DXのはじめ方~小さなDXによる生産性向上から大きなDXへ~
エクセルVS BIツール
いきなりですが下記のグラフは芳香剤カテゴリーの市場規模推移(実績・予測)を示したものです。グラフの画像(エクセルによって作成したもの)とBIツール(今回はTableauを使用)によるダッシュボード、どちらが見やすいでしょうか?どちらが使いやすいでしょうか?
おそらく多くの方は「BIツールのほうが見やすい」と感じるのではないでしょうか?フィルターを用いて任意の期間・指標に着目することも容易にできます。異なるカテゴリーのグラフに切り替えることも容易です。
画像
BIツール(Tableau)
エクセルの場合、グラフ上で表示するカテゴリーの切り替え(芳香剤⇔健康食品)や粒度の切り替え(カテゴリー⇔サブカテゴリー)を行う為には手間がかかります。特に作成したグラフが多い場合は、目当てのグラフを探すのも一苦労です。どのエクセルファイルにあるのかわからなくなり探したことがある、という方も多いのではないでしょうか? また、上記のようにグラフの情報量が多い場合、「市場規模が大きい上位N個のサブカテゴリーに着目する」という見方も簡単にはできません。
BIツールによるダッシュボードの場合は、カテゴリーの切り替え(芳香剤⇔健康食品)や粒度の切り替え(カテゴリー⇔サブカテゴリー)が1クリックで済みます。大量のグラフを作成した場合はこのメリットは大きいです。そして「市場規模が大きい上位N個のサブカテゴリーに着目する」ということも容易です。
「BIツールってDXじゃなくない?」と思われる方も多いかもしれませんが、このようなツールの活用こそDXの第一歩となります。
DX推進を任された!ところで DXって・・・?
DX、IT化、デジタル化が叫ばれる昨今、上司から「DX推進担当を任された(けど、何をすれば良いかわからない)」という方は多いのではないでしょうか?「何をすれば良いのかわからない」「課題はたくさん聞くが、どう対応すれば良いのかわからない」「実績創出だけ求められて困っている」などの悩み・課題を抱えているDX推進担当者は数多くいらっしゃいます。
そこでまずはDXという言葉の歴史を振り返ってみます。DXという言葉が初めて登場したのは2004年のUmeå UniversityのErik Stolterman教授の論文“INFROMATION TECHNOLOGY AND THE GOOD LIFE”と言われています。
同論文ではDigital Transformationは“The digital transformation can be understood as the changes that the digital technology causes or influences in all aspects of human life”と説明されています。
日本語に訳すとすると「デジタル・トランスフォーメーションとは、デジタル技術が人々の生活のあらゆる側面に影響を与え、変化をもたらすこと」といった具合でしょうか。2004年から18年経った2022年の今、ビジネス文脈でのDXの解釈を考えますと「デジタル技術の進歩による変化を、ちゃんとビジネス上も活かそう!」という解釈がDXの第一歩になると考えています。(執筆者私見)
この視点に立つと、従来のようにエクセルで数表を作成しデータ可視化&共有をするのではなく、Tableau等のBIツールを用いてデータ可視化&共有することも、「小さなDX」「DXの第一歩」だと言えます。
小さなDXから大きなDX へ
では、どのようにすればDXの第一歩を踏み出せるのでしょうか?強力なトップダウンによってヒト・モノ・カネが準備されていれば、手探りながらも歩き出せるかもしれません。しかし『「DXを推進してくれ」「AIでなにかするんだ!」という抽象的な目標だけ与えられ、ヒト・モノ・カネはない』というご担当者も多いのではないでしょうか?そのような状況ではまず「小さなDX」から始めることをおすすめ致します。
小さなDXは「エクセルで視覚化していたものを、BIツールを用いて行う」などです。 これだけ聞くと単なる「ツールの置き換え」に聞こえるかもしれませんが、可視化に10時間かかっていたところが1時間で済むようになると、業務時間の短縮や本来注力すべき戦略立案へのシフトなどの効果が期待されます。さらにデータ収集~可視化を自動化することで更なる効率化が見込めます 。そして、この段階まで来ると「他のデータ・システムとの連携」や「AIによる予測」など機能の拡張(大きなDX)も視野に入ってきます。
このようにはじめはツールの置き換えに思えるかもしれませんが、小さなDXこそ大きなDXへの第一歩となります。そして、ヒト・モノ・カネがない状態では、まずは小さなDXから着手して社内に実績を示し、徐々にヒト・モノ・カネを集め大きなDXに繋げていく、このアプローチがDXを実現する上で非常に重要です。小さなDXを行うことでデータやノウハウが蓄積され、大きなDXへの下準備にもなります。
小さなDXの見つけ方
「小さなDX」と言われても、自分ごと化して考えると難しいという方もいらっしゃるかと思います。そのような場合「効果が大きそうな課題探し(売上が大きい部署での課題抽出、多くの人が行っているルーチンワーク、紙ベースで行われている業務探しなど)」から行うのはいかがでしょうか?それをすることで「効果が大きそうな課題リスト」が作成されます。そのリストの中から着手する小さなDXを選択します。例えば「関係部署が少なく、部門間調整に労力が掛らなそうな課題」「コスト規模が予算に合う課題」などです。
さいごに
インテージでは小さなDX・大きなDXの支援も行っております。まずは事例を聞いてみたい等でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
参考文献
・HAKUHODO I-STUDIO「デジタルトランスフォーメーションの定義と進めかた」
https://dmc.i-studio.co.jp/dx/what_is_dx/
・DIGITAL Transformation Lab.「デジタルトランスフォーメーション(DX)とは? 〜提唱者の定義を振り返る〜」
https://www.dxlab.jp/press/2021/10/8/dx-
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