バレンタインと大違い!?ホワイトデーは、いつ・どこで・なにを買う?
先月、バレンタインのチョコレートはいつ買う? デイリーデータに見る需要の山という記事でバレンタインデーに向けたチョコレート売場の盛り上がりをお伝えしました。では、バレンタインのお返しをする日とされている3月14日のホワイトデーに向けては、どのような動きが見られるのでしょうか。
この記事では、全国約6,000店舗より収集しているスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアといった小売店の販売データ、SRI+®(全国小売店パネル調査)のデイリーデータ※百貨店は含まれません を用いて、当日に向けた売上の盛り上がりを追いました。
ホワイトデーで盛り上がるのはどのカテゴリー?
バレンタインと言えば「チョコレート」が定番ですが、ホワイトデーのお返しは「チョコレート」「キャンディ」「マシュマロ」「クッキー」などバリエーションがあり、これが定番、というのは決まっていない印象です。実際、ホワイトデーに向けて盛り上がるのはどの売場なのでしょうか。
図表1は、SRI+で見た2023年の日別の「チョコレート」「キャンディ」「ビスケット&クラッカー(クッキー含む)」の販売金額です。
図表1
バレンタインデーを含む2月からの2か月で見てみると、まず、2月14日のバレンタインデーにかけてチョコレートの売上水準が高く、バレンタインデーを過ぎると急激に落ち着くことがわかります。そして、3月14日のホワイトデーも数日前から売上水準が高まる様子が確認できます。
改めて、バレンタインの盛り上がりの後に絞ってこのデータを見てみましょう(図表2)。
図表2
チョコレートは直前の週末の3月11日から当日の14日に向けて売上が伸びていることがわかりますが、キャンディやビスケット&クラッカーの売上推移にはそれほど明確な動きが見られません。少なくともスーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストアといった普段使いのお店で買うホワイトデーのお返し、という意味では、定番はチョコレートということのようです。
ホワイトデー向け商品の盛り上がりタイミング
ここからは、ホワイトデーに向けて特に動きが見られたチョコレートのタイプに注目してデータを見てみましょう。今回は「催事チョコ」と「バラエティミックス」を取り上げます。「催事チョコ」はその名の通り、ホワイトデーなどのイベントに向けて作られている商品です。また、「バラエティミックス」は、主にいろいろなフレーバーのチョコレートが楽しめるアソートタイプのチョコレートで、個包装で配りやすいものが多くなっています。
図表3はそれぞれのタイプについて、ホワイトデー前後の一日当たりの平均売上金額を100とした時の、各日の売上水準を比較した結果です。
図表3
チョコレート全体では3月14日にピークが見られたとはいえ水準は126にとどまっていますが、催事チョコは前日や前々日の日曜には売上水準が300越えと、この期間に集中して購入されている様子が見て取れます。バラエティミックスも同様の動きが見られました。
このデータをチャネル別に見てみましょう。バレンタインデーの時は同じ催事チョコでもスーパーが前日ピーク、コンビニエンスストアが当日ピークとチャネルによる買われ方の違いが見られたのですが、ホワイトデーではどうでしょうか(図表4)。※コンビニエンスストアにおけるバラエティミックスの売上は小さいため、割愛。
図表4
まず、催事チョコの動きをチャネル間で比べてみると、バレンタインデーの時と同様、コンビニエンスストアのピークが当日となっていました。とはいえ、バレンタインデーにこの数値が561と大きく跳ねていたことを考えると、当日に駆け込むということは比較的少ないようです。
一方、スーパーはピークが前日だけでなくその前日の日曜から続いていました。平日は仕事で選べない分、直前の休日に買うという人が一定いるようです。
また、スーパーのバラエティミックスの動きを見てみると、こちらは催事チョコと異なり前日がピークでした。この違いは何によるものなのでしょうか?
催事チョコの売れ筋には百貨店にも置いてあるようなブランドのチョコレートが多く見られます。この時期、スーパーのサービスカウンターの近くに特別感を持って並べられている様な商品です。価格帯別に販売個数を見ると600円台が特に売れており、1000円台の商品も多く売れていました。
バラエティミックスは通常の棚に並んでいるものが多く、比較的カジュアルな商品となっています。価格帯では300円台の商品の個数構成比が6割以上を占めていました。
このため、「特別感のあるものを時間のある時に選ぶ」「カジュアルに楽しめるものをサッと選ぶ」といった違いが出ているのかもしれません。
日別データに見る意外な動き
最後に、今回データを見ていて興味深い動きがあったのでご紹介します。図表2でも見たホワイトデー前後の売上推移ですが、2月28日の火曜にピンポイントでチョコレートの売上が伸びている様子が見られます(図表5)。平日というのにホワイトデー直前の週末に匹敵する売上です。
図表5
実はこの日は、コンビニエンスストアで指定のチョコレート商品を買うととあるグッズがもらえるという、推し活層に刺さるキャンペーンの開始日でした。実際、コンビニエンスストアのチョコレート売上に限ってみると、ホワイトデー当日の売上よりもこの日の売上が高いという結果も見られています。また、この日は対象商品以外のチョコレートも売上の伸びが確認されており、推し活消費の勢いが感じられる結果となりました。
ここまで、バレンタインデー、ホワイトデーと2回にわたってデイリーデータで売上推移を見てきました。日別の動きをデータで見ることで、吟味しての購入や駆け込み購入、推し活消費といった様々な生活者の消費行動がリアルに見えてきます。1年に様々にある消費イベント。前後のデータを日別に見ることで、新しい消費行動が見えてくるかもしれません。
【SRI+®(全国小売店パネル調査)】
国内小売店パネルNo.1※1 のサンプル設計数とチェーンカバレッジを誇る、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約6,000店舗より継続的に、日々の販売情報を収集している小売店販売データです。
※SRI+では、統計的な処理を行っており、調査モニター店舗を特定できる情報は一切公開しておりません
※1 2024年3月現在
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