まだまだ増える?ハロウィン限定商品の盛り上がり
※この記事は2016年12月のリリース記事を再構成したものです
10月31日に開催されるお祭りといえば、そうハロウィンです。古代ケルトの収穫祭が起源とされるハロウィンは、現代ではイギリスやオーストラリア、アメリカなどの英語圏を中心に、かぼちゃの中身をくり抜いてジャック・オー・ランタンを作ったり、おバケの仮装をして「トリック・オア・トリート」と言ってお菓子をもらい歩いたりと大いに楽しまれています。
そのハロウィン、日本に入ってきたのは20世紀後半のこと。一説によると、東京ディズニーランドの仮装イベントをきっかけに知名度が高くなったとのことですが、今では市場規模は1345億円(一般社団法人「日本記念日協会」による推計)と言われ、バレンタインデーに並ぶ一大イベントになっています。
最近では、スーパーやコンビニの店頭にも、9月末頃からハロウィンパッケージ商品が並び始めます。これらのハロウィンパッケージ商品は実際どのくらい増え、どのくらい販売されているのでしょうか。インテージのSRI(全国小売店販売データ)で調べてみました。
目次
右肩上がりで増えるハロウィンパッケージ商品。今年はどのくらい増えた?
はじめに、どの程度ハロウィンパッケージ商品が増えているのかをみてみましょう。商品名に「ハロウィン」とついている期間限定商品の数がどれだけ増えたのかをインテージのSRI(全国小売店販売データ)で追ったところ、商品の数※1は直近5年間で約2倍に増えていました。(図表1)。
特に、2014年からは2桁成長を続け、今年は対前年比で26%増。200以上の商品が販売されていました。この勢いはどこまで続くのでしょうか。
図表1 ハロウィンパッケージのアイテム数推移
データ:SRI 集計期間:2016/8/29~10/30
Key Point 1
ハロウィンパッケージの商品はこの5年間で2倍に! 2016年も26%の増加。
お菓子だけじゃない。どんなハロウィンパッケージ商品がある?
どのような商品でハロウィンパッケージが発売されているのでしょうか?「主食」「調味料」といった商品の区分ごとに、その商品数を確認しました。
5年前までは、ハロウィンパッケージ商品の多くがハロウィンの主役であるお菓子(嗜好品)やティッシュペーパー(紙製品)、食品保存容器(ハウスホールド)の季節限定パッケージでした。それが、ここ数年で少しずつ他の商品にも広がってきています(図表2)。
特に、2016年は、少ないながらも「アルコール」で広がりがみられています。例えば、ハロウィンパッケージのケースを出すビールのブランドが増えたり、スパークリングワインやスパークリングの日本酒、リキュールといった女子会向けの商品も登場するといった動きがありました。
また「加工食品」では、製菓材料や粉末スープ、チーズ、デコレーション用かまぼこなどのハロウィンパッケージ商品が発売され、バラエティ豊かになっています。
これらの動き、ホームパーティでの演出を意識した広がりといえそうです。
図表2 ハロウィンパッケージのアイテム数推移(中分類別)
データ:SRI 集計期間:2016/8/29~10/30
Key Point 2
ハロウィンパッケージはアルコールや製菓材料といったホームパーティを意識した商品にも広がりを見せている。
2016年、商品数も売り上げも急増した注目商品とは?
年々数が増え、商品の種類も広がってきているハロウィンパッケージ商品。では売り上げはどうなっているのでしょうか?
販売金額を見てみると、現時点ではほとんどが「嗜好品」(お菓子)で占められています(図表3)。商品数が増えたこともあり、今年も順調に販売を伸ばしました。
一方で、2016年の注目ポイントは「紙製品」。ティッシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ウェットティッシュといった紙製品のハロウィンパッケージ商品の数は2015年と比べて78%増え、売り上げは対前年比で125%増と急拡大しているのです。
これらは一日で使い切るものではありません。ハロウィンが当日限りのイベントとして楽しむばかりでなく、季節感を楽しむイベントとして生活のなかに取り込まれつつあるということなのかもしれません。
図表3 ハロウィンパッケージの販売金額推移(中分類別)
データ:SRI 集計期間:2016/8/29~10/30
Key Point 3
日常に季節感を取り込む“ペーパーアイテム”の市場が急拡大
ハロウィンパッケージ商品の盛り上がり、エリア間の温度差は?
日本でハロウィンといえば、東京ディズニーランドのイベントや渋谷の街頭における仮装というように、これまでは大都市圏でのイベントが目立ちました。では、ハロウィンパッケージ商品の盛り上がりも大都市圏が中心なのでしょうか?
定着が進むお菓子と今年大幅な伸びが見られたペーパー類※2について、ハロウィンパッケージ商品の販売が大都市圏で特に多かったのかを調べてみました。
お菓子については、「ハロウィンパッケージ商品が特に大都市圏で売れている」といえるほどの違いはありませんでした。(図表4)詳細に見ると、北海道で浸透の弱さが見られたものの、その他のエリアでは大都市圏と変わらず浸透していました。
ペーパー類では、大都市圏とその他のエリアに明確な差が見られました。通常のペーパー類の大都市圏の販売構成比が58%なのに対して、ハロウィンパッケージのペーパー類は73%(図表5)。明らかに大都市圏で偏って売れています。このことから、大都市圏で先行して浸透している様子がうかがえます。
図表4 お菓子販売金額のエリア構成比
データ:SRI 集計期間:2016/8/29~10/30
図表5 ペーパー類の販売金額のエリア構成比
データ:SRI 集計期間:2016/8/29~10/30
Key Point 4
「日常へのハロウィンの取り込み」の動きは、大都市圏で先行
年々その数が増え、定着しつつあるハロウィンパッケージ商品。2016年にはホームパーティ演出への広がりや、日常に季節感を取り込むためのアイテムへの進化が見られました。これらの動きもまだまだ浸透途上な中、2017年はどのような動きが出てくるのでしょうか?今後も注目です。
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今回の調査に利用したSRIは、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア、ドラッグストア、専門店など全国約4,000店舗より収集している小売店販売データです。このデータからは、「いつ」「どこで」「何が」「いくらで販売された」のかが分かります。
※1ハロウィンパッケージ商品のデータは、SRIで捉えている商品(主食・調味料・加工食品・嗜好品・嗜好飲料・乳飲料・清涼飲料・アルコール飲料・オーラルケア・ハウスホールド・パーソナルケア・紙製品)のうち、商品名称に「ハロウィン」とある期間限定商品(プライベートブランド商品を除く)のデータを集計しています。
※2「ペーパー類」とは、紙製品のうちティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル、ウェットティッシュ(ハロウィンパッケージ商品が出ているカテゴリー)を合算したものを指します。
参考:2016年の「ハロウィン」の推計市場規模は前年比約10%増の約1345億円。
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