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実は巨大なセルフヘルスケア市場 対処の2大トレンドとは? ~健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ市場実態把握レポートから②

日本のセルフヘルスケア市場とは?その大きさは?

日本の健康・美容に関係する商品やサービスはメジャーなものだけでも健康食品、サプリメント、OTC医薬品(処方箋なしで店頭で手に入る一般医薬品)、健康系の機能を訴求した食品・飲料、フィットネス、マッサージ、エステなど数多くあります。それらの商品やサービスを合計した日本のセルフヘルスケア市場*1は、5兆7,351億円と試算される巨大な市場となっています。(図1)

図1

セルフヘルスケア 推計市場規模

これらの商品・サービスは多様な効果・効能や成分・素材、技術を謳っていて、訴求の似た商品・サービスがカテゴリーをまたいで存在しているにもかかわらず、売り手視点でカテゴリーを定義しているため、市場の全体像を捉えるということが難しくなっています。
そこで有効となるのが、生活者自身が必要とする健康効果・効能(ヘルスベネフィット)を起点に市場を捉えるという手段です。(生活者起点での市場の捉え方については、健康・美容への食での対処、シニアはどうしている?~健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ市場実態把握レポートから①でご紹介しています。)

日本のセルフヘルスケア市場をこのヘルスベネフィット別にみてみましょう。(図2)「健康維持/増進(2兆1,229億円)」、「美肌・肌ケア(1兆4,852億円)」、「栄養の補給・栄養バランス(1兆4,451億円)」市場が1兆円を超えており、ニーズが特に大きい市場であることがわかります。

図2

ヘルスベネフィット別市場規模(上位3市場)

セルフヘルスケア市場のトレンド① 機能訴求の一般食品がより身近に

セルフヘルスケア市場における商品やサービスにはさまざまな一過性のブームが見られますが、直近ではその中にも2つの大きなトレンドがみられています。

1つ目のトレンドが、健康・美容効果を期待させる一般食品・飲料が、生活者にとってより身近な存在になったことです。2015年4月開始の消費者庁による「機能性表示食品制度」をきっかけに、コンビニやスーパーといった生活者が普段買い物するチャネルの店頭に、健康・美容効果を期待させる一般食品・飲料が並びだしました。2018年末時点では、800を超える加工食品・生鮮食品がそれぞれに機能を訴求しており、今もなお新商品が次々とでています。

「健康食品・サプリメント」と「健康・美容目的で摂る一般食品・飲料」を合わせた「ヘルスケアフーズ」の推計市場規模の動きを見てみると、ヘルスケアフーズ全体の市場規模(2兆6,735億円)は昨年とさほど変わりませんが、内訳をみるとこれまでヘルスケアフーズ市場をけん引してきた「健康食品・サプリメント」が271億円と-1.7%減った一方で、「健康・美容目的で摂る一般食品・飲料」が150億円と1.3%増えています。(図3)
機能性表示食品市場の活性化は、この一般食品・飲料市場の伸びの要因のひとつとなっています。

図3

ヘルスケアフーズの市場規模推移

ヘルスケアフーズが実際にどのようなニーズで利用されているのか、利用目的のランキングを見てみましょう。(図4)、男性は「疲労回復」「高血圧予防・改善」、「健康維持/体力増進」、「血液サラサラ」、女性では、「整腸・便秘の改善」、「美肌・肌ケア」、「栄養の補給・栄養バランス」、「痩身・減量」と続き、まったく異なるニーズを持たれていることがわかります。

図4

ヘルスケアフーズの利用目的ランキング

インテージの全国小売店パネル調査SRIのデータを用いて、機能性表示食品の訴求別の売れ筋商品を見てみると、男性1位の「疲労回復」に対処する商品としては、クエン酸配合の清涼飲料が特に売れていました。また、女性1位の「整腸・便秘の改善」に対処する機能性表示食品のカテゴリーは多岐にわたり、主力のヨーグルトの他にもチョコレートや液体茶、もち麦ごはんといったカテゴリーの商品が売れ筋でした。
この売れ筋商品の中には、元々売れていた人気商品が「機能性表示食品」としてリニューアルされたケースも見られます。既存商品の「機能性表示食品」へのスイッチも含め、今後も機能訴求した一般食品の市場は盛り上がりそうです。

セルフヘルスケア市場のトレンド② フィットネスジムから食・データ活用まで 広義のスポーツ・運動市場の活性化

もう1つのトレンドが、2020年の東京オリンピック開催をターゲットに、スポーツ・運動全般のサービスや商品に注目が集まり市場が活性化していることです。そもそもスポーツ・運動は、生活者のセルフヘルスケア活動において大きな選択肢の一つです。例えば、「健康維持/体力増進」のセルフヘルスケア市場をみると、「一般食品(生鮮含)・飲料」が9,941億円と最も大きい市場ですが、「スポーツ用品・サービス(ジム・フィットネス等を含む)」は5,001億円と、2番目に大きな市場となっています。(図5)

図5

「健康維持/体力増進」のセルフヘルスケア市場規模推計

もともと「食」と「身体を動かすこと」は結びつきが強いものでしたが、近年はその傾向がより強くなっているようです。健康意識の高い生活者が集まるフィットネスジム等の施設では、個人の状況に応じたヘルスケアフーズのクロス販売が増えていますし、その販売に健康データを活用する、新たなヘルスケアサービス・技術も次々と生まれています。
先進的な事例としては、近年急速に一般化した遺伝子検査キットの解析データを活用することで1人1人にあった運動メニューや食事メニューを提案し、さらに関連した商品やサービスの推奨、販売に繋げるといったサービスがはじまっています。

性別で対処状況をみると、男性はスポーツ・運動で、女性は食品で対処している傾向があるようです。(図6)

図6

健康維持/体力増進の男女別対処割合(%)

また、「健康維持/体力増進」のために対処している人のうち、「スポーツ・運動用品」による対処している人の割合を年代別にみると、男女問わず、50代をボトムに60代から70代にかけて増えています。(図7)
特に女性では、70代が全年代を通じて最もスポーツ・運動で対処する人の割合が高くなっていました。国による高齢者への総合的なセルフヘルスケアの推進を背景に、カーブスといったシニア女性に特化したフィットネスなどが身近になったことがひとつの要因と考えられます。

図7

「健康維持/体力増進」に対する「スポーツ・運動用品」による性年代別の対処割合

「機能訴求食品」、「スポーツ・運動による健康対処」。まだまだ続きそうなこの2つのトレンド。今後どのように拡大していくのか、知るGalleryでは今後も注目していきます。


この記事は「健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ市場実態把握レポート2018年度版」のデータを基にしています。「健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ市場実態把握レポート2018年度版」は生活者視点での健康食品・サプリメント市場の実態把握を目的にした調査を、2018年8月24日~9月21日にインテージ・ネットモニター“マイティモニターの15~79歳男女を対象に実施し、その結果をまとめたレポートです。

*1 インテージの調査では、曖昧・不透明な傾向が強い健康関連市場を生活者視点に根差すことで、「ヘルスケアフーズ」「健康食品・サプリメント」「セルフヘルスケア」の3つの市場を独自に定義し、市場規模や利用実態・意識を可視化しています。それぞれ以下のように定義しています。

「ヘルスケアフーズ」「健康食品・サプリメント」「セルフヘルスケア」の定義

ヘルスケアフーズ:
健康や美容・ダイエットを意識して食べたり飲んだりする、健康食品・サプリメント、(一般の)食品・飲料、生鮮食品、医薬品等の総称。

健康食品・サプリメント:
自身や家族の健康や美容・ダイエットのために、日常生活で不足しがちな栄養素や機能性成分を摂取できるよう加工された食品(形状は、粒・錠剤、カプセル、粉末、液体、ゼリー状など)。
ただし、以下のものは「健康食品・サプリメント」に含まない。
①市販医薬品(要指導/1類/指定2類/2類/3類医薬品、医薬部外品)
②特定保健用食品(トクホ)の飲料(ペットボトルや缶)
③機能性表示食品の飲料(ペットボトルや缶)
④栄養素入りでも一般的なジュースに近い飲料(例:CCレモン、レッドブル)
⑤一般的な乳製品、乳酸菌食品や乳酸菌飲料(例:ヨーグルト、ヤクルト)
⑥一般的なお茶類、スポーツドリンク(例:特茶、黒烏龍茶、ポカリスエット)
⑦バランス栄養食品(例:カロリーメイト、ウィダーインゼリー)
⑧シリアル食品(例:オールブラン、フルーツグラノーラ)
⑨農水産物を乾燥・調理した食品(例:煮干し、野菜チップス)
⑩一般的な食品(例:野菜、レトルト食品、缶詰、菓子)
※④~⑩は、トクホや機能性表示食品でも「健康食品・サプリメント」に含まない。

セルフヘルスケア:
健康目的でセルフケアするためのヘルスケアフーズ、化粧品、ヘアケア、オーラルケア、健康器具・グッズ、スポーツ、スポーツ用品・サービス、施術・美容サービス、睡眠、睡眠グッズ、入浴、入浴グッズ・サービスの総称。

 

以上

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