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健康的な生活に欠かせない野菜・フルーツ うまく摂っている人はどんな人?

近年、グローバルではヴィーガンやベジタリアンの人口が増えています。野菜やフルーツは”味”が好まれて消費される食材ではありますが、”健康や美容”という側面も重視される食材であり、ヴィーガンやベジタリアン人口が増えている要因のひとつになっているものと考えられます。最近ではこのような嗜好性のトレンドを意識した商品も発売されており、野菜やフルーツに関する生活者動向は今後も注目されます。

日本の生活者は野菜やフルーツをどのように摂取しているのでしょうか。海外との違いや、摂取実態をみてみました。

日本と各国との食スタイルの違い

はじめに、健康や美容を意識した食スタイルがどの程度浸透しているのか、日本と海外とを比べてみてみましょう。
インテージグループでは、アジア、欧米の10カ国の20-59歳の女性を対象としたネットリサーチを実施し、各国の食、特に野菜やフルーツに関する意識や実態を調査しました。図表1はこの調査で、現在取り組んでいる食生活のスタイルを聞いた結果です。

図表1

ヴィーガン、ベジタリアンに加え、基本は植物性食品を中心に食べるが時には肉・魚も食べる、といった柔軟なベジタリアンスタイルを採る「フレキシタリアン」といった食スタイルも生まれてきていますが、このフレキシタリアンを加えてみても、日本は各国と比べて「植物性食品中心」といった食生活に取り組んでいる人が少ないことがわかります。

また、日本では特別な食生活を意識し、実践する人が他国と比べて少ないようです。
日本の中では取り組んでいる人が最も多い「ロカボ」も、他国と比べるとその実践率は最も少ないという結果となりました。
図表2は健康や身体に関する悩みを比較した結果です。ここで目立つのが、日本の野菜不足という自覚です。プロテイン不足も他国と比べて最も多く、「必要な栄養が取れていない」と感じている人が多いことがわかります。
図表2

実際に、野菜とフルーツ、特にフルーツを毎日食べる人は少ない様子がわかります。(図表3)
特別な食生活の取り組みは行っておらずバランスを重視している一方で、野菜が足りていないといった自覚があって問題に感じている、という日本の生活者の姿が、他国との比較から見えてきます。
図表3

日本の生活者の“野菜・フルーツの摂り方”

他国と比べると比較的野菜を摂ることが少ない日本の生活者ですが、うまく食生活に取り入れている人はどのような人で、どのような工夫をしているのでしょうか。 ここからは、日本の生活者の野菜・フルーツの摂取実態を基に生活者をタイプ分けして、生活者が野菜をうまく食生活に取り入れられるようなヒントを探りたいと思います。

タイプ分けには、以下の調査データを用いました。

調査手法:ネットリサーチ
調査対象者:25-59歳の女性、198名
調査項目:
・野菜、フルーツ、穀物、卵、肉類、魚介類など食材全般の摂取頻度
・調理頻度
・野菜、フルーツの調理方法
・よく食べる野菜を使ったメニュー
・体に良い野菜、身体に良い果物、匂いが好きな果物
・食生活の取り組みと目的(「特定の食品を控える」「ベジタリアン」「ロカボ」など)
・健康や美容の悩み

また、タイプ分けの手法としては、インテージで新しく開発した「Smart Detect(スマート・ディテクト)」というクラスター分析の手法を使いました。通常、クラスター分析は様々な項目について「当てはまる~当てはまらない」といった段階評価を聴取した意識ベースのデータを用いて行うことが多いですが、この手法では、摂取頻度・摂取する対象・摂取する方法といった「野菜やフルーツの摂取行動」に影響する行動ベースのデータや属性情報などを用い、「こういう人たちだから、こういう行動・評価をしている」という関係性を考慮した分類を行っています。

図表4はタイプ分けの結果です。

図表4

クラスター分析の結果、6つのタイプがみられました。健康・美容と自身の食生活をどこまで紐づけて考えているか、食にどの程度手間をかけるのか、さらにそのような行動のベースとなる属性の違いが、「野菜やフルーツの摂取行動」に影響していると言えそうです。

この中で、最も野菜を摂る頻度が高かったのがAのタイプです。どのような意識の持ち主なのか、どのような工夫をして野菜を摂っているのかを見てみましょう。

Aは6つのタイプの中で最も健康・美容に関与度が高く、そもそも運動や睡眠、ストレスへのケアなど生活全般に渡って健康に気を遣っている中、その一環として食事にも気をつけている人たちです。よく食べている野菜のメニューは「野菜炒め」や「ラタトゥイユ」など一度に沢山の野菜が摂れるメニュー、「パプリカとしめじのバルサミコ酢きんぴら」のように素材同士の相性を考えながら出来るだけ多くの野菜が摂れるメニューです。実際この方たちの回答では「〇〇と△△の××」というメニューが他にも多く見られました。 また専業主婦が多く、家族で食事を摂ることを大切に考えていることから、「鶏ちゃん焼き」や「パエリヤ」など大人数向けのメニューも見られています。

もう1つ、違った視点から、生活者が野菜をより多く取り入れるようになるヒントを探ってみましょう。Dは健康や美容に悩みを抱えており、食生活によってこれらの悩みを解決したいと考えている人たちです。フルタイムの方が多く、効率的・効果的に食事から栄養を摂取したいと考えています。

よく食べている野菜のメニューには「野菜炒め」「回鍋肉」など、炒めることで手軽にいろいろな野菜が摂れるメニューが挙げられています。またナスを使った料理が多く挙げられているのも特徴的です。この調査は6月に行われたのですが、おそらく店頭でナスがよく売られていたため、ナスを使った料理が多く作られたものと思われます。より多く野菜を摂取したいというこの層のニーズには、例えば「旬の野菜を使って必要な栄養を手軽に摂れる炒め料理用のソース」などの提案がマッチするのかもしれません。

全てのタイプについて、食や美容・健康に関する考え方や実態、その人たちがよく食べる野菜を使ったメニューを並べたのが図表5です。それぞれのタイプのメニュー選びの背景が、ユーザータイプの特徴と連動する形でわかりやすく見えてきます。

図表5

この記事では、野菜をうまく取り入れているタイプがどのような工夫をしているのかを紹介しましたが、食や調理に手間やお金をかけるかどうかは、タイプによって異なります。タイプに合った摂取方法がおすすめされることで、日本の生活者の野菜不足感の解消が進む手助けとなるかもしれません。

今回の記事の詳細なレポートは、インテージの海外情報サイト「Global Market Surfer」から無料でダウンロードいただけます。


今回の分析は、下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。
【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】
調査地域:日本・中国・台湾・タイ・ベトナム・インドネシア・フィリピン・インド・アメリカ・オーストラリア
対象者条件:女性25歳~59歳、収入足切り
標本抽出方法:各国提携パネルより抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=198(日本)n=216(中国)n=213(台湾)n=268(タイ)n=183(ベトナム)n=199(インドネシア)n=207(フィリピン)n=194(インド)n=202(アメリカ)n=191(オーストラリア)
※年代による分析のため年代割付あり、ウェイトバックなし 調査実施時期: 2021/6/16~2021/6/25

今回の分析ではインテージが新しく開発したクラスター分析手法「Smart Detect」を用いました。「Smart Detect」は意識項目以外の質問項目であっても、複数種類の調査データを分析に使用し、「こういう人たちだから、こういう行動・評価をしている」という関係性を考慮してクラスター分けを行うことができる手法です。この手法によって、一貫性のある生活者プロフィールが得られ、より深く鮮明に生活者を理解することが可能です。

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