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人流データでみるエリア特性~鎌倉編

人の流れは、そのエリアの特性を映し出します。
このシリーズでは、特定のエリアの人の流れを、データで見ていきます。

今月は「鎌倉」に注目します。
日本を代表する観光地ですが、コロナ前と比べて、人の流れはどのように変わってきているのでしょうか。

トピックス:
三方を山に囲まれ、一方が海に面した風光明媚な鎌倉は、江戸時代にはすでに観光地として人気を集めていました。
東京からは約1時間、横浜からは約30分ほどの位置にあり、神奈川県内はもちろん首都圏でも屈指の観光エリアです。
住民台帳人口による5年前からの人口増減は、総数ではー0.4%と微減ですが、生産年齢人口では1.5%とむしろ増加しています。
ただし年少人口はー7.4%となっています。

鎌倉市観光協会 https://www.trip-kamakura.com/

今回は、鎌倉駅周辺の人流について、2024年10月とコロナ前・2019年10月の2時点、1時間別のデータを
モバイル空間統計から抽出、比較してみた結果を紹介します。

2024年10月の平休日・14時台の滞在者数を、コロナ前の2019年10月と比較すると、 平日で-6%、休日で15%程度の増減率となっています。

コロナ前後での滞在者数の比較 鎌倉駅周辺・14時台

時間帯推移をみると、 平日では日中10-17時台で全体的に滞在人口が減少しているのに対して、 休日では13-14時台をピークに日中を通じてコロナ前よりも増加しており、 観光客がかなり流入している様子が見てとれます。 ただ、平休日ともに19時には人の流れが落ち着いているようです。

滞在者数の時間帯推移 鎌倉駅周辺

次に、日中14時台滞在者の性年代構成をコロナ前と比較してみると、 平日では男性30-40代・60代、女性では40代・60代以上の減少が大きくなっています。 休日では男女ともに20代の増加が著しく、ついで50代・30代の順に増加傾向となっています。 鎌倉は、若年層が昼間にサクッと遊びにいく場所、になってきているのでしょうか。

性年代構成比 平日
性年代構成比 休日

次に、滞在者の居住地分布を鎌倉市内・神奈川県内・県外の3区分での構成比で見てみます。 グラフは2024年10月時点の平休日・14時台での居住地区分構成比ですが、 平日は市内居住者の比率がコロナ前の2019年よりも3%弱増えて42%、 休日は逆に県内・県外からの流入が少しずつ増加して、ほぼ3等分に近い比率となっていました。

来訪者の居住地分布 鎌倉駅周辺・14時台

市区町村単位での流入元ランキングをみてみると 滞在者数での上位10自治体の顔ぶれは平休日とも変わらず、いずれも鎌倉近隣の自治体となっています。 コロナ前の2019年からの増減数をみてみると、 平日上位の茅ヶ崎市・大和市に代わって、休日では藤沢市や戸塚区、 逗子市、平塚市などJR東海道本線・横須賀線沿線区域の市区町村が上位を占めています。

また、休日の県外からの流入者数については、世田谷区・大田区・品川区 など東京都居住者が半数近くを占めていますが、東海・近畿や信越など中距離圏 からの増分も大きくなっていました。

来訪者の居住地分布(詳細)鎌倉駅周辺・14時台

鎌倉高校前駅近くの江ノ島電鉄の踏切近くは、アニメのいわゆる”聖地巡礼”スポットとしても有名ですが、 京都や富士山などとともにオーバーツーリズム(観光公害)の代表例として取りざたされることも多く、 観光スポットや交通機関の混雑緩和は地元自治体や管轄省庁にとって喫緊の課題となっています。

2024年10月に地元のニュースサイトに掲載された記事によると、 鎌倉市では10-12月の期間に、観光地での交通の渋滞緩和と訪問者の快適な旅行を目的とした広告キャンペーン 「一歩先行く鎌倉旅、今日は電車で正解でした♪」を、観光庁の助成で展開していました。
湘南人 https://shonanjin.com/news/kamakura-ikuse-kamakura-train-campaign/

さらに、2025年1月31日の日経MJ・ローカルニュースでは、「鎌倉・江ノ島観光、左回りで」と題して、 市内観光客の動線をこれまでの右回り(鎌倉→江ノ島)から左回り(藤沢・江ノ島→鎌倉)のルートに誘導する ことで、観光スポットや交通機関の過度な混雑を緩和する取り組みが紹介されています。
日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC162580W4A211C2000000/

こうしたオーバーツーリズムの実態把握、および施策の効果を計測するうえでは、国内人口の動きだけでなく 訪日外国人観光客の動向も合わせて見ていく必要があります。 モバイル空間統計では、国内人口と同様にドコモ基地局で受信した携帯端末信号のうち、ローミング情報から 取得した海外キャリアのIDに基づいて、国・地域別の集計が可能となっています。

このデータをドコモ・インサイトマーケティングが提供するwebサービス「人口マップ(https://mobakumap.jp/)」でみると、 2024年10月の鎌倉駅~鶴岡八幡宮周辺・約1㎞四方のエリアに、1日当たり平均で約6万人前後の訪日観光客が来ていたことがわかります。 つづいて観光客数が多いのは、大仏のある長谷地区、江ノ島地区の順となっています。
国別の内訳としては中国が最多で28%、ついで台湾、タイ、香港、韓国などアジア勢が上位を占めますが、アメリカ・フランス・ ドイツ・スペインなどの欧米各国からの来訪も多くみられます。 上述したような観光客向けのキャンペーン・経路誘導施策が奏功したのかどうかについては、また別の機会にご紹介できればと思います。

2024年10月の鎌倉エリア 訪日観光客

データについて:
モバイル空間統計®・国内人口分布統計(リアルタイム版)】
※モバイル空間統計®は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
ドコモの携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報です。
集団の人数のみをあらわす人口統計情報であるため、お客様個人を特定することはできません。
インテージは「モバイル空間統計」の1次販売店です。

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