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With コロナ ~長いながいトンネルの先に(その2)

1. はじめに

第5波の拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が10月1日からすべて解除となりました。10月25日からは東京や大阪など5つの都府県で、飲食店に対する営業時間短縮の要請なども解除されました。10月26日現在の新規感染者数は全国で313人となっており、ここ最近は200~300人台を推移しています。

新型コロナワクチンの2回目までの接種率もNHKの新型コロナ特設サイトによると全人口で70.6%に達しています。年代別で一番接種率が低い12~19歳でも48%と半数近くに達し、着実にワクチン接種も進んでいるようです(10月27日現在)。※1

弊社が行っている定点アンケートにおいても、新型コロナの感染不安は大きく減少しています。クライアントの皆様とお話をしていても、「Afterコロナ」という言葉をはじめ、「これから」を意識したテーマでのディスカッションが増えてきました。

ハロウィーン、クリスマス、そして、年末・年始とイベントも目白押しです。その間、ボーナスシーズンもあります。消費意識の変化や購買行動、旅行をはじめとしたエンタメ消費なども気になります。その変化の兆しの断片を少しだけ紹介したいと思います。

2. 新型コロナ感染不安の減少がもたらす行動欲求

定点調査で追い続けてきた、新型コロナの感染拡大不安をはじめとしたさまざまな「不安」を見ていきましょう。
新型コロナ感染不安は新規感染者数の減少を受けて定点調査開始以来はじめて6割を下回りました(今回58%、前回60%)(図表1)。

図表1

また、「飲食店での食事」や「テーマパークや繁華街・人が集まる場所への外出」、さらには「国内旅行」といった、不特定多数の人との接触リスクが心配される場所への外出行動に関する不安についても、減少傾向は継続しており、観測以来の低スコアを更新しています。各スコアに詳しく目を向けると、「国内旅行」の不安減少が最も大きくみられており、感染を警戒して長く自粛していた旅行といったアクティビティにも「そろそろ」といった意向が芽生えつつあるようです。さらに、営業時間の時短要請も解除された「飲食店での食事」についても不安は5割を下回り、回復が見られます。年末・年始に向けたこれからのシーズンは、クリスマスや忘年会・新年会など外食の機会も増えてきます。長らく自粛に苦しんだ飲食店にも光が見えてくるように思います(図表2)。 

図表2

外出行動の拡がりもデータの中に表れています(図表3)。
弊社の家の中の食事に関するデータ※2を見てみると、第5波の収束とともに休日お昼の家中での食事は減少に向かっています。感染者が多い時には行動自粛や飲食店の営業自粛などにより家中での食事が増える傾向がありますが、こちらも新規感染者の減少とともに変化しており、外出先で食べることが以前よりも多くなっていることがわかります。

心配をしていた第5波も落ち着きを見せ、今のところリバウンドの予兆はみせていません。また、子どもや若者など広い年齢層へのワクチン接種も着実に広がっており生活者に安堵が広がっているようです。

図表3

これからのシーズンは寒くなり空気も乾いてインフルエンザや風邪が流行したり、会食の機会も増えるため、リバウンドの不安は拭い去れない状況です。海外(イギリス)では、ワクチン接種が他国よりも早く、感染拡大も一定程度に収束したことから行動自粛やマスクの着用義務の解除を行いましたが、ふたたびリバウンドの兆候が表れているようです。日本も飲食店やイベントなどのさまざまな制限が解除されると思いますが、引き続き警戒をしつつの判断や行動が求めれられそうです。

不安が減少に向かっているマインドがある一方で、暮らし向きや家計の不安は依然として高いままです(図表1)。「今後3ヵ月先」として尋ねている今後の家庭の暮らし向きについて、「今より悪くなる」は前回と変化はありませんでした(今回13%、前回13%)。また、「家計の節約を心がけている(節約意識)」については大きな動きはなく58%の方があてはまるとしています(前回59%)。節約意識に関しては、感染者数の増減との相関が弱いことは以前の分析で確認していますが、経済や景気の回復がより強く影響を及ぼすため、新型コロナの収束とは異なる根深さがあります。今後、冬のボーナスの支給額の状況などにより変化してくるものと思われます。

3. 日常への兆し ~年末・年始の旅行や帰省への期待

「国内旅行」をはじめとした外出行動に関する不安が減少していることから、今回の調査でも年末・年始の旅行や帰省の予定について質問をしています(図表4)。

この年末・年始にご実家への帰省を予定している方は約1割。「国内の日帰り旅行」は6%、さらには「宿泊ありの国内旅行計」を予定している人は10%となっています。また、「海外への旅行」を予定している人はわずかとなっており、国内旅行、海外旅行の意向はどちらも2週間前の調査から大きな変化はありません。国内においては「せめて帰省は」あるいは「数泊程度であれば」といった気持ちも出てきているようです。一方で、海外旅行については、まだまだ警戒の中、という状況のようです。

図表4

2021年3月末から「Withコロナ定点アンケート」を開始して、生活者のマインドや消費行動を調査してきましたが、今回の調査では新型コロナの感染不安を筆頭に、飲食店での食事や国内旅行といった行動にまつわる不安も大きく減少しています。家中の食事のデータでも示しましたが、実際に外出を伴う外食も戻ってきているようです。この記事では掲載しませんでしたが、休日の夕食についても同様に家中の食事は減少傾向にあります。年末年始の帰省や旅行意向を鑑みると、まだまだ不安はあり、思い切った行動へは舵を切りにくい様子も見えますが、それでも以前と比較すると、意欲も戻ってきているように思います。

クライアントの皆様と「これから」に向けた対話が増えたことも明るい兆しとして受け止めています。
「これから」に向かう生活者をデータとともにもう少し見守っていきたいと思います。

おわり
※1 NHK 特設サイト 新型コロナウィルス -日本国内のワクチン接種状況
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/progress/

※2 インテージ キッチンダイアリー®
京浜・京阪神・東海の1,260世帯の食卓・調理の状況を食場面(朝食・昼食・夕食)ごとに継続的に捉えたデータです。
https://www.intage.co.jp/service/platform/diary/

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生活者研究センター概要

インテージの生活者理解の拠点として2020年8月3日に誕生。
長きにわたり蓄積している生活者の消費行動やメディアへの接触行動、さらには生活意識・価値観データなど膨大な情報を連携・横断して用いるとともに、社内の各領域におけるスペシャリストの知見を織り合わせることにより、生活者をより深く理解し、生活者を起点とする情報を発信・提供することを目的として設立された。また、お客様への直接的な貢献を目的として、共同研究や具体的なプロジェクトへの参画などにも積極的に取り組んでいく予定。


著者プロフィール

生活者研究センター センター長 田中 宏昌(たなか ひろまさ)プロフィール画像
生活者研究センター センター長 田中 宏昌(たなか ひろまさ)
1992年 広告代理店系の調査会社に入社。1994年より親会社の広告代理店における生活者データベースの立ち上げメンバーとして参加。以後、2012年まで、広告代理店の消費者研究や広告コミュニケーションプランニングセクションに駐在勤務する形で、広告コミュニケーションプランニングや商品・サービス開発の場面などで、データに基づく生活者理解をテーマとしてプロジェクトを支援してきた。その間、消費財、耐久財、サービスなどさまざまな領域を担当。
思春期よりTVCMの映像やコピーに魅了され、TVCMだけを録画して繰り返し見るような子どもだった。記憶に残る作品を選ぶとすれば「1983年 サントリーローヤル ランボオ編(広告代理店 電通)」と「2004年 ネスカフェ 谷川俊太郎 朝のリレー・空編(広告会社 マッキャンエリクソン)」を迷うことなくあげる。趣味は自転車(ロードバイク、マウンテンバイク)、落語鑑賞など

1992年 広告代理店系の調査会社に入社。1994年より親会社の広告代理店における生活者データベースの立ち上げメンバーとして参加。以後、2012年まで、広告代理店の消費者研究や広告コミュニケーションプランニングセクションに駐在勤務する形で、広告コミュニケーションプランニングや商品・サービス開発の場面などで、データに基づく生活者理解をテーマとしてプロジェクトを支援してきた。その間、消費財、耐久財、サービスなどさまざまな領域を担当。
思春期よりTVCMの映像やコピーに魅了され、TVCMだけを録画して繰り返し見るような子どもだった。記憶に残る作品を選ぶとすれば「1983年 サントリーローヤル ランボオ編(広告代理店 電通)」と「2004年 ネスカフェ 谷川俊太郎 朝のリレー・空編(広告会社 マッキャンエリクソン)」を迷うことなくあげる。趣味は自転車(ロードバイク、マウンテンバイク)、落語鑑賞など

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