

2026年の冬は、ウィンタースポーツにとって様々なことがあったシーズンでした。2月には大型イベントが開催され、日本選手の金メダル獲得によってウィンタースポーツへの注目が一気に高まりました。一方で、気候面では厳しい状況が続きました。地域により記録的な豪雪や逆に雪不足に悩まされるなど、雪の振り方には大きな地域差が生じた冬でもありました。
この記事では、こうしたイベントと地域ごとの気候変動が重なった2026年の冬を、人流データを基にウィンタースポーツの実態とあわせて見ていきたいと思います。
この記事では、スキー場とスケートリンクの各2施設について国土数値情報を参照しながら500mメッシュ単位でテーブル化し、モバイル空間統計(リアルタイム版)から日別・時間帯別の“エリア滞在者数”を合算するかたちで実施しました。したがって、該当エリアの居住者・勤務者を含んだ数字となります。
今回選んだスキー場・スケートリンクについてはそれぞれ国内で規模が大きく、来訪者の多い施設をピックアップしています。一都三県からの遠征の様子も見るため、エリアとしてはそこを避ける形で選定しています。
対象の施設は、スキー場では志賀高原(長野県)と湯沢スノーリンク(新潟県)を、スケートリンクでは日本ガイシアリーナ(愛知県)とアイスランド津山(岡山県)をそれぞれ選定しています。
また、分析期間としてはコロナ明けの2022年以降を対象とし、14時台の来訪者数をもとに分析をしていきます。
2020年・2021年はコロナによる緊急事態宣言の影響などもあり、スキー場やスケートリンクは閉鎖していましたが、以降は通常営業に戻っています。いずれの施設も2022年から2023年にかけては来訪者が増加している様子が見られます。
湯沢スノーリンクおよび日本ガイシアリーナでは、2023年以降は2025年まで来訪者数が減少している傾向にあり、今年の2月には再び増加しています。特に湯沢スノーリンクでは、直近5年間で最も多い来訪者数となっています。志賀高原では、2024年までは来訪者が右肩上がりになっているものの、以降は右肩下がりの傾向が見られます。アイスランド津山では、2022年から2026年にかけて、ほぼ横ばいの結果になっていることがわかります。
湯沢スノーリンクや日本ガイシアリーナは電車でのアクセスが良好で来訪しやすい一方、志賀高原やアイスランド津山は車で訪れやすい立地にあります。こうしたアクセス手段の違いが、各施設の来訪者推移に影響を及ぼしていると考えられます。以降の章では、来訪者のデモグラフィックにも着目しながら、より詳細に分析していきます。

デモグラフィックを見る前に、今年の冬に来訪者がどのように推移したのかを見ていきます。いずれの施設も2025年12月から2026年2月にかけて右肩上がりに来訪者数が伸びています。特に湯沢スノーリンクは大きく来訪者を伸ばしています。
この結果には大きく2つの要因が考えられます。
1つ目は大型スポーツイベントの開催です。本大会で日本勢は過去最多の24個のメダルを獲得し、金メダルは過去最多の5個でした。そのような輝かしい結果からウィンタースポーツへの興味関心が高まり、2月の来訪者増の一因になっているのではないでしょうか。日本ガイシアリーナで来訪者が伸びていることからも見える通り、フィギュアスケートの金メダルの影響を受け各地のスケートリンクではイベント開催も相次ぎ、例年よりもスケートリンクの来訪者が増えた年になったと考えられます。
2つ目は気候による要因です。今年は1月下旬から2月上旬にかけて豪雪のピークを迎えた地域が多く、特に日本海側や北日本で顕著でした。特に湯沢スノーリンクのエリア(湯沢高原)では2月も積雪のピークを迎えていたことが来訪者が大きく伸びている要因に感じます。志賀高原では1月下旬に積雪のピークを迎え、2月は例年よりも雪が少なくなっていたことから、湯沢スノーリンクほど来訪者が伸びなかった可能性があります。
2025年の冬と比較をしてみると、12月から1月にかけては同じような変化をしています。1月から2月にかけては、2月に雪の少なかった志賀高原は2025年のほうが伸びており、アイスランド津山はほとんど同じですが、湯沢スノーリンクと日本ガイシアリーナにおいては2025年よりも2026年の方が来訪者が伸びていることがわかります。今年の来訪者推移には大型スポーツイベントや気候が大きく影響しているものと考えられます。


ここからは2026年2月の来訪者デモグラフィックを見ていきます。
最初は性年代です。まずスキー場とスケートリンクの差を見ていきます。
スキー場はスケートリンクと比較して、20代の割合が高くなっていることがわかります。特に湯沢スノーリンクでは約30%を20代を占めており、若年層に人気であることが伺えます。対して志賀高原では、湯沢スノーリンクと比較して50代の割合が大きくなっていることがわかります。湯沢スノーリンクと志賀高原の交通手段・アクセスのしやすさの違いから、このような結果になっているのではないかと思われます。湯沢スノーリンクへは電車や新幹線でアクセスしやすいことから若年層に人気があり、志賀高原へは電車のみだとアクセスがしにくい点から、 車での移動手段を持つ層が訪れやすいという側面があるかもしれません。こうしたアクセス条件が、50代の割合の高さに影響している可能性があります。
次にスケートリンクについて見ていきます。アイスランド津山の付近には高等専門学校があることから10代の人が多くなっていますが、日本ガイシアリーナを含めて、スキー場ほど明確な分布の特徴はありません。このことからスケートは、老若男女問わずファミリー層でも気軽に楽しめるウィンタースポーツになっていると想定されます。

最後に、来訪者の居住地に着目して分析していきます。
スキー場では関東からの来訪者が多く、特に湯沢スノーリンクでは約75%の方が関東から来訪しています。前章で見た性年代別のデータと合わせると、20代の関東在住者の割合が高く、学生などに好まれるスキー場である可能性があります。一方の志賀高原は、湯沢スノーリンクと比較すると、複数の地域から来訪者が分散している点が特徴的です。前章でも触れたように、 車でのアクセスが利用されやすい環境であることから、結果として幅広いエリアから来訪者を集めている要因のひとつになっているのかもしれません。湯沢スノーリンクは新幹線停車駅に隣接しており首都圏からのアクセスが良い一方、志賀高原は長野県北部に位置し高速道路からのアクセスが比較的良いことから、 中部・関西方面からも訪れやすい立地特性があります。こうした交通結節点の違いが、居住地分布に表れていると考えられます。
次にスケートリンクを見てみます。スケートリンクではスキー場と違い、来訪者のほぼ100%が地元の方になっています。スケートリンクは夏場はプール、冬場はスケートリンクとして運営される施設も多く、地域のスポーツセンター的な役割を担っています。そのため、遠征して訪れるというよりは近隣住民が日常のレジャーとして利用する傾向が強く、結果として同一地域内に来訪者が集中していると考えられます。
スキーは積雪や標高など自然条件が必須で、楽しめる場所が地理的に限定されます。一方、スケートリンクは人工施設であるため各地域に整備可能です。この違いにより、スキーは「目的地へ行くレジャー」として遠征が前提になりやすく、スケートは「近場で気軽に楽しむスポーツ」という性格が強まります。この構造の差が、そのまま居住地分布の違いに表れているといえるでしょう。

2026年の冬は、大型スポーツイベントによりウィンタースポーツへの注目が高まりました。
今回分析した人流データからは、スキーとスケートの来訪者にそれぞれ異なる特徴が見られ、アクセスのしやすさや気候の影響・施設特性の違いによって、同じウィンタースポーツでも利用者層が大きく変化することが確認できました。また、データを通して各施設の強みや利用されやすい層がより明確になり、今後の施策検討にもつながる示唆が得られたと思います。こうした傾向が来季以降どのように変化するのか、継続的に人流データを追うことで新たな気づきも生まれそうです。
本稿では、性別・年代・居住地に着目して分析を実施しましたが、課題に合わせて他にも多彩な分析が可能です。例えばスキー場に来訪している人は他にどのエリアに来訪しているかの分析や、ドコモの会員属性を用いて趣味・嗜好など来訪者をより詳細に分析することも可能です。広告を出稿している場合は、広告を見てから来訪しているかの確認なども可能になっています。ご興味ございましたら一度お問い合わせいただければと思います。
来年の冬はどのように人流が変化しているか楽しみです。
データについて:
【モバイル空間統計®・国内人口分布統計(リアルタイム版)】
※モバイル空間統計®は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
ドコモの携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報です。
集団の人数のみをあらわす人口統計情報であるため、お客様個人を特定することはできません。
インテージは「モバイル空間統計」の1次販売店です。
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