20代から始まる「早期エイジングケア」~成長の鍵は“予防×継続”~

これまでエイジングケアは、シワ・たるみといった年齢悩みが顕在化してから取り組むものとして捉えられることが多かった。しかし近年、SNSやK-POPカルチャーの浸透、美容医療市場の拡大などを背景に、若年層を含む幅広い層にエイジングケアへの関心が高まりつつある。
本稿では20代後半から30代の女性を対象に、スキンケア化粧品によってエイジングケアに取り組んでいる層に焦点を当て、エイジングケアに対する意識やケア実態を紐解いていく。
1. エイジングに対する意識・行動
この度20代後半から30代の女性を対象に行った調査では、20代後半においても半数以上が加齢に伴う肌の変化を意識していることが明らかになった(図表1)。
図表1

また、加齢に伴う肌変化を意識している人のうち、エイジングケア行動として「スキンケア化粧品で行っている」と回答した人は年代を問わず過半数を超えており、スキンケア化粧品を用いたエイジングケアは今や20代後半にも浸透している様子がうかがえた(図表2)。
図表2

スキンケア化粧品によるエイジングケア行動が20代後半にも浸透しつつある状況は、商品の実購買データによっても裏付けられる。インテージのSLI®(全国女性消費者パネル調査)をみると、25-29歳のエイジングケア商品購入金額は30代に比べ規模は少ないながらも直近3年間で連続増加し、66億円(2023年5月~2024年4月)から78億円(2025年5月~2026年4月)へと拡大した。伸び率においては30代を上回っている。(図表3)。
図表3

そこで本稿では、20代後半から30代の女性のうち、スキンケア化粧品によってエイジングケアに取り組んでいる層に焦点を当て、エイジングケアに対する意識やケア実態を紐解いていく。中でも特に20代後半の特徴に着目することにより、早期エイジングケア市場のニーズ理解の一助としたい。
2. エイジングケアの開始時期ときっかけ
まず、エイジングケアの開始時期についてみてみよう。図表4が示すように、現時点でスキンケア化粧品でエイジングケアを行っている20代後半~30代女性は、早期にエイジングケアを開始している。特に、20代前半までに開始した人は、35-39歳では2割弱、30-34歳では3割弱であるのに対して、25-29歳では6割と多く10代で開始した人も2割みられる。
このことから、エイジングケアの開始時期は近年低年齢化しており、加齢による肌悩みが深刻化する前から予防的にケアに取り組むことは、今や20代以下の層でも大きな関心事となっている様子が読み取れる。こうした姿勢の背景には、Z世代に特徴的なリスクを先回りして回避しようとする意識や、タイパ・コスパを重視する価値観も影響しているように思われる。
図表4

では、どのようなことがきっかけとなってエイジングケアを始めているのだろうか。
図表5をみると、25-29歳は「若いうちからケアした方がよいと思ったから」が52%と他の年代と比べて特に高く、エイジングケア意識の若年層への浸透がここからもうかがえる。また、「同年代の身近な人が取り組んでいるのを知ったから」「若いうちからエイジングケアしている芸能人の影響を受けたから」も他の年代より高いことから、加齢による肌の変化が生じていなくても、周囲の人の影響がきっかけになりやすい特徴がみえてくる。さらに、「若いうちからエイジングケアをしているインフルエンサーの影響を受けたから」のスコアも高く、インフルエンサーによる情報発信が若年層の意識形成や行動喚起に影響を与えていることがうかがえる。
それに対して、30-34歳は「毛穴の目立ちが気になるようになったから」、35-39歳では「シミ・そばかすが気になり始めたから」などが高く、加齢による肌の変化を実際に感じたことがケアの開始につながったケースが多いようだ。
図表5

3. エイジングケアの使用アイテムと予算
エイジングケアにはどのようなアイテムが使用されているのだろうか。
図表6をみると、各年代に共通して「ローション/化粧水」「美容液/エッセンス」が上位に上がり、これらは日常の基本的なスキンケアアイテムの一部であると同時に、エイジングケアとしての役割も担う重要な位置づけで捉えられていることが推察される。
また、25-29歳は「顔用日やけ止め・顔用UVケア」が4割と他の年代より高く、エイジングケアの手段としてUV対策を特に重視している点が興味深い (図表6)。「紫外線=老化」という概念がZ世代に浸透している可能性がある。
図表6

こうしたエイジングケアアイテムに投じる金額についてもみてみよう。
図表7はエイジングケア目的で購入するアイテムの年代ごとの平均金額を表したものである。各年代で使用率が高い「ローション/化粧水」「美容液/エッセンス」「ミルク/乳液」「クレンジング/メーク落とし」のうち、25-29歳は「美容液/エッセンス」を除く3アイテムで30代を上回る金額を支出していることがわかる。同年代で特徴的に使用率が高い「顔用日やけ止め・顔用UVケア」や、「シートマスク」に関しても平均金額が4,000円台と比較的高めで30代以上との差も顕著である。
なお、使用アイテムの平均個数に目を転じると25-29歳は4.5個と多く(図表8)、同年代のエイジングケアに対する意欲の高さは支出や使用アイテム数の面からも裏付けられる結果となっている。
図表7

図表8

4. エイジングケアアイテムに対するニーズ
化粧品によってエイジングケアに取り組む20代後半から30代の女性は、エイジングケアアイテムにどのようなことを期待しているのだろうか。ここでは同年代が将来不安に思う顔の肌悩みや、アイテム購入時の重視点、使用後の満足点を手掛かりにしながら、エイジングケアアイテムに求めているものを紐解いてみたい。
はじめに将来不安に思う顔の肌悩みをみると、年代を問わず「毛穴」「シミ」が上位に上がる(図表9)。一方、エイジングケアを通じて目指したい肌状態・見た目の印象については「毛穴が目立たず、なめらかな肌状態」が共通して1位となっている(図表10)。このことから、年齢を重ねても毛穴の目立たない肌でいることは年代を問わず大きな理想とされていることがうかがえる。
また、25-29歳、30-34歳は将来の不安として「肌の乾燥」も6割近くに上る。25-29歳ではUV対策率も高いことから、紫外線による乾燥を特に気にしていることも背景にあるだろう。「肌が潤って明るい印象」は同年代の目指したい肌状態・見た目の印象としても上位であり、“保湿”へのニーズが高いことも推測される。
図表9

図表10

では、こうした理想の肌状態を背景に、実際にエイジングケアアイテムを選択する際にはどのような点が重視されているのだろうか(図表11)。
各年代に共通して「毎日無理なく使い続けられること」「使用感がよいこと」「コスパがよいこと」「肌への刺激が少なく、安心して使えること」が上位に上がる。一方、「エイジングケアに有効成分の配合量が多いこと」は相対的に低めの位置づけとなっていることもわかる。
このことから、エイジングケアは、短期間で効果を求めるものというより、気長にじっくり取り組むものとして認識されている可能性がある。
図表11

エイジングケアによって満足した点に目を向けると「肌の状態が安定したこと」「ストレスなく、使い続けたこと」などが年代を問わず上位であり、ここからもエイジングケアに取り組む姿勢として“継続性”が重視されている様子がうかがえる。
一方「肌の乾燥が改善されたこと」も満足点の上位に上がる点からは、“保湿すること” “UV対策”が エイジングケアの重要な対策の一つとして捉えられている可能性もみえてきた。(図表12)
図表12

5. さいごに
これまでエイジングケアは、「シワ・たるみなどの年齢悩みが気になり始めてから行うもの」というイメージが強かった。しかし今回の調査結果から、エイジングケアの開始時期は低年齢化する傾向があり、今や20代後半も「若いうちからケアした方がよい」という予防意識のもと、積極的に投資を行いながら日常的なケアに取り組んでいる様子が確認された。
また、年代を問わず、年を重ねても“毛穴の目立たない肌”、“潤いのある肌”でいることを理想としながらも、エイジングケアは短期で効果が現れるものではなく、気長にじっくり取り組むべきものと捉えている様子もみられた。
今後も“予防的に日常ケアへ取り組む”価値観の広がりを背景に、早期エイジングケア市場のさらなる成長が期待されるのではないだろうか。企業としては、こうした若年層の価値観変化を捉えた商品・コミュニケーションが、今後より重要になっていくと考えられる。
【調査概要】
調査方法:インテージ・マイティモニターに対するWeb調査
調査地域:日本全国
対象者条件:25~39歳・女性
標本サイズ:
-スクリーニング調査:n=10,413(国勢調査から算出した年齢別人口構成比に倣うようウエイトバック集計)
-本調査:25-29歳:221s / 30-34歳:226s / 35-39歳:236s
調査実施時期:2026年4月30日(木)~2026年5月7日(木)
関連サービス
【SLI®(全国女性消費者パネル調査)】
全国の15~79歳の女性約4万人の消費者から継続的に化粧品やヘアケア用品、下着などといった美と健康に関連した買い物情報を収集し、蓄積したデータベースです。「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
※バーコードがない商品に関して仮コードをセットすることで、ネットや通信販売系の商品も集計可能です。 ※SLIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません
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