【毎月更新】生活者のお金の使い方

この記事では、生活者のいまを映す最新データをお届けします。物価高や円安など、消費を取り巻く環境が変化する中、生活者のお金の使い方はどのように変化しているのでしょうか。物価動向、日常の買い物行動、消費マインドの最新データから読み解きます。
2025年4月のコメント:
3月は寒暖差の大きい日が続きましたが、下旬にかけては徐々に春らしい陽気が感じられるようになってきました。4月に入り、全国各地で桜が見頃を迎え、新生活や新年度のスタートに向けて街にも活気が咲きつつあります。進学・就職・異動などによる環境の変化に伴い、生活者の消費行動にも動きが見られる時期です。
今月もデータを振り返っていきましょう。
《物価の動き》
物価の上昇率は3月初旬に一時上昇が見られたものの、トレンドとしては2025年1月以降の落ち着きを継続しています。
物価変動の要因としては、前月に続き、既存商品の中からより安価なものへ購買をスイッチする動きが見られ、生活者の工夫が感じられます(代替効果・継続商品がマイナス)
《買い物金額・買い物回数》
買い物金額は、チャネル計で103%となっており、これは物価上昇の影響が大きいと考えられます。チャネル別に見てもすべてのチャネルで前年比からアップしていました。
買い物回数も金額と同様、すべてのチャネルで増加しており、3月~4月にかけては大手通販サイトを中心に新生活応援セールが実施されていたことから、新生活に向けた購入行動が活発化している様子が見受けられます。
《市場動向・好調カテゴリ》
消費財市場の動向を見ると、3月は多くのカテゴリで市場が拡大し、例年と同様の傾向が見られました。
中でも飲料カテゴリの伸長が目立っており、気温の上昇による購入増や、お花見需要の影響が考えられます。
好調カテゴリとしては、今月も米の価格上昇に伴う購入金額増加が顕著です。
備蓄米が放出されたとはいえ、価格への影響は見られず、前年比で購入金額の上昇が続いています。
そのほか、「目薬」や「鼻炎治療剤」のランクインからは、花粉症シーズンの到来が感じられます。今年は昨年よりも花粉が飛散していたという報道もあり、その影響か対策商品も前年比で上昇していました。
また、飲料ジャンルでは、新商品で活性化しているノンアルコール飲料も含まれる「炭酸飲料」や、「ビール」「その他酒類」が、お花見シーズンと4月からの酒類の値上げ前の駆け込み需要と重なり、上位にランクインしています。
「ココア」は、2024年末にも好調だった「麦芽飲料」の出荷停止を受けた、代替需要による上昇が考えられます。麦芽飲料は以前から健康目的で支持されていましたが、飲料ジャンル1位の「トマトジュース」や食品ジャンルの「蜂蜜」などとあわせて、多少コストがかかっても、日常の食生活で手軽かつ堅実に健康を意識する生活者の姿が伺えます。
《消費意欲、お金をかけたいモノ・コト》
現在の節約意識は、先月からほぼ横ばいの1.79(先月差+0.01pt)となっており、今年1月以降、緩やかな上昇が続いています。
一方で、消費意欲は減少傾向が続いており、生活者のお財布のヒモがより堅く締まっている状況が感じられます。
お金をかけたいモノ・コトについても、3月の減少傾向を引き継いでいるジャンルが多く、物価上昇に伴う消費意欲の低下がアンケートの数値にも表れています。
一方で、健康・美容ジャンルの上昇からは新生活への期待感が、また投資ジャンルの上昇からは金融への関心がうかがえます。
5月の大型連休を控え、レジャーや外出の計画が動き始める時期ですが、全体としては出費に対する慎重さが引き続き見られます。
その一方で、健康面を意識した支出や、身近な楽しみにお金をかけるなど、生活者の中での“使いどころ”の選別がより明確になってきている印象もあります。
今後も、生活者のお金に対する意識や行動の変化を、データを通じて丁寧に捉えていきましょう。
※次回のデータ・コメントの更新は5月を予定しています。
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データについて
【SRI一橋大学消費者物価指数】
一橋大学経済研究所経済社会リスク研究機構、全国スーパーマーケット協会と株式会社インテージとの共同プロジェクト「流通・消費・経済指標開発プロジェクト」の一環として作成している経済指標です。インテージのSRI+のデータを用いて消費財の物価の変動とその構造変化を可視化します。
物価の構造変化を「新旧商品入れ替え効果:新商品による影響」「価格変化効果:既存品の値上げ・値下げによる影響」「代替効果:既存品の中で消費者が購入商品をスイッチしたことによる影響」に分解することで、要因を捉えることができます。
こちらの記事でもご紹介していますので、合わせてご覧ください。昨今の値上げで物価はどう動いている?マクロ視点で構造をひも解く
【SCI®(全国消費者パネル調査)】
全国15歳~79歳の男女53,600人の消費者から継続的に収集している日々の買い物データです。食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買状況を知ることができます。
SCI Shopper Indexデータは、このSCIで収集している消費財購入時のレシート情報を基に、日常の買い物金額や買い物頻度などを集計したものです。
※SCIでは、統計的な処理を行っており、調査モニター個人を特定できる情報は一切公開しておりません
【SRI+®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2021年6月現在
【月次調査】
調査地域:全国
対象者条件:15-79 歳の男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
標本サイズ:n=3,000(1回あたり)
調査実施時期: 2022 年7月~ 各月第1週
※消費意欲、節約意識は1年前の同時期と比べた度合いを-5~+5の11段階で聴取
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(*パネルデータ:「SRI+」「SCI」「SLI」「キッチンダイアリー」「Car-kit」「MAT-kit」「Media Gauge」「i-SSP」など)
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