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海外オンライン調査を実施するうえでの心得~実査後のデータ確認編~

本記事は、海外調査オンライン調査を実施するうえでの心得を、全3回に分けて説明しています。 1回目はサンプル設計編として、海外モニターの属性やサンプルサイズの決め方について、2回目は調査票作成の工夫についてご紹介しました。3回目の今回は、実査後のポイント、実査で回収できたデータを確認する・読み取るときの重要な視点についてご紹介します。

データクリーニング

データ回収後は、全ての案件で、不適切なデータがないかを入念に確認する「データクリーニング」の工程があります。
海外では不正回答が発生する割合が日本以上に高いため、インテージの海外調査ではデータクリーニングを入念に行っています。
ここではデータクリーニング時に見る代表的な視点をご紹介します。

①IPアドレス&回答ブラウザーの重複チェック

一人のモニターが複数のパネル会社に登録して、同じアンケートに何度もアクセスして回答することがあるため、IPアドレスと回答ブラウザー(Chrome、Safari、Microsoft Edge等)の組み合わせで同一回答者でないかを確認します。

②短時間回答チェック

各質問に対してしっかり考え、とりあえずアンケートを終わらせようとしていないかを回答時間で確認します。

③ストレート回答

例えばブランドのイメージ合致度といったマトリクス形式の設問で、全て選択肢1「とても当てはまる」など、質問内容について考えず、ワンパターン回答していないかという視点でデータを見ます。

④自由回答の内容

質問内容に対して解釈不能の回答内容、不適切な内容を書いていないか、という視点で確認します。

図表1

海外オンライン調査では複数の国を対象に同時に並行しながら調査することがあります。
そのような案件では、調査で得たデータを対象国同士で比較したり、日本の類似データがある場合はそれと比較したりしながら結果を解釈することがあります。ここでは調査結果を横断的に見る際のコツについて説明します。

データを相対化する

1つ目のコツは「データを相対化」することです。
例えば図表2ーAの様に、ある商品の購入意向のTOP2(非常に買いたい+買いたい)が日本、米国、ドイツ、インド、中国それぞれの国で75%だとします。この75%という数値の絶対値を鵜呑みにするのではなく、ベンチマークとする競合商品の購入意向と比較することで、それぞれの国の購入意向のデータとして高いのか低いのかを相対的に判断します。図表2ーAの場合は日本の結果が最もよかったという解釈になります。新商品やリニューアル品を投入する場合は、ベンチマーク商品と比べて同等以上の評価を獲得していることが望ましいです。競合をどこにするのかといったKPIは事前に設定しておきましょう。

また、自社ブランドの結果を国間比較するにあたって、パーセンテージでデータ比較しようとすると、図表2ーBの様に国によって回答傾向が異なり、どの国で結果が良かったかが分かりづらいことがあります。例えばインドと中国の自社ブランドに対する評価が90%で、他の国に比べて良さそうに見えます。しかしながら前述の通り、国によって回答傾向が異なるためこのままインドと中国が高かったと結論付けるのは危険です。そこでスコアを偏差値化することによって、国による回答傾向の違いを加味しながら基準を揃えて比較します。ここでの例を見ると、5カ国の中ではドイツで自社ブランドに対する評価が高かったことが分かります。

図表2

データを複層的に見る

そして、「データを複層的に見る」というのが2つ目のコツです。
1問から得たデータだけでは結果の解釈を読み誤る可能性があるため、複数の指標を組み合わせて見ることをおすすめしています。
図表3は、各国の都市で「購入意向が高かった人は、その後実際にその製品を買ったのか」ということを追跡して検証した結果です。例えば、日本で事前に「とても買いたい」と答えた人のうち68%がその後実際に購入した、といったことを示しています。このデータによると、日本、タイ(バンコク)、インドネシア(ジャカルタ)では購入意向が高いほど実際に購入しているという結果だったのに対し、ベトナム(ホーチミン)では事前の購入意向に関わらず実際に購入していることがわかります。ベトナム(ホーチミン)といった国では、購入結果のデータのみを見ていては読み誤る可能性があることを示唆しています。
読み誤りを避けるためには、各国の回答傾向の違いを踏まえつつ、複数の指標を組み合わせてデータを見ることをおすすめします。

図表3

以上3回にわたり、海外でオンライン調査を実施するうえでの注意点や工夫をお伝えしてきました。
インターネットのさらなる普及、技術の発展によって海外調査はさらに実施しやすく、身近になることが見込まれます。しかしながら、日本とは異なり、海外調査ならではの特徴、留意点、コツがあります。 今後海外でオンライン調査を実施される際はこちらで紹介した情報を参考にしていただければと思います。


※インテージグループは、アジアNo.1のリサーチ会社として11か国・地域に自社拠点を有し、中国、アジアをはじめ欧米、中東地域において年間数千本以上の海外調査(グローバルマーケティングリサーチ)をご提供しています。 長年培った高度なコンサルティング・リサーチ力と確かなローカルインサイトの両輪で、日本企業の海外展開を強力にサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

※定期的に実施しているi-college「初めてのグローバルリサーチ ~超基礎編~」では今回ご紹介した内容に加えて、海外市場の前提情報や国ごとの回答傾向の違いなど、より知詳細に海外調査のコツやポイントをご説明しています。海外調査を企画している方、これから海外調査を始める方など、ご興味・ご関心がありましたらぜひ合わせてご参加ください。開催スケジュール・内容の詳細はこちらからご確認ください。

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