買う」(32.9%)、「個数を減らす」(22.3%)、「安く買える購入先で買う」(21.5%)人が多く、「自分チョコを減らす/やめる」(9.5%)、「義理チョコを減らす/やめる」「他のお菓子・スイーツを買う」(同率で7.7%)が続きました(図表4)。
図表4
個人で用意するチョコの種類を見ると、「世話チョコ」(10.4%:前年比75.9%)、「義理チョコ」(9.2%:前年比78.6%)で大きく減り(図表5)、予算の減少につながっていそうです。また、「義理チョコ」は、職場などで複数で用意するチョコでも有職女性の11.2%と対前年で2.9ポイント減少 していました。
図表5
同様に、チョコの種類別に準備する数を見ても、全体的に減少していました(図表6)。特に義理チョコの個数減少幅が目立ちます。
図表6
今回、特に減少が見られた「義理チョコ」ですが、気持ちに変化はあったのでしょうか。有職女性に職場の義理チョコへの参加について尋ねたところ、「参加したくない方だ」と答えた人は84.2%でした。この回答は過去4年、高水準で推移しており、今年はわずかですがさらに高まっています(図表7)。
図表7
値上がりに対する対処として、個数を減らすという人が多くみられたこと、そして、個数を減らす対象として義理チョコが目立ったことからも、さらに義理チョコ文化は薄れていくのかもしれません。
カカオ豆の価格高騰や物価高が続くなか迎える今年のバレンタイン。イベントの在り方がどう変わっていくのか、今後も調査を続けていきます。
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