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【中国】上海・成都 育児をするパパの生活実態

この記事では、2022年9月13日に開催されたオンラインセミナー「バーチャルツアーで解説!~広がる男性の家事育児と新たな市場機会」の第2部の内容を抜粋してお届けします。
第1部はこちら

セミナーでは日本と中国の男性の家事育児実態について、インテージがご提供する消費者データベース「Consumer Life Panorama」を用いて解説しました。第2部では中国に焦点を当て、沿岸部の一級都市である上海と、内陸部の新興都市の成都の男性の家事育児実態を掘り下げました。

女性の労働参加率が高い中国

中国では仕事をする女性も多く、共働きが主流です。下図は各主要国の女性の労働参加率で、中国が世界的にも高い水準にあることが分かります。特に、日本と比べて25歳から50歳までの数字が高く、その一因として、中国では女性は結婚や出産しても仕事を続ける女性が多いことが考えられます。

図表1

女性の労働参加率

また、中国では2021年から、少子化対策の一環として、各省の政府が育児する夫婦を対象に、育児休暇に関する政策が打ち出され、普及しつつあります。しかしながら、上海の場合、夫婦それぞれ毎年5日間、成都の場合は10日間となっており、日本と比べるとまだまだ短い印象です。

Consumer Life Panoramaから見た中国パパの家事育児参加率

2022年8月に、Consumer Life Panoramaに登録されている中国の上海、成都、ハルビン3都市、6歳以下の子供のいる28世帯の共働き世帯のママにアンケートを実施しました。女性も男性も5~10日と育児休暇が短いため、その影響は、パパの家事、育児参加度合いにも反映されています。パパママの家事育児平均時間を確認したところ、家事は普段パパとママで分担しているが、育児はパパが1日平均1.8時間でママより少なくなっています

図表2

ママが評価する共働き世帯の家事育児の時間

また、家事育児にかける時間だけでなく、パパとママが担当する家事育児の内容も異なります。家事では、パパが主に「食材の買い出し」「料理を作る」「食器洗いや片付け」など、食事関連の家事を行う一方で、ママは日用品の買い出しや洗濯関連の家事を主に行います。上海と成都の男性は料理が得意とよく言われていますが、このアンケートデータ(図表3・4)も同様の傾向を示しています。育児に関しても、子どもの食事関連をパパが担当する傾向があり、それ以外に、入浴や遊び関連もパパがやっています。パパが担当する家事育児に対する満足度をママたちに聞いたところ、過半数が満足していると回答していました。(図表5)

図表3

共働き世帯の各家事をしている割合

図表4

共働き世帯の各育児をしている割合

図表5

ママが評価するパパの家事育児への満足度(共働き世帯)

バーチャルホームツアー

ウェビナーでは、家事育児に積極的なパパがいる世帯を上海と成都1世帯ずつ選出して、Consumer Life Panoramaを用いてバーチャルホームツアー形式で説明しました。 上海のAさんも成都のBさんも妻と子供の3人家族で、所得も比較的に高い家庭です。Aさんは金融業界の営業職なので、普段は忙しく、その結果、家事は全体の3割程度、育児は全体の5割程度を担っています。一方で、成都のBさんは妻の仕事が忙しいので、家事も育児もBさんが8割負担しています。

バーチャルホームツアーでは、部屋のレイアウトに見る育児の価値観、朝の支度、子どものシャワーをピックアップして説明しました。

まずは部屋のレイアウトです。
中国では、夫婦2人とも忙しい場合、赤ちゃんを親に世話してもらうために、親が同居することや、親の近くに家を買うことがよくあります。ただ、Aさんの家には親の部屋がありません。Bさんの家には両親の部屋がありますが今は使われていません。
この2世帯の共通点は両親に孫の面倒をみてもらうと過保護にしてしまうという考えを持っており、忙しくても自分たちで子供を育てることにこだわっているということでした。Bさんの場合は、もともと親と同居していたのに、子どもが生まれてからは親が別居になったそうです。
このように、部屋のつくりから育児に関する価値観が見えてきます。

図表6

AさんとBさんの部屋のレイアウト

朝の子供の身支度は、AさんもBさんも担当しています。 Aさんは職場が遠く、毎日早く出ないといけないため、朝ごはんは職場が近い妻が用意しています。一方で、成都のBさんは妻のほうが忙しいので、朝の粉ミルク作り、子どもの身支度と朝ごはんの準備は全部Bさんが担当しています。

図表7

AさんとBさんの洗面台

また、子供のシャワーに関しては、Aさんの家庭でもBさんの家庭でも、パパが担当しています。両家庭ともシャンプーは 子供用のものを大人用のものとは別に用意しています。例えば、Aさんの場合、大人用は一般的に市販されているものですが 、子どもには肌に優しい天然成分や栄養成分が入っている国産ブランドのシャンプーとボディーソープ兼用型を使うことがパパママのこだわりです。
ちなみに、中国のバスルームは構造上、普遍的に掃除の課題を抱えています。、収入の多い上海のAさんの家庭ではバスルームはガラスのドアがあり、シャワースペースをトイレと洗面台のスペースに分けていますが、Bさんの場合はスペースも限りがあるためシャワーカーテンで仕切っています。 ただ、成都は盆地なので一年中湿度が高く、そのため、バスルームがジメジメして、掃除が大変という悩みを抱えている世帯も一定数存在しています。

図表8

AさんとBさんのシャワースペース

家電製品

次に、使用している家電の写真とメーカーをConsumer Life Panoramaで見てみました(図表9)。
Aさんの家庭では2人とも平日忙しいので、ロボット掃除機など生活を便利にする家電を持っています。また、特定のこだわり商品を除き、品質的に信頼できるという理由で基本は海外ブランドを使っています。
一方、Aさんと対照的に、成都のBさんは基礎的な家電は一通りそろっているが、生活利便性向上の家電はそれほど持っていません。Bさんの仕事に余裕があることが一因かもしれません。また、Aさんと比べて収入の差があることもあり、ブランドは主にコストパフォーマンスの高い国産ブランドを使っています。

図表9

Aさん(上)とBさん(下)の持っている家電一覧

中国家庭の一般的な掃除工程は日本より複雑なため、家事の中でも負担がかかるタスクとして認識されています。そのため、掃除を楽にする家電製品を買い求めるニーズが存在しています。しかしながら、今までの掃除機やロボット掃除機、床拭き機といった作業工程ごとに自動化するものでは、そのニーズには対応しきれておらず、最近、中国では、そういったニーズ解消のために、掃除と床拭きの2工程をまとめた新製品も現れています

まとめ

中国では、共働きが主流のため、男性と女性両方とも育児と家事に参加する割合が相対的に高くなっています。また、紹介したAさんとBさんのように、中国の家事・育児分担は必ずしも女性が多めではなく、二人の仕事内容、職場の距離などによって決めている家庭がある程度存在していることが分かりました。

また、共働きのため、時には2人とも忙しくて家事が負担と感じることもあり、家事を手軽にするニーズは中国にも存在 しています。その悩みを理解したうえで、いかにして商品開発するかがメーカーにとって重要になってくるでしょう。


Consumer Life Panoramaとは・・・
インテージが提供する、海外消費者の居住空間、デジタルライフ、モビリティライフを始めとする消費者のリアルな生活実態の理解を深めるためのウェブサイト型データベースです。
住環境、一日の生活の流れ、デジタルライフなどが閲覧でき、海外消費者の実際のリアルな行動を読み取ることで、様々なターゲットに合ったマーケティングや商品開発にいかしていただけます。
詳細・デモサイト >> http://consumer-life-panorama.com/demo/

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