グラフィックレコーディングで表情や動作も記録する
はじめに
インタビューの発言録(文章)に残る「おいしい!」の言葉。
ただ、「おいしい!」の中には、
の時と
の時がありませんか?
文字に残すと、どちらも「おいしい!」だったりします。
どっちの「おいしい!」がよりおいしかったのか。
“グラフィックレコーディング”という手法で記録することが可能です。
この記事では、インテージクオリスのグラフィックレコーダー泉山清佳が、グラフィックレコーディングについて例を交えて解説します。
グラフィックレコーディングとは
最近、セミナーや講演会やSNSで「グラフィックレコーディング」「グラレコ」「ビジュアルシンキング」といった、絵でリアルタイムで記録されたものをご覧になる機会が増えているかもしれません。
グラフィックレコーディングとは、言葉の通りグラフィック(絵)で、レコーディング(記録)する手法です。ニュース番組や、著名人が活用し始めており、最近ビジネススキルとしても注目度が高まっているようです。
グラフィックレコーディングは、以下のような効果があると言われています。
- 議論や対話を、グラフィックを使って整理することができる
- 可視化されたものを見て議論することで、参加者の認識や理解度をそろえることができる
- 全体像をつかむのに役立ち、目的を見失わず議論を進めることができる
“本当は違うもの”を同じ言葉で表現してしまっている場合、その認識がずれていることに気づかないまま議論や対話が進んでしまうと、判断を違えてしまうことがあるかもしれません。
そこで、議論やインタビュー内容を、グラフィックを使って可視化することで、参加者同士の認識・理解度を揃え、次の一手を議論するのに役立ちます。
グラフィックレコーディングでマーケティングの精度を上げていく
ここからは、例を交えながらグラフィックレコーディングをマーケティングリサーチに活用するメリットを解説します。
●インタビュー調査の記録として
対象者が話をしている表情や、「このくらいの大きさ」で「こんな感じで」といったジェスチャーをグラフィックで記録することで、インタビュー調査の空気感を含め記録しておくことができます。
リアルタイムで記録をするので、途中参加の人に共有する時もパッと見て理解してもらえますし、調査結果を社内に報告する場合も、インタビュー調査後に持ち帰ってそのまま活用することが可能です。
また、絵があることで記憶にも残りやすく、時間がたった後でも「あの時のあれ」の話でメンバーが同じものを想起するのにも役立ちます。
「経験」を深掘りするインタビューの例
このように1枚の絵になっていることで、一連の体験として、感情の変化やその背景がすっと入ってくるので、対象者への共感が深まります。
コンセプトや商品などの評価をするインタビューの例
その評価がどのような表情で話されたのか、インタビューの空気感や、評価の背後にある気持ちを、参加者以外にも共有しやすくなります。
●ワークショップの議論活性化として
ワークショップにグラフィックレコーディングを取り入れると、目的をベースに議論を可視化していくので、途中で話が脱線しても目的を見失わずに議論を進めることができます。
下図は1回目のワークショップのグラフィックレコーディングを元に、振り返りと新規事業のアイディエーションを行った結果です。
未来洞察ワークショップの例 テーマ:「10年後の日本」
ワークショップに取り入れると、以下の様なメリットがあります。
- 発言量も可視化されるので、発言の少ない人を促すこともでき、全員の参加を促すことにも有効です。
- コロナ禍でオンラインワークショップが増え、これまでの様に他のグループの様子をチラッと見てみることが難しくなっていますが、グラフィックレコーディングは、そのチラ見を可能にします。
- ワークショップ中に議論が停滞した時も、グラフィックレコーディングが振り返りと刺激に活用できます。
ご紹介した様に、グラフィックレコーディングをインタビュー調査やワークショップに追加することで、アウトプットの精度を上げることができます。
インテージクオリスでは、既存のリサーチサービスにグラフィックレコーディングを追加することで、定性調査をよりよいものに革新することを目指していきます。
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