今年のクリスマスは何を食べる?~クリスマスの食卓登場メニュートレンド~
2017年流行語大賞にもなった“インスタ映え”。昨今、SNS上は食に関するインパクトのある写真投稿であふれ、そうした投稿がきっかけとなり数々の食トレンドが生まれる状況となっています。今年のクリスマスはいつもとは少し違う、おしゃれで可愛い、そして美味しそうな料理を食卓に並べ、スマートフォン片手に撮影し、投稿して楽しもうなどと考えている方も多いのではないでしょうか。インテージは、1年365日を通じて食卓データを収集している「キッチンダイアリー®」から、クリスマス期間中に食卓に並ぶメニューを抜粋し、クリスマスメニューのトレンドや東西の地域差など、実態を探りました。
クリスマスのメニュー、上位にランクインしたのは?
クリスマスには、クリスマスらしい料理を、家族や友人、恋人などと一緒に楽しみたいもの。では、実際にクリスマスイブの夜、生活者のみなさんの家庭の食卓には、どのようなメニューが並んでいるのでしょうか。昨年のクリスマスイブ当日の食卓登場メニューのランキングを見てみました。なお、今回のランキングは「TI値(Table Indexの略。1000食卓当たりのメニューの出現数)」という指標に基づいて作成しています。
すると、全体ではクリスマスの食卓に欠かせない「生ケーキ」が断トツの1位。続いて、定番料理として知られる「ローストチキン」と「フライドチキン」がそれぞれ僅差で2位、3位にランクインしました。4位以降には、「シャンパン・スパークリングワイン」「炭酸飲料」「ワイン(赤)」といった食卓を彩る飲み物とともに、「ピザ」もランクインしています。
地域別に比較してみると、「生ケーキ」は関東、関西ともに1位ですが、関東では2位に「フライドチキン」、3位に「ローストチキン」の順で続いているのに対し、関西では2位に「ローストチキン」が入り、「フライドチキン」が4位と順位が入れ替わる結果になりました。また関東では、8位に「フライドポテト」(関西では20位)、10位に「にぎり寿司」(関西では30位)がランクインしているのに対し、関西では3位に「ポテトサラダ」(関東では9位)、6位に「コーンスープ・コーンポタージュ」(19位)が入るなど、地域差が見られました。
関東で10位にランクインした「にぎり寿司」。一般的に、古くから続く年中行事において、食卓に並ぶ料理は、その土地、その家庭の風習などが親から子へ継承されやすいと言われています。「にぎり寿司」の発祥は江戸であるのに対し、関西エリアでは「押し寿司」「巻き寿司」が古くからの伝統でした。こうした歴史が、今も好みや習慣の違いとなって食生活に表れているのか、興味深い結果です。
次に、2014~2016年のクリスマスイブを対象に、食卓に上がったメニューの登場率の変化を比較し、最近のトレンドを探ってみました。
登場率が増えたメニューを見てみると、「パエリア」「にぎり寿司」「チーズ」「チューハイ」が2年連続で上昇し、特に「パエリア」は、2014年から2015年で2倍、さらに2016年も2倍に増え、2016年時点においても食卓登場率は「ローストチキン」「フライドチキン」といった定番メニューに比べると1/5程度ながらも、クリスマスのメニューとして徐々に人気が高まっていることがわかりました。スペインを代表する料理で世界的にも人気のあるパエリアは、色鮮やかでカラフルな具材で作られ見た目にも華やかで、インスタ映えも抜群です。今年の流行語大賞にもなった「インスタ映え」。ここ最近は、フォトジェニックであるかどうかということが、物事を決定する上で重要な判断基準の一つとなっており、SNS上には目を惹く写真が賑わっています。中でも、盛り付け次第でオシャレにも見せることができる“食”は題材として人気。レシピサイトなどでも、“クリスマス×パエリア”の情報が多く見られるようになっています。インスタ映えする「パエリア」が上位に上がってきたのは、そんな昨今の風潮を反映した結果といえるのかもしれません。
一方で、登場率が減ったメニューを見てみると、「クリームシチュー」「おでん」などはここ3年では前年比80%程度となっています。
Key Point 1
クリスマス料理の定番、トップ3は「ケーキ」「ローストチキン」「フライドチキン」。関東では10位に「にぎり寿司」、関西では3位に「ポテトサラダ」など、定番メニューに地域差。“インスタ映え”抜群の「パエリア」がクリスマスの食卓で人気上昇中。
クリスマスメニューが食卓に並ぶのはいつ?
ところでみなさんは、クリスマスの特別な食事は“いつ”食べるのでしょうか。できることならクリスマスイブやクリスマスの当日に家族そろって食卓を囲んで楽しみたいと思いながらも、平日と重なってしまう年もあり、なかなか難しいのも現実ではないでしょうか。その実態を、2014~2016年のデータで振り返ってみました。
直近の2016年はクリスマスイブ、クリスマスが土日だったこともあり、クリスマスの食卓はクリスマスイブの24日(土)に集中しました。また、クリスマスイブがピークだったものの、23日(木)の天皇誕生日にフライングしてクリスマスを楽しんだ人も一定数いたようです(「ケーキ」の食卓登場率ベースでは、23日(金)にクリスマスを楽しんだ人は24日(土)の1/4程度)。
2015年と2014年は、クリスマスイブ、クリスマスがいずれも平日だったため、2016年に比べると、前日のお休みに前倒してクリスマスを楽しむ家庭が多かったことがわかります。また2014年には、ごく一部ですが、さらに前倒して前週末の日曜日に「ケーキ」や「チキン」が食卓に並んだ家庭もあったようです。
また、同居子どもの有無という家族形態の違いからこの傾向を見てみると、「同居子どもあり」の家庭はクリスマスイブに集中し、「同居子どもなし」の家庭はクリスマスイブの前日や翌日に分散する傾向があることも明らかになりました。「サンタがやって来る必要のある家庭」では、「クリスマスイブの当日に一連のイベントをやってあげたい」という親心がうかがえます。一方、同居している子どもがいない家庭では、イブ当日にこだわらず、都合に合わせてディナーを楽しんでいるようです。
Key Point 2
クリスマスメニューを食べるタイミングはその年のカレンダーに左右され、クリスマスイブが平日にあたる年は前倒しで休日にクリスマスを楽しむ人も多い。「同居子どもあり」の家庭は、「同居子どもなし」の家庭に比べて、クリスマスディナーがイブに集中。
2017年、クリスマスの食卓は?
今年はクリスマスイブが日曜日、また景気が回復傾向との指標も報じられていることから、例年以上の盛り上がりが予想されます。では、実際にみなさんはいつ、どのタイミングでクリスマスメニューを食べる予定なのでしょうか。全国の男女2,208人に、今年のクリスマス期間に「特別な食事」をする予定を聞いてみました。
すると、全体では、例年通り24日(日)の「クリスマスイブ当日の夕食」が43.0%。次いで25日(月)の「クリスマス当日の夕食」(19.0%)と「23日(土)の夕食」(18.7%)が並ぶ結果になりました。一方で、全体で約4割の人が「特別な食事はしない」と回答しています。
家族構成からその数字を詳しく見てみると、「クリスマスイブ当日の夕食」と回答した人の割合は既婚子あり層で約6割と高くなっています。一方で、未婚層では53.2%と半数以上の人が「特別な食事はしない」予定であることがわかりました。
ではみなさん、「クリスマスイブ当日の夕食」は“誰と”“どこで”食べるのでしょうか。前項で、今年のクリスマスイブの夕食に特別な食事を予定していると回答した人を対象に、一緒に食べる相手と、食べる場所を聞いてみました。
全体では、「家族と自宅で食べる」が62.1%と突出して高く、次いで「家族と外食する」が16.4%と、イブの食事は自宅はが多数のようです。こちらもライフステージ別に見てみると、既婚子なし層では「家族と外食する」が32.1%で他層に比べて高くなっています。
最後に、クリスマスの食に関する意識を聞いてみたところ、全体では「ふだんよりも豪華な料理を食べたい」(60.7%)、「クリスマス定番の料理を食べたい」(51.7%)が高く、いずれも半数以上の人が自分自身の考え方にあてはまるものとして選択しました。一方で、「ふだんより手間をかけて料理をしたい」は11.5%と低く、豪華なもの、クリスマスの定番を食べたいけれど、できるだけ手間はかけたくない、というのがクリスマスの食卓への想いのようです。また、「一緒にいる人と楽しめる料理を食べたい」は、未婚層で27.4%に対して既婚層では4割強と高く、料理そのものに加えて、「家族とともにクリスマスを楽しむ」というシーンも重要であることがわかります。
Key Point 3
2017年、今年のクリスマスディナーは、「24日(日)に予定」が4割。一方で、4割が「クリスマス期間中に特別な食事はしない」と回答。
“インスタ映え”が流行語大賞となった2017年、SNSには色とりどりのクリスマスメニューがアップされ賑やかになることは間違いなさそうです。期間中に、SNSをのぞいてみたら「パエリア」以外の新たな食トレンド誕生も発見できるかもしれません。クリスマスのメニューがまだ決まっていないという人は、今回の調査結果も参考にしてみてはいかがでしょうか。
今回の分析は、弊社独自に保有するキッチンダイアリーのデータ、および下記の設計で実施したインテージの自主企画調査結果をもとに行いました。
【キッチンダイアリー®】
京浜、京阪神、東海地区1,260世帯のパネルモニターによる食卓実態動向のトラッキングサービス。毎日の食卓で食材がどのように調理され、どんな家族に、どんなメニューで食べられているのかについてのデータ収集を継続的に行ない、京浜、京阪神、東海地区での食卓実態動向を明らかにしている。
【自主企画調査】
調査手法 インターネット調査
調査地域:全国
対象者条件:16-59歳男女
標本抽出方法:弊社「マイティモニター®」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:n=2,208
調査実施時期:2017年11月10日(金)~2017年11月15日(水)
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