
人の流れは、そのエリアの特性を映し出します。
このシリーズでは、特定のエリアの人の流れを、データで見ていきます。
今月は関内(横浜市中区)に注目します。
横浜駅周辺やみなとみらい地区の開発に比べるとやや印象が薄いですが、旧横浜市庁舎や横浜スタジアム、横浜文化体育館などを中核とした古くからの繁華街でも再開発計画が進行中です。
コロナ前と比べて、まちの顔はどのように変わってきているのでしょうか。
横浜開港時に設けられた関所の内側を指す「関内」という地名をもつこのエリアは、1964年にJR根岸線の関内駅が設置されて以来、横浜の商業・文化の中心地となってきました。 JR京浜東北線・東急東横線で東京駅・渋谷駅まで約30分、また横浜駅からは相鉄線や横浜市営地下鉄(ブルーライン)も利用できるため、神奈川県内各方面からの交通アクセスも良好です。 関内駅には旧横浜市庁舎や横浜スタジアムが隣接しており”野球と役所のまち”として発展してきたほか、中華街や赤レンガ倉庫などの観光スポットにも近いことも魅力の一つです。 市庁舎がみなとみらい地区に移転したことであらためてまちづくりのコンセプトプランを策定、「国際的な産学連携」と「観光・集客」の2本を柱とした再開発に着手しています。 2026年春には、旧市庁舎跡地に関内駅直結の大型複合施設として「BASEGATE横浜関内」がグランドオープンする予定です。 横浜市の繁華街、関内駅前で大型再開発プロジェクト。2029年度完成目標。 JR「関内」駅前に「横浜市旧市庁舎街区活用事業」 着工(三井不動産) |
2024年10月の平休日・14時台の滞在者数を、コロナ前の2019年10月と比較してみました。平日では-3%と微減ですが、休日では7%程度の増加となっています。
時間帯推移をみると、平日は通勤・通学時間帯の朝9時台から夕方17時台まで5万人以上が滞在、ビジネスエリアとしての顔を見せています。休日は午前中から午後にかけて緩やかに増加し、14時台にいったん落ち着きますが、17-18時台にさらに人出が増えるのが特徴的です。10月はプロ野球シーズンの終盤で、5年前よりも週末のDNAのゲーム数が多かったことも影響していると思われます。
ピークタイムである14時台での性年代構成をみてみると、平休日ともに5年前よりも全体的に女性の割合がやや高くなっていることと、男女ともに10代の人数が増加しているのが目を引きます。
平日では男性・30-40代の構成比がそれぞれー2%弱の微減となっており、他のビジネス街と同様に在宅勤務の定着の影響を伺わせます。
休日では男女ともに10-20代・50代の構成比が微増となっており、この傾向は17-18時台でも同様となっています。
同じく14時台で居住地別の構成比を比較してみます。
平日は地元である中区の構成比が18%、県外からの流入が16%で、滞在者の3分の2は県内からの流入となっています。休日は中区居住者の割合が25%とやや増加、県外からの流入者も24%に増えています。
市区町村レベルでブレイクダウンしてみると、平休日とも上位10市町の顔ぶれ自体はほぼ同じで、横浜市内各区が上位を占めていますが、平日では大和市・藤沢市や川崎市中原区などからの通勤・通学が5年前より増加しているのに対して、休日では金沢区・磯子区など横浜市南部エリアや都内の世田谷区・大田区などからの流入者数の増加が顕著となっています。
野球と役所のまちとして横浜の発展に貢献してきた関内エリアですが、横浜駅やみなとみらい地区の都市開発が進みYOKOHAMA全体が変貌する中で、「国際的な産学連携」と「観光・集客」を軸に再活性化を図っている最中です。
コロナ前と比較しても女性や若年層の集客力が若干ながらアップしてますので、もう少し詳細なプロファイリングは必要ですが、来街目的にも変化の兆しが見えているのかもしれません。
来春の大型施設のオープンを機に関内駅周辺がどのように変わっていくのか、今後も注目してきたいと思います。
データについて:
【モバイル空間統計®・国内人口分布統計(リアルタイム版)】
※モバイル空間統計®は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
ドコモの携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報です。
集団の人数のみをあらわす人口統計情報であるため、お客様個人を特定することはできません。
インテージは「モバイル空間統計」の1次販売店です。
モバイル空間統計・人口マップ https://mobakumap.jp/
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