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人流データでみるエリア特性~浅草編

人の流れは、そのエリアの特性を映し出します。
このシリーズでは、特定のエリアの人の流れを、データで見ていきます。
今月は「浅草」に注目して、観光スポットでの人流動向をコロナ前と比較しながら見ていきます。

5月半ばには三社祭が開かれ、3日間で例年約180万人が訪れる浅草。
浅草寺と仲見世通り・雷門を中心に、日本最古の遊園地である花やしきや近隣には東京スカイツリーなどの観光資源を抱え、国内だけでなく訪日観光客にも安定した人気を誇る、日本を代表する観光地のひとつです。
地下鉄銀座線・浅草線と東武伊勢崎線(スカイツリーライン)のほかつくばエクスプレスが乗り入れるなど、交通アクセスの要衝でもあります。
浅草がある台東区の住民台帳人口による5年前からの人口増減は、総数で6.6%、生産年齢人口では11.1%の増加となっています。
今回は、浅草駅周辺・約1㎞四方の人流動向について、2024年10月とコロナ前・2019年10月の2時点、1時間別のデータをモバイル空間統計から抽出、比較してみた結果を紹介します。

2024年10月の平休日・14時台の滞在者数をコロナ前の2019年10月と比較すると、
平日で-6%、休日で8%程度の増減率となっています。

コロナ前後での滞在者数 平休日・14時台

時間帯推移をみると、平日では日中10-17時台で全体的に滞在人口が減少しているのに対して、休日では13-14時台をピークに日中を通じてコロナ前よりも増加しており、観光客がかなり流入している様子が見てとれます。
ただ、平休日ともに19時には人の流れが落ち着いているようです。

滞在者数の時間帯推移

次に、日中14時台の滞在者の性年代構成をみると、平日では男性30-40代・60代、女性では40代・60代以上の減少が大きくなっています。
休日では男女ともに20代の増加が著しく、ついで50代・30代の順に増加傾向となっています。
いわゆるファミリー層よりも、若年層や熟年層がより多く集まる街、という印象です。

性年代構成比 平日
性年代構成比 休日

次に、滞在者の居住地分布を台東区内・東京都内・県外の3区分での構成比で見てみます。
グラフは2024年10月時点の平休日・14時台での居住地区分構成比ですが、平日は市内居住者の比率がコロナ前の2019年よりも3%弱増えて34%、休日は逆に県外からの流入がわずかながら増加しているものの、ほぼ3等分に近い比率は大きく変わっていないことがわります。

市区町村単位での流入元ランキングをみてみると滞在者数での上位8位までの顔ぶれは平休日とも同じ近隣都市ですが、平日の9・10位が越谷市・市川市など近郊のベッドタウンなのに対して、休日は世田谷区・大田区といった都内南西部の自治体が入ってきています。

コロナ前の2019年からの増減数をみてみると、平日上位に千葉・埼玉方面の中距離圏の都市が並ぶのに対して、休日では東京都内や松戸市・船橋市など比較的近距離の自治体からの流入が増えています。

また、休日の県外からの流入者数については、首都圏以外に大阪・兵庫や北海道・宮城・静岡・愛知・広島・福岡など、全国各地からの移動者がコロナ前より30%前後増加しており、あらためて浅草の人気の高さが確認できました。

来訪者の居住地分布 平休日・14時台
来訪者の居住地分布(詳細)

モバイル空間統計では、国内人口と同様にドコモ基地局で受信した携帯端末信号のうち、ローミング情報から取得した海外キャリアのIDに基づいて、国・地域別の集計が可能となっています。

ドコモ・インサイトマーケティングが提供するwebサービス「人口マップ(https://mobakumap.jp/)」でみると、2024年10月の浅草周辺・約1㎞四方のエリアに、1ケ月間で約60万人を越える訪日観光客が来ていたことがわかります。
国別の内訳としては中国が最多で16%、ついでUSA、台湾、韓国、オーストラリアの順になっています。
他の観光地と同様にアジア勢が上位を占めていますが、フランス・イギリス・カナダ・ドイツなどの欧米各国からの来訪も3割程度あり、さまざまな国・地域からの観光客を集めているのが特徴です。
また、浅草を訪れる外国人観光客の9割近くが、羽田空港か成田空港で入国・出国していることもわかります。

浅草周辺の訪日観光客(国・地域)
浅草周辺の訪日観光客(入国空港・海港)

以上、東京の下町を代表する浅草エリアの人口動態を、モバイル空間統計でみてきました。
他の多くの観光スポットと同様に、休日の集客力の高さをあらためて確認できましたが、その主体はやはり若年層と子離れ期を迎えた熟年層、そして海外各地からの観光客といえそうです。
高度成長期以降の新宿・渋谷・池袋の発展により繁華街としての地位は相対的に低下したものの、上野・浅草副都心の一画として、いまも下町情緒を残す観光の中心地であることに変わりはないようです。

データについて:
モバイル空間統計®・国内人口分布統計(リアルタイム版)
※モバイル空間統計®は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
ドコモの携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報です。
集団の人数のみをあらわす人口統計情報であるため、お客様個人を特定することはできません。
インテージは「モバイル空間統計」の1次販売店です。

モバイル空間統計・人口マップ https://mobakumap.jp/

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