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在宅勤務が家庭のエネルギー消費に与えた影響とは?

新型コロナウイルス感染拡大の影響で一気に進んだ在宅勤務。特に、緊急事態宣言下にあった4月から5月にかけては、都市部を中心に多くの人が在宅勤務を経験しました。緊急事態宣言解除以降も、第2波が到来するなど感染状況が落ち着かない中、各企業は在宅勤務と職場勤務を併用し、新しい日常に即した働き方を模索しています。

在宅勤務の課題のひとつとして挙げられるのが、家庭でのエネルギー消費が増えることによる家計の負担増です。この記事では、インテージの消費者パネルSCI®のモニターを対象に毎月の光熱費や電気・ガス使用量を聴取している「エネルギーパネル付帯調査」のデータを用いて、緊急事態宣言下のエネルギー消費実態を明らかにし、生活者への影響について振り返ります。

在宅勤務の影響で、エネルギー消費量はどれだけ増えた?

はじめに在宅勤務の影響で、家庭のエネルギー消費量がどれだけ増えたかをみてみましょう。
1月時点と比べて4月下旬時点で在宅勤務がどれだけ増えたのか、その変化を基に世帯を以下の様に分類し、2,3,4月の家庭内エネルギー消費量(電気・ガス計)を比べたのが図表1です。

・週0→5日以上:家族の在宅勤務日数が週0日から週5日以上に増加した世帯
(「在宅勤務なし」から「完全在宅勤務」への移行)
・週1~4日増:家族の在宅勤務日数が週1~4日増えた世帯
・日数変化なし:在宅勤務環境に変化のなかった世帯

図表1energy_01.png

エネルギー消費量は住んでいる家のタイプや家族人数によって異なるため、別々に見てみました。
一般的に、2月は暖房によるエネルギー消費量が多く、3月、4月と暖かくになるにつれて減っていきます。
戸建住宅の二人以上世帯だと、家族の在宅勤務日数の変化に寄らず、ほぼ同様に減少しており、エネルギー消費量は在宅勤務の影響を受けていないと言えそうです。

一方、集合住宅の単身世帯においては、在宅勤務日数の変化がエネルギー消費量に大きく影響していることがわかります。在宅勤務日数に変化がなかった世帯では対2月で13%減っているのに対し、完全在宅に切り替わった「0→5日以上増」の世帯では4%しか減っていませんでした。
各企業で在宅勤務手当など、手当の見直しが進んでいますが、特に集合住宅の単身世帯における在宅勤務者の負担は大きいようです。

在宅勤務の影響で、家での調理はどのくらい増えた?

在宅時間が増えることによるエネルギー消費の増加。家で調理する機会が増えることもその要因と考えられます。図表2は平日の昼に家で調理する食数が1月中旬と比べてどれだけ増えたのかを、在宅勤務日数の変化別に比べてみたものです。

図表2energy_02.png

調理食数は、一定の期間に何人分を何回調理したか、を表しています。在宅勤務日数が増加した世帯では、平日昼の調理食数の増加が顕著に見られました。特に、完全在宅に切り替わった「0→5日以上増」の世帯では、4月中旬時点で「調理食数が1月の1.5倍以上」となった世帯が半数以上を占める結果となりました。エネルギー消費だけでなく、家事負担が増している様子が見てとれます。

在宅勤務経験を経て、省エネ意識は高まった?

前述の通り、在宅勤務の増加によって家庭のエネルギー消費量は増加しましたが、生活者の感覚としてはどうだったのでしょうか?
図表3は今年4月中旬以降の光熱費に対して、どのように感じたかを聞いた結果です。

図表3energy_03.png

在宅勤務の有無にかかわらず、土日も巣ごもりで過ごすことが多い時期だったため、全体的に「例年と比べて光熱費が高くなった」と感じた人は多かったのですが、特に在宅勤務日数が増えた世帯で光熱費が高くなったと感じた人が多かったことがわかります。

在宅勤務など、在宅時間の増加によって増えたエネルギー消費。省エネに対する意識は高まったのでしょうか?在宅勤務日数の変化別に、省エネ意識を比較した結果が図表4です。

図表4energy_04.png

在宅勤務の増加で光熱費が上がったことを実感したためか、省エネに「とても気を遣う」ようになった人が若干いる一方で、逆に気を遣わなくなった人も見られました。
在宅時間が増えたことで、せめて家の中では快適に暮らしたいといった気持ちが表われているのかもしれません。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在宅時間の増加だけでなく、今年の夏のような猛暑も家庭のエネルギー消費に大きな影響を与えます。2019年5月から開始したエネルギーパネル。知るGalleryでは、今後も、光熱費の前年からの変化や、コロナ禍で家庭内エネルギー消費量の増えた世帯の特徴などを分析していきます。


今回の分析は、株式会社住環境計画研究所との共同研究として、インテージSCIモニターを対象としたエネルギーパネル付帯調査のデータを用いて行いました。調査概要は以下の通りです。

調査方法インテージSCIモニターを対象としたエネルギーパネル付帯調査
※㈱インテージでは、全国の15~79歳の男女52,500人の消費者から、継続的に日々の買い物情報を収集しており(SCI)、全国52,500人に2019年5月以降、毎月の電気およびガス(都市ガス・LPガス)の使用量・料金を定期的に調査している(エネルギーパネル)。
調査対象エネルギーパネルの登録者の中で、以下の条件に該当するサンプルを調査対象とした。
1)以下の地域に居住する世帯
関東地方(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)
中部地方(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)
近畿地方(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)
2)居住専用の住宅に居住している世帯
3)2020年1月以降、転居、増減築、建て替え等をしていない世帯
4)2020年1月~4月の電気、都市ガス、LPガス消費量の使用量および支払金額の回答が得られている世帯
集計対象本報告における集計では、上記調査対象から回収されたデータの中から、以下のサンプルを除外した。
1) 審査によりエネルギーデータに異常値が含まれている可能性が高い世帯
2) 自営業の世帯(在宅勤務を定義できないため)
3) 家庭内で灯油を使用している世帯(エネルギーパネルでは灯油の消費量が把握できないため)
4) 就業者のいない世帯
サンプルサイズn=2,652(集計対象)
調査期間2020年6月26日~29日

調査の詳細な内容はこちらのプレスリリースでもご確認いただけます。
https://www.intage.co.jp/news_events/news/2020/20200909.html

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