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スポーツスポンサードのロゴ露出の効果測定

テレビのスポーツ中継を見ていると、自然と目に入ってくる様々なスポンサーのブランド広告。このスポンサー効果はどのように測るべきなのでしょうか。この記事では、ブランドロゴ露出によるスポンサー効果をより正確に捉える新しい指標を紹介します。

ブランドロゴの露出を測る3つの指標と課題

これまで、テレビのスポーツ中継において、ブランドロゴ露出効果を測定するためには、ブランドロゴが露出したタイミングでどれだけ多くのテレビで視聴されていたか、という「視聴量」を測定するか、テレビの前にいる複数いる視聴者の視線(アテンション)をどれだけ集めていたかを人体認識技術を搭載したセンサーを用いて調べる方法がとられていました。

ただ、ブランドロゴがテレビ画面に露出しているといっても、ユニフォームのロゴが大写しになっていることもあれば、看板のロゴが遠目に映っていることもあり、その効果は同じではありません。ブランドロゴ露出によるスポンサーシップの効果を測定する上では、このようなテレビ画面内でのブランドロゴ露出量も重要な要素ではないかと考えられます。

そこで、視聴量とアテンションデータ両方に加え、ブランドロゴ露出量を組み合わせることで、より正確にブランドロゴ露出の効果を読み解く手法を考案。実データで分析することで、その実効性について検討しました。
ブランドロゴの露出量の測定には、スポーツ中継などの動画データに対するブランドロゴ露出面積を計測できる、自動動画解析AI技術のSEEC(※1)を用いました。

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また、この記事では、視聴量データとしてインテージの保有する15秒ごとの視聴ログが取れるスマートテレビデータMediaGauge®TV(※2)を、アテンションデータとしてTVISION INSIGHTSの保有する毎秒の視聴態度を測定したデータ(※3)を使用しています。

3つの指標の掛け合わせでより正確にブランドロゴ露出を捉える

分析内容について具体的に説明します。単純なブランドロゴ露出量に対して視聴量とアテンション含有率を掛け合わせて「ブランドロゴ露出が多く、視聴者の注目を集めている状態」を表す指標を算出し、単独の計測指標での評価と比較することにしました。

実際のデータ計測は、地上波および衛星放送の「陸上」、「フィギュアスケート」、「競泳」の中継番組で行いました。「視聴量」とアテンションデータの指標の一つである「アテンション含有率(※4)」、「ブランドロゴ露出面積」3つの指標を計測しています。
それぞれの指標の定義は以下の通りです。

(1)視聴量(接触率):MediaGaugeTVデータを元にした「該当番組に接触した割合」
(2)ブランドロゴの露出量:SEEC※1で取得した「事前登録した企業ロゴの露出量(面積:cm2)」
(3)アテンション含有率:ターゲットの注視ベースの個人視聴率の総量/GRP

続いて、競技ごと、ブランドごとに、各ブランドロゴ露出量のみを合算した数値と、ブランドロゴ露出量×視聴量×アテンション含有率の3種類を掛け算した数値を用意し、それぞれの最大値で除算することで水準値化して比較できるようにしました。この2種類の数値を比較した結果が図表1です。

図表1
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ブランドロゴ露出量のみで比較をした場合と、3つの指標を掛け算して比較した場合では、数値の関係性は大きく変わります。例えば、競技3は、ブランドロゴ露出量のみで比較すると競技2と近い水準ですが、視聴量とアテンション含有率を加味すると、相対的にブランドロゴ露出の効果が小さくなっていました。この結果から、単体の指標ではスポンサーシップの効果を正しく理解することはできないということがわかります。

実際の中継番組を見てみると、盛り上がるシーンではカメラがズームアップされることでブランドロゴ露出量が増え、さらにアテンション含有率や視聴量が高くなるケースが存在しています。このようなシーンでは、視聴者に自社ブランドを効率的に露出できており、スポンサーシップの効果を増大させることができていたわけです。如何にこういったシーンを事前に特定できるかは、スポンサーシップの効果を伸ばす上でも重要となってきそうです。例えば、3つの測定指標を基にしたブランドロゴ露出効果を過去の中継番組から把握できれば、広告主と競技の主催者団体の間で、事前にブランド広告の掲出場所を協議できるようになるかもしれません。

ブランドロゴ露出量×視聴量×アテンション含有率によるブランドロゴ露出効果計測の有効性

今回の数値検証により、画面にどれだけブランドロゴが映っていたかを表すブランドロゴ露出量と、どれだけの視聴者がいたかを表す視聴量、どれだけの注視度があったかを表すアテンション含有率の3種類を同時に加味することで、より正確にスポンサーシップの効果を測定できることが明らかになりました。いずれの指標も視聴者のブランド接触に対する評価指標となり得えますが、お互いに足りない部分を有しているため、3つの指標が互いに補完することで、より正確な意味で広告露出を測定することができるようになったと考えられます。

この記事では、自動動画解析AI技術の、スポーツスポンサードのロゴ露出の効果測定への活用事例をご紹介しました。他の視聴データも複合させることで、より正しく効果測定ができることがわかりましたが、ブランドロゴがテレビ画面に映ってさえいればよいというわけではないはずです。テレビ画面内のどこに露出したかで、視聴者の印象も変わってくる可能性があります。今後はブランドロゴ露出がされた場所によるロゴ露出の効果の違いを明らかにしていきたいと考えています。今後の展開にもご期待ください。


※1【SEEC】https://www.intage.co.jp/news_events/news/2021/20210324.html
インテージが独自開発をしている自動動画解析AI技術を活用し、スポーツ中継などの動画データに対して、毎秒単位でブランドロゴ露出量を計測できるサービス。

※2【Media Gauge® TV】 https://www.intage.co.jp/service/platform/mediagauge-tv/複数のテレビメーカーから収集した、ネットに結線されたスマートテレビと録画機の視聴計測サービスです。都道府県別はもちろん、一部エリアでは市区町村別でもテレビデータを分析することが可能で、各放送局別(地上波・BS・CS)、各地域別(都道府県など)に、15秒単位でテレビ番組やテレビCMの視聴行動を把握することができます。

※3【アテンションデータ】
TVISION INSIGHTSが保持している最先端の人体認識技術を搭載したセンサーを用いて、テレビの前にいる複数の視聴者の視聴態度を毎秒ごとに測定したデータ。

※4【アテンション含有率】
世帯視聴率1%あたり「どのくらい“ちゃんと見ている(=注視している)人”がいるのか」がわかる独自指標。

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