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クルマの新規購入者から選ばれるには~Car-kitから見る自動車市場②

【クルマ新規購入者】獲得の重要性

日本の自動車市場においては、新車価格の上昇に伴う買い渋りやクルマの性能の向上によって、車の買い替えサイクルが長期化しています。日本自動車工業会の調査(※1)によると、現在保有する車(新車)の保有予定期間は、2005年には「7年超」が5割程度でしたが、2011年には6割、2021年には7割と、ここ15年程度で大きく増加しています。このような中で、新しい顧客の獲得は、より重要な課題となっています。

以前、知るギャラリーの記事「人生で最初に購入するクルマの価値は?~LTVの測定から考える1台目購入の重要さ~」でお伝えした通り、クルマの購入者の3割以上が、1台目を購入したメーカーから、生涯で3台以上の車を購入しています。つまり、1回でも自社商品を買ってもらうことの価値は大きく、そこでロイヤルティを獲得することができれば次の購入も期待できます。

インテージが保有する自動車パネルデータ「Car-kit」の2023年11月データで確認しても、買い替えで購入した車を保有している人のうち 、6割近くが買い替え前と同じメーカーのクルマを購入しているという結果でした。

車保有者のメーカー継続率(%)

そこで、この記事では、初めてクルマ(新車/中古車)を購入した人のデータから、クルマを初めて購入する人が何を基準にクルマを選ぶのか、その特徴を分析し、かれらを取り込む上でのポイントを探ってみたいと思います。

クルマ新規購入者の「クルマの選び方」

まず、現在自分のクルマを保有していない人の車種選びについて見てみましょう。半年以内の購入を予定している人に対して、購入したい車種を聞いたところ、約4割が「特にない/現時点では決まっていない」の回答でした。

購入予定車種の決定率

初めてクルマを購入する新規購入者は、特定の車種をイメージしている人が少なく、どの車種でも検討してもらえる余地があると言えるでしょう。

では、実際に初めてクルマを購入した人はどのように車種を選んだのでしょうか。
はじめに、新規購入者の購入時の前提条件を買い替え購入者と比べてみました。「メーカー」を挙げる人は28%と、買い替えの人と比較して10ポイント程度低くなっています。新規購入者は車種を決めていないだけでなく、メーカーへのこだわりも低いようです。

購入時の前提条件(%)

また、購入車を気に入った点としては、「スタイルや外観」、「車両価格」、「内装デザイン」といった項目が上位に挙げられます。性能や装備といった項目は、新規購入者にはわかりづらく、見た目や値段といった瞬時にわかる部分で判断しているのでしょう。

購入者を気に入った点(%)

メーカーのブランディングが重要と言われる昨今ですが、新規購入者の獲得においては、車種の見た目や価格でのわかりやすいアピールが効果的なのではないでしょうか。続いて、クルマ新規購入者へのアプローチ方法について探っていきましょう。

クルマ新規購入者へのアプローチ

新規購入者がクルマを購入した理由としては、「転勤・通学や転居で車が必要になった」「家族が増えた」が多くなっています。
生活環境やライフステージの変化によって、必要に駆られて購入しているようです。クルマ新規購入者の獲得には、自身の転勤や子供の入学などの重なる春先のシーズンのプロモーションが重要になります。

クルマを購入した理由(%)

プロモーションの媒体としては何が有効なのでしょうか。購入きっかけの情報源を見てみると、「メーカー公式以外のSNS」の回答が多くなっています。
InstagramやYouTubeをはじめ、自動車メーカーやディーラーのインフルエンサーマーケティングが増えてきています。クルマ初心者(クルマを初めて購入しようとしている人)はそういった情報から、他の購入者の口コミを確認しているのではないでしょうか。

購入きっかけの情報源(%)

まとめ

今回は、Car-kitデータからクルマの新規購入者の特徴を確認しました。
クルマの新規購入者は車種やメーカーへのこだわりはまだ強くありません。PR次第で各メーカー等しくチャンスがある土壌だと言えます。
年が明け、来年の生活の見通しが立ってくるシーズンです。4月の就職・入学で生活が変わる時期には必要に駆られて車を新たに購入する人も多くなります。
新規購入者に向けて、様々な情報手段を使ってクルマの見た目や価格をわかりやすくアピールすることが重要になりそうです。ディーラー接点のない消費者への直接的なアプローチは難しいですが、様々な媒体を駆使すれば1台目の購入に結び付けられるのではないでしょうか。


※1 一般社団法人 日本自動車工業会 乗用車市場動向調査


Car-kit®(自動車パネル)
株式会社インテージが毎月約70万人から前月の自動車情報を取得しているシンジケートデータです。現有車や次期意向などを聴取する市場動向把握調査と、契約者に対して購入理由や購入時の重視点などを聴取する契約者調査の2部構成で実施しています。
※Cat-kitは株式会社インテージの登録商標です。

著者プロフィール

重岡伶奈プロフィール画像
重岡伶奈
2021年に大阪大学卒業後、インテージ入社。大学では行動経済学を専攻。
入社後は主に自動車業界の調査を担当している。

2021年に大阪大学卒業後、インテージ入社。大学では行動経済学を専攻。
入社後は主に自動車業界の調査を担当している。

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